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サツキ公国編
第87話 どーも、隠れ家です
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前書き
前回のあらすじ
主人公 黒歴史をつくる
本文
どーも、愚かな行為をしていたオッサンです。
昨日の俺に言いたい!酒を飲むなと。淡々と商品を鑑定してマジックバックに仕舞う作業をして3時間。全ての商品を仕舞うことが出来た。最後に部屋全体にクリーンの魔法をかけ、ホコリなどを除去する。
「よし、終わったな。あとは、プルトスさんを待つだけ...」
コンコン
「今、奥の部屋から聞こえたわよ」
ユリさんが警戒し、音が聞こえた方へ歩く。念のため、隠密スキルを発動させる。
「行き止まりですね」
コンコン
「ここから音がするわよ?」
「誰だ?」
『私です。プルトスです』
「壁から声が聞こえるんだが?」
『ええ、店の前に兵がいましたので裏の壁から声をかけています。説明は後でしますので私の声が聞こえる壁の近くにある取っ手を引いて下さい』
ガラッ
「うおっ。プルトスさん、さっきぶりだね」
「ケン様、先程ぶりです。さぁ、私の後に続いてついてきて下さい」
プルトスさん、あんた隠密スキルが使えるのかよ。一日ぶりに外を出たがまだ雨が止んでいない。俺は左目に被っている布をめくりプルトスさんの後をついていく。入り組んだ路地を何度も曲がり、とある一軒家の裏口から中へ入る。
「ここなら安全です。ケン様たちにお貸しする家でございます」
「なぁ、プルトスさん。俺たちは追われているのか?」
「極秘に追われていると言った方が、この場合は良いでしょう」
ユリさんとネイレスさんが建物の中を怪しい物がないか確認をしている。最悪の事を考え、プルトスさんと会話を続ける。
「そうか...なぜ、俺たちを助けた?」
「利があるからです。ケン様、私は商人です。契約は絶対。信用問題になりますからね」
「そう。分かったよ」
ユリさんとネイレスさんを見て、怪しい物なとがない事を手の合図で教えられソファーに腰掛ける。
「恩にきる、プルトスさん」
頭を下げお礼をする。助けてもらったんだ、当然な行為。それを見て穏やかに笑うプルトスさん。
「ほ、ほ、ほ。頭を上げてください、ケン様。貴方様が頭を下げるとお二人から殺されてしまいかねません」
「二人とも、武器を下ろせ。事なきを得たんだ、感謝しろ」
「分かったわ、ありがとう」
「ありがとうございます」
武器を戻し、頭を下げるユリさんとネイレスさん。血の気が多くて困る。
「ほ、ほ、ほ、ほ。まさか、氷の女王に頭を下げられる日が来るとは思いませんでした。失礼。頭をお上げ下さい」
「ありがとう、プルトスさん。それで、どうして俺たちの居場所がバレた?」
「まだ居場所がバレたわけではありません。昨夜、女王陛下から頂いた誓約書を持って王宮に足を運んだところレスト様の側近に脅されまして...返り討ちにして情報を聞き出したのです」
「プルトスさんならそのくらい容易だろうね。なんて言っていたの?」
マジックバックからグラスとワインを取り出し、ネイレスさんに注がせる。
「これはこれは。最高のおもてなしですね。ここからは酔った老いぼれのお話とさせてください」
プルトスさん曰く、レストがネイレスさんの存命を知って暗殺者を差し向けようとしていること。神殿勢力、言い換えるとキサラ法国に頼り、ネイレスさんの王位簒奪を企んでいること。海龍を討伐する為に軍の編成をしていることなど、ワイン一本飲み干すまで語ってくれた。
「プルトスさんは、煙草の独占販売をもぎ取れたのか?」
「ええ、レスト様の側近からサインを頂きましたので問題ないでしょう。彼は今、生きているか分かりませんがね」
「さすがだね。そのマジックバックの中に頼んだ物が入っているのかな?」
