どーも、反逆のオッサンです

わか

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サツキ公国編

第89話 どーも、お出かけです

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前書き

前回のあらすじ

サツキ公国で何か起こる?


本文


どーも、隠れ家を手に入れたオッサンです。
拠点があると、ついだらけてしまう。前の世界ではインドアだった俺。こんなに活発に動くなんて思いもしなかった。ネット小説を読んでダラダラする日々が恋しい。

「料理に飽きた。少し散歩でもして気分転換しようかな」

「それは一大事よ、ケンさん!」

「そうです!私たち料理が出来ないのです!」

「心配するところ、そこなの?」

「も、もちろん、ケンさんの事を想っての発言よ」

「そうです!」

コイツら料理を作らなかったのではなくて、作れなかったんだな。そういえば、ユリさんの手料理を一度も食べたことがない。スープを煮込んでもらったくらいか?

「それぞれ家事の分担が出来ているから良いけど、俺が居なかったらどうするつもりだったんだ?」

「ケンさんが居ない?死ぬわ」

「私も死にます!」

「おいおい、答えになってないから。極論すぎるだろ」

「私は至って真面目よ」

「私もですね」

はぁ、もういいや。今後も飯を作るのは俺になりそうだな。仕方ない、諦めよう。

「ネイレスさん、この時期の旬の魚って何?」

「サーモンですね。脂がのってとても美味しいですよ」

「サーモン...食べたことがないわ。ケンさん、私と約束したわよね?海の幸をご馳走するって」

「ご馳走するって言ったけ?まあ、良いけど。ネイレスさんには申し訳ないけど、今日から魚料理になるよ」

「構いません。私も、それほど魚料理を食べておりませんでしたので楽しみです」

「えっ?今まで何を食べていたの?」

「うーん、パンとスープにサラダ。あとは果物ですね」

「それだけ?」

「はい。食に興味がなかったので。ケンさんの料理で目覚めました」

「分かる。ケンさんの料理は罪作りよね!」

「そうですね。鍋は衝撃的でした。こんなに美味しい料理があるんだなって感動したくらいです」

「こっちの世界に来てから、食事の大切さを知ったからな。俺も似たようなもんだ」

「ケンさん、暗くなる前に買い出しに行きましょう」

「そうだね。皆んなでいく?」

「勿論よ」
「無論です」

「あ、はい。それじゃあ支度して。この辺りのマッピングも兼ねて買い物しに行こう」

「探検みたいで楽しそうね、ふふ」

「ワクワクします!」

「ネイレスさんは、この辺りを知らないの?」

「知らないですね。勉強、作法、剣の鍛錬、モンスターとの戦闘、政治。その繰り返しの毎日でしたから」

「何その息苦しい生活。俺は耐えられない。女王をやめて正解だよ」

「ふふふ。本当に、仰る通りです。毎日が楽しくて仕方ありません」

質素なレインコートを顔を隠すように羽織り、表の玄関から外に出る。コソコソしているから怪しまれる。堂々としていればいい。たぶん。

「玄関に黒い布を挟んで置いてと...よし、行きますか」

とりあえず、真っ直ぐ進む。人の声が多く集まる場所に行けば何か分かるだろう。

「ケンさん、雨が降っていてよかったですね」

「そうだね。顔を隠して歩けるし、今の俺たちにとって恵みの雨だな」

「公国に着くまでは、最悪だったけどね」

「ユリ、そういうことを言わない。公国は何日も続いて雨が降るんです。天候は操作出来ませんから仕方ありません」

「二人ともプルトスさんの店にあった魔力探知阻害の指輪つけているよね?」

「勿論付けているわ」

代表してユリさんが返事をしてくれる。神官服を着ている女が近くにいるが俺たちに気付かない。

「気付かれませんでしたね」

「そうね、警戒しすぎも良くないのかしら?」

「ネイレスさんを探していることは極秘事項なんだろ?末端な兵まで知っている可能性は低い。プルトスさんの店に来た兵は地位が高い奴だな」

「そうですね。騎士まで動員出来ませんから、隊長クラスの兵士だけに任務を与えているかもです」

小さい声で会話しながら前に進む。

「そもそもなんで俺たちが警戒しないといけないんだ?」

「出た、ケンさんの開き直り!」

「えっ?え、え?」

「ネイレスは知らないわよね。ケンさんが帝国を滅ぼしたのも全て帝王が悪いと言い出してからなのよ」

「ええっ?」

「今回は、国を落とす事はしないさ。せっかく海の幸と公国特有の調味料があるかもしれないんだ。ここは帝国と違う。プルトスさんの依頼を完遂させて、レストにざまぁすれば良いだけ」

「簡単に言いますけど、それが一番大変ですよ?」

「大変だろうけど、どうせやるんだ。海龍とキサラ法国も巻き込んでやろうぜ」

「相変わらず、恐ろしい発想をするわね。ふふ、でも面白そうね」

「うっ...その目、やめて下さい。ダメとは言えないじゃないですか」

「ネイレス。貴女、まだ耐性がないのね。あの目、ゾクゾクするでしょ?」

「そうですね...」

「そこの二人コソコソ話さない。これは決定事項だからいいね?」

「はーい」
「はい」

あれ?よく考えたら、また戦争になるじゃね?



後書き

次回 未定
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