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シーワーズ帝国復讐編
第49話 どーも、騎士団です
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前書き
前回のあらすじ
主人公 襲撃しちゃう
本文
どーも、襲撃中のオッサンです。
前の世界では考えられない、まさか戦争に巻き込まれたり起こしたりするなんてさ。最近戦ってばかりで暇することが出来ていない。この戦争に生き残ったら、海に行ってボーッとしたい。それにしても、魔法師団の攻撃が止んで、目の前の敵を斬るだけの作業になってきたな...
キィーィン
おや?考えごとしていてしっかり敵を見ていなかった。俺の剣を受け止めるなんてやるなコイツ。
「私は、第3騎士団隊長ウェストだ。お前に弱い兵や騎士を当たらせても無駄死にするだけ。だから私が止めにきた」
「一人で俺を止める?笑わせるなっ!ラァッ」
キィーィン、ガッ
「私はシーワーズ流剣術の指南役でもある。お前は確かに強い。凶暴かつ残忍な太刀筋、それを技にしている。だが、まだ完成されていない...ふんっ」
剣を受け、いや受け流している。チッ、剣を振り下ろす勢いがそのまま受け流され地面にゴウケツが突き刺さる。
「くっ!」
「まだ、対人戦の経験が少ないと見えるな。仮面の剣士よ」
まるで、水の流れに沿うように受け流しやがる。ちくちく身体を斬り裂いてくるし。考えろ、俺!把握しろ、今出来ることを...
「ふふ、違うな。最適解は、別にある」
「なぜ笑う?お前はこのまま私に切り刻まれて死ぬだけだ」
今まで力を込めて剣を振るってきたのは、一撃の攻撃力が高いからだ。避けるのではなく受け止めてくれるなら...
キィン、キィィイン
「なっ!お前!ここで剣を学んだのか!」
「そう、俺が導き出した解は、新たな太刀筋を身につけ応戦すること」
「戦場で成長する者は、後世に残る英雄になることが多いと聞く。ただそれは一握りの才能の者だけしか出来ない。私は、認めない。訓練で身につけた剣術こそが最も強いということをお前を倒して証明しやる!」
どのくらい打ち合ったのだろうか...どのくらい時間が経ったのであろうか。分からない。でも俺はまだ生きている。ウェスト隊長と俺の戦場には、大きな空間が生まれている。その空間地帯に入れば殺されるだけと本能が告げているのだろう。
「ラァアアッ!」
「ハァァァアッ!」
剣と剣が衝突して火花が散る。力と技と駆け引き、まるでミノスと戦った時のような感覚に陥る。全身全霊を持って、脳をフル回転させ、空間を認識し、無駄な動きを削っていく。インパクトの時だけ力を最大に込める。受け流すその瞬間に最大の力を剣に伝える。何度も何度も。
死の舞踊スキルが自動で発動されるのが感覚で分かる。この打ち合いに負ければどちらかが死ぬ、命を削り合う戦い。俺は、この世界に来てから一度も剣術を教わったことがない。だから、機会に巡り会えた事に感謝すらしている。俺はまだまだ強くなれると教えてくれる。ウェスト...お前は確かに洗礼された無駄のない動きをしている。真剣でそして真っ直ぐな男だと、何となく分かる。そして、ウェストの剣が限界なんだとなんとなく分かる。なぜ分かるのか分からない。でも分かるんだから仕方がない。
パッ、リィーーンッ
何百回も打ち合っていれば、いずれ身体だけでなく武器も性能が落ちていく。ゴウケツは特別な剣。それに対してウェストが持っていた剣は、もちろん一級品だと思うがゴウケツに全く及ばない。受け流すには一度剣を当てなければならない、守りから攻撃を繰り出すスタイル。並の剣なら俺は負けていた、ただそれだけの差。技量がウェストに並んだ瞬間、剣は悲鳴をあげ折れる。
「私は...私の剣は、才能に負けるのか...」
「そんな事ない、お前が積み上げてきた剣術は本物。剣を通して、それを俺は知った。お礼を言うよ、ありがとう。そして、さよなら」
俺の剣で首を刎ねる瞬間、ウェストは笑った。それがなんの意味を持つのか分からないが、騎士として立派で素晴らしい剣士だったと深く思う。
ウソだろ...
