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サツキ公国編
第98話 どーも、海龍との戦闘です
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前書き
前回のあらすじ
主人公 姫さまたちの戦闘に介入する
本文
どーも、セレネ姫さまたちの戦闘に介入したオッサンです。
ああ、腹立つ。海龍の意図に気づかなかった自分にイラつく。シャロンが左目の痛みで警告していたにもかかわらず騙される俺。そんな俺から距離をとってくれる兵はいるが、中には勇敢な兵士が俺に槍を突いてくる。
「ハァァァアッ!」
俺は、その槍を最小限の動きで避け敵兵との間合いを詰め、顔面に手のひらを向け蒼炎を放つ。
「ガァあああ!熱い!アツい!」
「だから言ったろ?俺の邪魔をするなら殺すって」
顔が燃えている兵士の横を通り、大きな戦闘音が聞こえる方へ歩く。歩くこと数分、目的地に到着。ユリさんが頭と腹から血を流している姿を目撃する。俺は、建物の方へ吹き飛ばされるユリさんのもとへ行く。
「は、はぁ、はぁ、はぁ。ケンさん、遅いですよ...」
「黙っていろ。血を流し過ぎだ。今、治癒する」
『上級治癒』
ユリさんの身体に魔力が包み込み、傷を塞ぐ。これで血は流れないだろう。
「ユリさん、一つ確認してもいいか?」
「はぁ、はぁ、はぁ。なに?」
「ネイレスさんとの契約の水は発動しなかったのか?」
「ええ、しなかったわ。ネイレスは裏切っていない。海龍の裏切りよ」
「そうか...ッ!」
殺気を感じユリさんを抱きかかえ、その場から跳ぶ。
ドォォオン
俺は近くの建物の上に着地し、崩壊した建物を見る。
『今の攻撃を避けるか、若造。やるわね』
そこにいるのは、水の剣を持ったネイレスさん。いや、ネイレスさんに乗り移っている海龍か。
「お前の目的はなんだ?」
『おかしな事を聞くな、若造。シャロンの殲滅もしくは消失させることよ』
「そうか...俺にはどうでもいい目的だな。死ねっ!」
ユリさんを下ろし、俺は海龍に向かって特攻する。
『超身体能力向上・魔力強化・魔力解放!!吹き荒れろ、黒桜!!』
ドス黒い魔力を放出し、花びらに形状変化させる。対する海龍も降りしきる海水を集め壁を生成する。
ドォォオン、ザァアア
魔法と魔法のぶつかり合いにより起きる衝撃は、周囲の建物や地面を吹き飛ばす。
「ラァッ!」
魔法の衝撃なんてどうでもいい。突き破ればいいだけ。
俺は、海龍との距離を詰めゴウケツを振るう。それを水の剣で受け止める海龍だが...
『なっ!私の剣を斬り裂くだとっ!』
ゴウケツの魔法を斬る特性を活かし、何度も水の剣を作り出す海龍に襲い掛かる。
「死ねよ、海龍」
『ならこれならどう?氷檻』
氷の半球のドーム状に覆われた俺。すかさず、熱を持つ蒼炎を放ち氷を溶かす。
『お前、厄介な魔法を持っているな。だが、私を傷つけることは出来まい。なんせ、ネイレスの身体だからね』
「だから?」
俺は、一瞬戦闘態勢を解いた海龍の隙を見逃さず右肩から左腹をゴウケツで斬り裂く。
『お前!この娘が死ぬぞ!』
俺から距離をとる海龍。さっきから何を言っているんだ?
「別に死んでも仕方ないだろ?お前こそ、何をおかしな事を聞くんだ?」
再び、海龍との間合いを詰める。こいつ、人間の身体の操作が出来ていない。魔法を放つだけなら別だが、近接戦は不得意のようだ。
『くっ!これならどうだ!』
キィィイン、ガッ
ネイレスさんに渡した白銀の剣で受け止めようとする海龍。水や氷の剣と同様、白銀の剣も砕ける。
『乱れ斬り』
『がぁっ、カハッ。お前の剣はなんなのだ!』
乱れ斬りによって身体を斬り裂かれる海龍。血を吐き出しながら俺に問う。
「どうでもいい。死ねよ、海龍」
左目を使うほどの脅威を感じない。ガンツの鍛冶屋で戦ったリンさんの方がまだ強かった。
『このままではっ!くっ、ひょ...』
俺は左手にコッケンを持ち魔法を唱える。
『纏え!!断魂の神炎!!』
断魂の神炎がコッケンに纏い、光の神官長が使っていたように噴射させながら剣を振るう速度を上げる。
ザッァ、シュ
右腹から左肩まで斬り裂かれる海龍。ほんの数秒しか出せない神炎による攻撃、魂を断つ炎は流石の海龍も苦しいだろうよ。
『ァァアア!お、おまえ…どうして、その魔法...』
倒れる海龍にトドメを刺そうとする俺に声がかけられる。
「待って!ケンさん!」
「なに?ユリさん。邪魔するなよ。今殺すところなんだから」
「お願い!待って!」
俺の背中に抱きつくユリさん。何の真似だ?
ユリさんの声と共に聞こえる不快な笑い声。
「ガハハハハっ!お前たちよくやった!ネイレスと海龍を同時に殺してくれるとは。ガハハハハ」
「誰だ?」
「ガハハハハ、俺様のことを知らないのか?これだから殺人者はいかん。俺様は、レスト。今をもって王になった男だ。おい、騎士たちよ!あの仮面の殺人鬼を殺せ!」
容姿端麗の男。ニヤついてた顔が気に入られねぇ。
「ユリさん、離して。ネイレスさんを運んで」
「分かったわ。ケンさんはどうするの?」
MPを殆ど神炎にもっていかれた。今できるのは...
