どーも、反逆のオッサンです

わか

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サツキ公国編

第66話 どーも、勇者です

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前書き

前回のあらすじ

主人公 コロッケを作る


本文


どーも、コロッケを作ったオッサンです。
あれは美味かった。自画自賛。あれから、陽が昇るまで格闘術だけでなく剣の素振りなど多岐に渡って訓練する。流した汗をお風呂で洗い流し、クタクタになってご飯を食べて寝て訓練の繰り返しを3日間。殴打攻撃をお互いに確かめ合う為に殴り合う。俺は拳、ユリさんは足技を磨く。

「ハッ!」


ドォンッ


「ユリさん...痛い、もうやめよう。身体中青あざだらけ。痛い」

「お互いダメージが残っていますので、馬車で移動しながら休みましょうか」

「賛成。飯は昨日の残り物でカツサンドでいい?」

「本当?それでお願いします!」

最近、ユリさんは揚げ物にハマっている。運動しているから太らないけど、そろそろ控えた方がいいかも。

ご飯を食べ終え、馬車に乗り込み移動する。俺は拳と腕の骨折。ユリさんは、腕と両足を骨折。失神、数えきれない。前の世界ではあり得ない訓練。治癒ヒールで何度も何度も繰り返し直しては折れる。上級治癒ハイヒールを習得するというオチも付いている。

「ユリさん、超身体能力向上からハイキックは一般人にしてはダメだよ。間違いなく、死ぬから」

「ケンさんこそ、蹴りを混ぜてからの拳の連続殴打は禁止よ。間違いなく、死ぬわ」

「モンスターに効くか分からないけど、対人戦には役に立つかもね」

「そうね、やってきたことは無駄ではないわ。それに上級治癒ハイヒールも覚えられて得した気分よ」

「はははは、そうだね。これ見て、ユリさんが失神した時の写真」

「これは、ケンさんの拳が顎に当たり意識が飛んだ時ね。痛かったわ、よく女性の顔面を殴れるわね」

「性別なんて関係ないさ。やるかやられるか、それだけ」

「むー、相変わらずストイックね。フフフフフ、この写真は、鼻から血を流して白目になって失神しているケンさんね。笑えるわ」

写真や動画を見返しながら、笑い、分析、解説をする。充実した訓練だった。痛い思いを何度もしたけど。

「ユリさん、サツキ公国までの道のりに山があるんだけど何か知っている?」

「知らないわ、このまま真っ直ぐ行くつもりなの?」

「うん。魔人族の領土を少し通るけど最短距離で行くよ」

「森に入る際は最大の警戒が必要ね。私もそろそろ死地で殺し合いを経験したいから丁度いいわ」

「そうなの?まあ、森までまだ距離がありそうだしそれまではゆっくりしようか」


交互に睡眠をとり見張り兼御者を行う。3日間かけて馬車での移動をし、英気を養い森の中を歩く。


森の中を歩いていくとモンスターに何度か襲われるが、全て排除している。

「この辺のモンスターは、肩慣らしに丁度いいね」

「そうね、もう森の中の生活も苦ではなくなったわ。ケンさん!右から妖黒犬ヘルハウンドが来ているわ」

「了解、今回は俺がサポートでいいんだよね?」

「ええ、お願い。私がケツメイで仕留めるわ!」

俺は木の枝に飛び降り、弓で牽制を行う。出来るだけ魔力を使わない戦闘を心がける。ユリさんみたく、連射は出来ないけど確実に動くモンスターを貫けるようになった。

「ユリさん、2体始末完了。じきに残り4体がくる」

ユリさんの目の前に4体の妖黒犬ヘルハウンドが飛び出してくる。一斉に飛び掛かってくるが、最小化に避け、避ける際に2体の妖黒犬ヘルハウンドを仕留める。残りの2体がUターンし、再び襲い掛かるがケツメイにより首を刎ねられる。

「お見事。移動しよう。今日の野営場所の確保をしなきゃ」

「ありがとう、水の音が聞こえるから川があるのかもしれない」

川?山の雪解けした水が流れているのか?

「分かった。進路沿いにあればそこで一旦休もう」

俺たちは迅速に移動し、川の付近まで到着する。

「ユリさん、隠密スキルを発動させて。3体視認出来るところから弓で攻撃する。巨鳥《ロック鳥》LV45」

「準備は出来ている。いつでも大丈夫よ」

「なら、狙撃開始。俺は右を狙う。残りをお願い」


シュッ


俺が放った矢は巨鳥《ロック鳥》に命中したが翼に当たり死に至らず、次の矢を引く。ダメだ、逃げられる。


ドォンッ、ドォンッ、ドォンッ


「ケンさんの分も倒したので、ご安心を」

「すげぇ。連射の速さ上がってね?」

「ふふ、遠距離なら私に任せて。ケンさんは、まだ弓に慣れていないでしょ?」

「ああ、もっと練習しなくては。実戦で確実に当てられるよう、弓を使いこなす。うん?ユリさん止まって」

「どうしたの?」

「そこ、足跡らしきものがある」

俺とユリさんの間に細いが道がある。おそらく数時間前に通ったのだろう。森の中の土は柔らかい。俺たちは足跡の痕跡を消しているから他の者で間違いない。

「ケンさん!危ない!!」

「イタっ。ちくしょう、油断した...」

咄嗟に避けたが右肩に矢が突き刺さり、急いで抜こうとするが矢に細工がされているようだ。

「ユリさん、敵の確認をお願い出来る?この矢は細工されていて、時間がかかる」

「お任せを。確認後、私が排除する。ケンさんは、治療に専念して」

「あ、ありがとう。助かるよ」

スマホをユリさんに渡し、俺はこの場から離脱する。くそっ、矢を抜こうとしても鏃だけが残らよう細工されてやがる。しかも毒も塗ってあって、視界がくらくらする。


ウウゥゥグルゥッ


「こんな時に妖黒犬ヘルハウンドかよ。しかもさっきより多いじゃねーか。ロック鳥の死体に釣られたか?」

今度は俺が狩られる側か...