剣士最強のウェスト隊長が殺された!
あんな化け物に勝てるわけがない!
に、逃げるぞ!
俺も、こんな戦いに参加してられない、死ぬだけだ!
ウェストを打ち倒したことで、恐怖の対象になる俺。ゆらゆらと魔力を解放しドス黒い魔力が吹き荒れる。
「騎士が逃げんなよ?ウェストは、最後の最後まで戦ったぞ?あいつは俺とのレベルの差を技量で補って戦った」
「舞い散れ!!黒桜!!」
吹き出したドス黒い魔力が魔力操作によって花びらに形状変化していく。何万枚の鋭利な花びらが舞い、逃げる騎士たちを切り刻んでいく。
俺の周囲一帯、血の海と化し酷い匂いがする。神龍眼で感知した7人の魔力。近くに来ている...そろそろ俺たちは撤退だ。すれ違い際に1人の女性から礼を言われる。
「ケン様、大変助かりました。恩に着ます」
来るのがおせーよ。姫さまたちにとっては最高のタイミングだろうが、俺にとっては最悪なタイミングだ。ユリさんも龍眼化によって感知したのか、俺の横へ戻ってくる。
「ケンさん...ここは引きましょう。隠密スキルは使えますか?」
「ああ、まだ身体能力向上のスキルの効果は切れていないし、隠密スキルを使える。ポイントBまで先導お願い出来る?」
「かしこまりました。本当に見事な戦いでした」
ユリさんに手を引かれて、ポイントBまで隠密行動で身体能力向上による最大加速で移動する。
「はぁはぁはぁ、ケンさん。着きました…ケンさん?」
俺は、ウェストとの戦いの疲労で意識がなくなり倒れ込む。
後書き
次回 ビンタ
前回のあらすじ
主人公 襲撃しちゃう
本文
どーも、襲撃中のオッサンです。
前の世界では考えられない、まさか戦争に巻き込まれたり起こしたりするなんてさ。最近戦ってばかりで暇することが出来ていない。この戦争に生き残ったら、海に行ってボーッとしたい。それにしても、魔法師団の攻撃が止んで、目の前の敵を斬るだけの作業になってきたな...
キィーィン
おや?考えごとしていてしっかり敵を見ていなかった。俺の剣を受け止めるなんてやるなコイツ。
「私は、第3騎士団隊長ウェストだ。お前に弱い兵や騎士を当たらせても無駄死にするだけ。だから私が止めにきた」
「一人で俺を止める?笑わせるなっ!ラァッ」
キィーィン、ガッ
「私はシーワーズ流剣術の指南役でもある。お前は確かに強い。凶暴かつ残忍な太刀筋、それを技にしている。だが、まだ完成されていない...ふんっ」
剣を受け、いや受け流している。チッ、剣を振り下ろす勢いがそのまま受け流され地面にゴウケツが突き刺さる。
「くっ!」
「まだ、対人戦の経験が少ないと見えるな。仮面の剣士よ」
まるで、水の流れに沿うように受け流しやがる。ちくちく身体を斬り裂いてくるし。考えろ、俺!把握しろ、今出来ることを...
「ふふ、違うな。最適解は、別にある」
「なぜ笑う?お前はこのまま私に切り刻まれて死ぬだけだ」
今まで力を込めて剣を振るってきたのは、一撃の攻撃力が高いからだ。避けるのではなく受け止めてくれるなら...