後書き
次回 時間稼ぎ
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どーも、セレネ姫さまたちの戦闘に介入したオッサンです。
ああ、腹立つ。海龍の意図に気づかなかった自分にイラつく。シャロンが左目の痛みで警告していたにもかかわらず騙される俺。そんな俺から距離をとってくれる兵はいるが、中には勇敢な兵士が俺に槍を突いてくる。
「ハァァァアッ!」
俺は、その槍を最小限の動きで避け敵兵との間合いを詰め、顔面に手のひらを向け蒼炎を放つ。
「ガァあああ!熱い!アツい!」
「だから言ったろ?俺の邪魔をするなら殺すって」
顔が燃えている兵士の横を通り、大きな戦闘音が聞こえる方へ歩く。歩くこと数分、目的地に到着。ユリさんが頭と腹から血を流している姿を目撃する。俺は、建物の方へ吹き飛ばされるユリさんのもとへ行く。
「は、はぁ、はぁ、はぁ。ケンさん、遅いですよ...」
「黙っていろ。血を流し過ぎだ。今、治癒する」
『上級治癒』
ユリさんの身体に魔力が包み込み、傷を塞ぐ。これで血は流れないだろう。
「ユリさん、一つ確認してもいいか?」
「はぁ、はぁ、はぁ。なに?」
「ネイレスさんとの契約の水は発動しなかったのか?」
「ええ、しなかったわ。ネイレスは裏切っていない。海龍の裏切りよ」
「そうか...ッ!」
殺気を感じユリさんを抱きかかえ、その場から跳ぶ。
ドォォオン
俺は近くの建物の上に着地し、崩壊した建物を見る。
『今の攻撃を避けるか、若造。やるわね』
そこにいるのは、水の剣を持ったネイレスさん。いや、ネイレスさんに乗り移っている海龍か。
「お前の目的はなんだ?」
『おかしな事を聞くな、若造。シャロンの殲滅もしくは消失させることよ』
「そうか...俺にはどうでもいい目的だな。死ねっ!」
ユリさんを下ろし、俺は海龍に向かって特攻する。
『超身体能力向上・魔力強化・魔力解放!!吹き荒れろ、黒桜!!』
ドス黒い魔力を放出し、花びらに形状変化させる。対する海龍も降りしきる海水を集め壁を生成する。
ドォォオン、ザァアア
魔法と魔法のぶつかり合いにより起きる衝撃は、周囲の建物や地面を吹き飛ばす。
「ラァッ!」
魔法の衝撃なんてどうでもいい。突き破ればいいだけ。
俺は、海龍との距離を詰めゴウケツを振るう。それを水の剣で受け止める海龍だが...
『なっ!私の剣を斬り裂くだとっ!』
ゴウケツの魔法を斬る特性を活かし、何度も水の剣を作り出す海龍に襲い掛かる。
「死ねよ、海龍」
『ならこれならどう?氷檻』
氷の半球のドーム状に覆われた俺。すかさず、熱を持つ蒼炎を放ち氷を溶かす。
『お前、厄介な魔法を持っているな。だが、私を傷つけることは出来まい。なんせ、ネイレスの身体だからね』
「だから?」
俺は、一瞬戦闘態勢を解いた海龍の隙を見逃さず右肩から左腹をゴウケツで斬り裂く。
『お前!この娘が死ぬぞ!』
俺から距離をとる海龍。さっきから何を言っているんだ?
「別に死んでも仕方ないだろ?お前こそ、何をおかしな事を聞くんだ?」
再び、海龍との間合いを詰める。こいつ、人間の身体の操作が出来ていない。魔法を放つだけなら別だが、近接戦は不得意のようだ。
『くっ!これならどうだ!』
キィィイン、ガッ
ネイレスさんに渡した白銀の剣で受け止めようとする海龍。水や氷の剣と同様、白銀の剣も砕ける。
『乱れ斬り』
『がぁっ、カハッ。お前の剣はなんなのだ!』
乱れ斬りによって身体を斬り裂かれる海龍。血を吐き出しながら俺に問う。
「どうでもいい。死ねよ、海龍」
左目を使うほどの脅威を感じない。ガンツの鍛冶屋で戦ったリンさんの方がまだ強かった。
『このままではっ!くっ、ひょ...』
俺は左手にコッケンを持ち魔法を唱える。
『纏え!!断魂の神炎!!』
断魂の神炎がコッケンに纏い、光の神官長が使っていたように噴射させながら剣を振るう速度を上げる。
ザッァ、シュ
右腹から左肩まで斬り裂かれる海龍。ほんの数秒しか出せない神炎による攻撃、魂を断つ炎は流石の海龍も苦しいだろうよ。
『ァァアア!お、おまえ…どうして、その魔法...』
倒れる海龍にトドメを刺そうとする俺に声がかけられる。
「待って!ケンさん!」
「なに?ユリさん。邪魔するなよ。今殺すところなんだから」
「お願い!待って!」
俺の背中に抱きつくユリさん。何の真似だ?
ユリさんの声と共に聞こえる不快な笑い声。
「ガハハハハっ!お前たちよくやった!ネイレスと海龍を同時に殺してくれるとは。ガハハハハ」
「誰だ?」
「ガハハハハ、俺様のことを知らないのか?これだから殺人者はいかん。俺様は、レスト。今をもって王になった男だ。おい、騎士たちよ!あの仮面の殺人鬼を殺せ!」
容姿端麗の男。ニヤついてた顔が気に入られねぇ。
「ユリさん、離して。ネイレスさんを運んで」
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