「はい。ケン様の奥様方の要望するものは明日になりますが宜しいですか?」
「まあ、奥様なんて…ふふ」
「ふふ、奥様...甘美な響き」
「やめろよ、プルトスさん!この二人が本気にするだろ!」
「羨ましいですな。エルフの姫に氷の女王、とても愉快です」
「やっぱり気付いていたか。商人の情報網には恐怖すら覚えるよ」
「ほ、ほ、ほ、ほ。ケン様、このマジックバックに血の契約をお願いします」
笑い方が独特すぎるだろ。マジックバックを持っていないネイレスさんに一つ契約してもらい、残りの一つを俺が契約する。俺は、ロングソードなど武器を大量に出しプルトスさんに検品してもらう。
「どう?まだ新品だと思うけど?これは、ガンツの失敗作の斧らしい」
「ほほう。ケン様は、ガンツ氏と仲がよろしいので?」
「そんなことはない。ガンツから武器を大量に買わせてもらっただけだよ。あと別の商人からも」
「なるほど、なるほど。ガンツ氏の防具は、帝国の時に売却した物が最後ですか?」
「まだあるよ。俺たちには無用だし、あげるよ」
防具を取り出し並べる。ユリさんとネイレスさんは、俺たちから離れ、希望の品を紙に書いている。取り出した防具を目を細めて観察するプルトスさん。
「ほ、ほ、ほ。ケン様とはこれからも良き取引きが出来そうです。6日後にレスト様に武器を納品しますが、その際に私と一緒に参りますか?」
「商隊に変装して忍び込めというわけだな。取り分は?」
「前の契約と同じく、公国に縁のある物を少々」
「契約成立だ」
プルトスさんと握手して、ユリさんとネイレスさんの希望の品が書かれている紙を渡す。
「では、6日後にお迎えにあがります。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
家を後にするプルトスさんを見送り、俺たちは各々行動を始める。ユリさんはお風呂の準備とマジックバックの中身の整理。ネイレスさんは掃除。俺は食事の支度。
「国落としの次は泥棒か...俺の人生どうなっているだよ」
後書き
次回 未定
前回のあらすじ
主人公 黒歴史をつくる
本文
どーも、愚かな行為をしていたオッサンです。
昨日の俺に言いたい!酒を飲むなと。淡々と商品を鑑定してマジックバックに仕舞う作業をして3時間。全ての商品を仕舞うことが出来た。最後に部屋全体にクリーンの魔法をかけ、ホコリなどを除去する。
「よし、終わったな。あとは、プルトスさんを待つだけ...」
コンコン
「今、奥の部屋から聞こえたわよ」
ユリさんが警戒し、音が聞こえた方へ歩く。念のため、隠密スキルを発動させる。
「行き止まりですね」
コンコン
「ここから音がするわよ?」
「誰だ?」
『私です。プルトスです』
「壁から声が聞こえるんだが?」
『ええ、店の前に兵がいましたので裏の壁から声をかけています。説明は後でしますので私の声が聞こえる壁の近くにある取っ手を引いて下さい』
ガラッ
「うおっ。プルトスさん、さっきぶりだね」
「ケン様、先程ぶりです。さぁ、私の後に続いてついてきて下さい」
プルトスさん、あんた隠密スキルが使えるのかよ。一日ぶりに外を出たがまだ雨が止んでいない。俺は左目に被っている布をめくりプルトスさんの後をついていく。入り組んだ路地を何度も曲がり、とある一軒家の裏口から中へ入る。
「ここなら安全です。ケン様たちにお貸しする家でございます」
「なぁ、プルトスさん。俺たちは追われているのか?」
「極秘に追われていると言った方が、この場合は良いでしょう」
ユリさんとネイレスさんが建物の中を怪しい物がないか確認をしている。最悪の事を考え、プルトスさんと会話を続ける。
「そうか...なぜ、俺たちを助けた?」
「利があるからです。ケン様、私は商人です。契約は絶対。信用問題になりますからね」
「そう。分かったよ」
ユリさんとネイレスさんを見て、怪しい物なとがない事を手の合図で教えられソファーに腰掛ける。