『魔力解放!咲き乱れろ、黒桜!!』


周囲一帯をに黒桜が乱れ、木や妖黒犬ヘルハウンドなどを無差別に切り刻んでいく。

「はぁ、はぁ、はぁ。こんな大技使ったら、他のモンスターも呼び寄せてしまう」


ドォンッ、キィィイン


「ふざけろッ!何度も同じ手が通用すると思うなよ!」

左目の神龍眼で捉えた矢を左手で抜いたゴウケツで弾く。追撃で火球が飛んでくる。

「ハァァァアッ!」

ゴウケツで斬り裂くために振るうが、手前で火球が着弾し爆ぜる。俺は、後方に吹き飛び倒れ込み転がる。戦い慣れてる?複数人?

「ヤアーッ!」

「次は、何だよ!」

拳を突き出してくる人間。女!?
咄嗟に右腕を動かし腰に挿している拳銃を抜き取り発砲する。


パァンッ


「チッ、狙いが逸れたか!」

女の腹部に命中して倒れ込む。魔法が飛んできた方向へ走り出そうとした瞬間、盾と剣を持つ男が木の影から出てきて俺と衝突する。ゴウケツを振るったが盾で塞がれる。

「お前たち何者だよ?」

「よくも仲間を!」

「テメェらが先に仕掛けてきたんだろが!」

「黙れ、人間のフリをした魔人め」

何勘違いしているんだ?コイツ。俺が魔人だと?だからいきなり攻撃したのか?

「さっきの黒い魔力で確信した!邪悪な魔力を持つ魔人!仲間の敵だ!」

あー、そう。問答無用にやるのね。

「テメェら全員殺す…ユリ!!この辺りにいる奴を全員殺せ!」

俺は、男から距離をとり肩に手を突っ込み鏃ごと抜き取る。痛み?関係ないね。毒?まだ死なないってことは大丈夫だろう。

「本性をあら...」

「黙れ」

超身体能力向上スキルを発動させ、視認できない程の速さでゴウケツを横に振い、男の首を刎ねる。


ドォンッ


ユリさんの攻撃が始まったな。神龍眼で、魔法使いの魔力を辿り隠密スキルで近づく。2人いるな。攻撃魔法に回復魔法を使う奴と別れているのか?さっきのお返しだ。

「ラァアア!」

「キャッアア...」

1人の首を刎ね、もう1人の腕を切り落とす。

「ま、待って!」

「待たない、死ね」

「貴様あぁぁあっ!」

血だらけになって満身創痍の男が近寄ってくるが、背後にユリさんの姿を捉える。俺たちは同時に剣を横一文字に振るい首を刎ね、剣の血を払う。

「ケンさん、今すぐ治療します!上級治癒ハイヒール」

「ありがとう、ユリさん。1人辛うじて生きている奴がいる。そいつに話を聞こう」

「ケンさんは、安静にしてて。はい、解毒のポーション。飲んで」

「助かる...」


ガサッ、ガサ


「そ、そんな、皆んなが死んで...」

「向こうさんから来てくれたみたいだな、ユリさんに尋問お願いするよ」

俺は、ボロボロの男と魔法使いの女2人の死体を漁る。金貨と上質なポーションをいくつか奪い、胸元にかけられていたカードを拾う。

「キサラ法国の勇者?こっちは聖女?マジ?」

「ケンさん、こちらの尋問は終わりました。どうやら法国の勇者とその仲間で、私達を魔人と勘違いして攻撃したそうです。槍で串刺しにして殺しておきました」

「ユリさんがボロボロにした男が勇者、そして神官服を着ているのが聖女のようだ。はぁー、魔人族に間違えるとかアホだろコイツら」

「魔人族を討伐しに行く最中に私たちを発見して襲ったらしいわ」

「そう...弓使いは?」

「顔に矢を刺し、バラバラに斬り刻んだわよ。そしたら、そこの男が襲ってきたから返り討ちにしたんだけど、トドメを刺そうとしたら逃げて...まさかケンさんの方へ逃げ込むなんて運がないわね」

「聖女に回復を頼もうとしたのかも。それよりコイツら燃やしておこうか」


『蒼炎』


灰にして土を被せる。盾持ちの戦士も同様に処理をして戦闘の痕跡を消す。

「ケンさん、私のこと呼び捨てにしたでしょ?」

「えっ?そうだったけ?余裕がなくてあまり覚えていないや」

「ふふふ。たまには、呼び捨てでお願い。貴方に命令されるの少し興奮するわ」

「へ、へぇー。今回だけにしとくよ。たぶん...」

「ダメ。普段から呼び捨てでもいいわ。貴方に支配されているのを感じさせてくれるなら、これ以上の喜びはない!ねぇ、ケンさん...お願い。何でもするから、ね?」

腕にしがみついてからユリさん。必死になって剥がす俺。一気に緊張感がなくなったな。



後書き

次回 遂に...
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