キィン、キィィイン
「なっ!お前!ここで剣を学んだのか!」
「そう、俺が導き出した解は、新たな太刀筋を身につけ応戦すること」
「戦場で成長する者は、後世に残る英雄になることが多いと聞く。ただそれは一握りの才能の者だけしか出来ない。私は、認めない。訓練で身につけた剣術こそが最も強いということをお前を倒して証明しやる!」
どのくらい打ち合ったのだろうか...どのくらい時間が経ったのであろうか。分からない。でも俺はまだ生きている。ウェスト隊長と俺の戦場には、大きな空間が生まれている。その空間地帯に入れば殺されるだけと本能が告げているのだろう。
「ラァアアッ!」
「ハァァァアッ!」
剣と剣が衝突して火花が散る。力と技と駆け引き、まるでミノスと戦った時のような感覚に陥る。全身全霊を持って、脳をフル回転させ、空間を認識し、無駄な動きを削っていく。インパクトの時だけ力を最大に込める。受け流すその瞬間に最大の力を剣に伝える。何度も何度も。
死の舞踊スキルが自動で発動されるのが感覚で分かる。この打ち合いに負ければどちらかが死ぬ、命を削り合う戦い。俺は、この世界に来てから一度も剣術を教わったことがない。だから、機会に巡り会えた事に感謝すらしている。俺はまだまだ強くなれると教えてくれる。ウェスト...お前は確かに洗礼された無駄のない動きをしている。真剣でそして真っ直ぐな男だと、何となく分かる。そして、ウェストの剣が限界なんだとなんとなく分かる。なぜ分かるのか分からない。でも分かるんだから仕方がない。
パッ、リィーーンッ
何百回も打ち合っていれば、いずれ身体だけでなく武器も性能が落ちていく。ゴウケツは特別な剣。それに対してウェストが持っていた剣は、もちろん一級品だと思うがゴウケツに全く及ばない。受け流すには一度剣を当てなければならない、守りから攻撃を繰り出すスタイル。並の剣なら俺は負けていた、ただそれだけの差。技量がウェストに並んだ瞬間、剣は悲鳴をあげ折れる。
「私は...私の剣は、才能に負けるのか...」
「そんな事ない、お前が積み上げてきた剣術は本物。剣を通して、それを俺は知った。お礼を言うよ、ありがとう。そして、さよなら」
俺の剣で首を刎ねる瞬間、ウェストは笑った。それがなんの意味を持つのか分からないが、騎士として立派で素晴らしい剣士だったと深く思う。
ウソだろ...
剣士最強のウェスト隊長が殺された!
あんな化け物に勝てるわけがない!
に、逃げるぞ!
俺も、こんな戦いに参加してられない、死ぬだけだ!
ウェストを打ち倒したことで、恐怖の対象になる俺。ゆらゆらと魔力を解放しドス黒い魔力が吹き荒れる。
「騎士が逃げんなよ?ウェストは、最後の最後まで戦ったぞ?あいつは俺とのレベルの差を技量で補って戦った」
「舞い散れ!!黒桜!!」
吹き出したドス黒い魔力が魔力操作によって花びらに形状変化していく。何万枚の鋭利な花びらが舞い、逃げる騎士たちを切り刻んでいく。
俺の周囲一帯、血の海と化し酷い匂いがする。神龍眼で感知した7人の魔力。近くに来ている...そろそろ俺たちは撤退だ。すれ違い際に1人の女性から礼を言われる。
「ケン様、大変助かりました。恩に着ます」
来るのがおせーよ。姫さまたちにとっては最高のタイミングだろうが、俺にとっては最悪なタイミングだ。ユリさんも龍眼化によって感知したのか、俺の横へ戻ってくる。
「ケンさん...ここは引きましょう。隠密スキルは使えますか?」
「ああ、まだ身体能力向上のスキルの効果は切れていないし、隠密スキルを使える。ポイントBまで先導お願い出来る?」
「かしこまりました。本当に見事な戦いでした」
ユリさんに手を引かれて、ポイントBまで隠密行動で身体能力向上による最大加速で移動する。
「はぁはぁはぁ、ケンさん。着きました…ケンさん?」
俺は、ウェストとの戦いの疲労で意識がなくなり倒れ込む。
後書き
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