「恩にきる、プルトスさん」
頭を下げお礼をする。助けてもらったんだ、当然な行為。それを見て穏やかに笑うプルトスさん。
「ほ、ほ、ほ。頭を上げてください、ケン様。貴方様が頭を下げるとお二人から殺されてしまいかねません」
「二人とも、武器を下ろせ。事なきを得たんだ、感謝しろ」
「分かったわ、ありがとう」
「ありがとうございます」
武器を戻し、頭を下げるユリさんとネイレスさん。血の気が多くて困る。
「ほ、ほ、ほ、ほ。まさか、氷の女王に頭を下げられる日が来るとは思いませんでした。失礼。頭をお上げ下さい」
「ありがとう、プルトスさん。それで、どうして俺たちの居場所がバレた?」
「まだ居場所がバレたわけではありません。昨夜、女王陛下から頂いた誓約書を持って王宮に足を運んだところレスト様の側近に脅されまして...返り討ちにして情報を聞き出したのです」
「プルトスさんならそのくらい容易だろうね。なんて言っていたの?」
マジックバックからグラスとワインを取り出し、ネイレスさんに注がせる。
「これはこれは。最高のおもてなしですね。ここからは酔った老いぼれのお話とさせてください」
プルトスさん曰く、レストがネイレスさんの存命を知って暗殺者を差し向けようとしていること。神殿勢力、言い換えるとキサラ法国に頼り、ネイレスさんの王位簒奪を企んでいること。海龍を討伐する為に軍の編成をしていることなど、ワイン一本飲み干すまで語ってくれた。
「プルトスさんは、煙草の独占販売をもぎ取れたのか?」
「ええ、レスト様の側近からサインを頂きましたので問題ないでしょう。彼は今、生きているか分かりませんがね」
「さすがだね。そのマジックバックの中に頼んだ物が入っているのかな?」
「はい。ケン様の奥様方の要望するものは明日になりますが宜しいですか?」
「まあ、奥様なんて…ふふ」
「ふふ、奥様...甘美な響き」
「やめろよ、プルトスさん!この二人が本気にするだろ!」
「羨ましいですな。エルフの姫に氷の女王、とても愉快です」
「やっぱり気付いていたか。商人の情報網には恐怖すら覚えるよ」
「ほ、ほ、ほ、ほ。ケン様、このマジックバックに血の契約をお願いします」
笑い方が独特すぎるだろ。マジックバックを持っていないネイレスさんに一つ契約してもらい、残りの一つを俺が契約する。俺は、ロングソードなど武器を大量に出しプルトスさんに検品してもらう。
「どう?まだ新品だと思うけど?これは、ガンツの失敗作の斧らしい」
「ほほう。ケン様は、ガンツ氏と仲がよろしいので?」
「そんなことはない。ガンツから武器を大量に買わせてもらっただけだよ。あと別の商人からも」
「なるほど、なるほど。ガンツ氏の防具は、帝国の時に売却した物が最後ですか?」
「まだあるよ。俺たちには無用だし、あげるよ」
防具を取り出し並べる。ユリさんとネイレスさんは、俺たちから離れ、希望の品を紙に書いている。取り出した防具を目を細めて観察するプルトスさん。
「ほ、ほ、ほ。ケン様とはこれからも良き取引きが出来そうです。6日後にレスト様に武器を納品しますが、その際に私と一緒に参りますか?」
「商隊に変装して忍び込めというわけだな。取り分は?」
「前の契約と同じく、公国に縁のある物を少々」
「契約成立だ」
プルトスさんと握手して、ユリさんとネイレスさんの希望の品が書かれている紙を渡す。
「では、6日後にお迎えにあがります。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
家を後にするプルトスさんを見送り、俺たちは各々行動を始める。ユリさんはお風呂の準備とマジックバックの中身の整理。ネイレスさんは掃除。俺は食事の支度。
「国落としの次は泥棒か...俺の人生どうなっているだよ」
後書き
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