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第30話 どーも、復讐心です
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前書き
前回のあらすじ
主人公 優雅にお茶を飲む
本文
どーも、姫さまとお茶を飲んでいるオッサンです。
お茶会をするためにここに来たわけではないが、ゆっくりした日があってもいいじゃないか。でも、そうならないのだろうよ。
「はじめに言っておくぞ。決して口外しないでくれよ。約束出来なければ、俺たちは即お前たちの首を刎ねる。いいな?」
「分かりました。私含め、ここに居る騎士とメイドは口外しないことをお誓い致します」
俺は、ユリさんに目をやるが特に何もしない。信用に値する相手なのか、それとも興味がないのか。
「俺は異世界人で、ユリさんはエルフだ」
まるで時が止まったかのような空気になる。そりゃ、こんなカミングアウトをしたら驚くよな。ユリさんがエルフというのも驚きだろうしね。
ユリさんは変装のネックレスを外し、エルフであることを証明する。
「アルテさん、真理の目で判断出来たかな?」
「...。えっ、あっ、はい。ケン殿が言っていること事実です...」
「俺もユリさんも訳ありだ。だから秘密で頼むよ」
それから、俺はここまでの経緯を全て話した。静寂の中、話すのは辛い。なんでもいいから反応してよ。ちなみにユリさんが話す際、言葉の初めに愛するケンさんと言ってやがるから途中から黙ってもらった。
「話は以上だ。姫さまご感想をどうぞ」
「...。少し整理させて下さい。アルテ?ケン様がおっしゃっていたことは本当?」
「はい、私の真理の目で虚偽がないことは保証致します。自分の目を疑うなんて初めてです」
「あなたがそう言うのであれば、ケン様とユリ様の話は全て事実...。つまり、神龍や猛牛鬼の支配者についても真実なのですね。頭が痛いわ、やはり今の帝国がしていることは間違っている」
「そう、そこを聞きたいのよ、俺は。なぜ帝国と魔人は戦争をしているんだ?あと、姫さまたちがあそこにアンデットになりかけていた事も教えてほしい」
「ケン様とユリ様のお話しについては後に致しましょう。私たちがいる帝国に関して先にお話し致します。それと私たちがあのようなことになっていた事も...」
セレネ姫の話を簡単に整理するとこうなる。
・帝国は魔人族と手を組んでこの世界の覇者になりたい。
・帝国が魔人族と手を組んでいると知られれば周辺国家による制裁が待っている。
・帝国は魔人と手を組んでいることを隠蔽するため、あえて魔人族と戦争をすることになった。
・帝国は茶番の戦争をする予定であったが魔人族の裏切りで窮地になった。
・セレネ姫はアルテさんが魔人族が嘘をついている見抜いてそれを父である帝王に魔人族から手を引くよう進言する。
・セレネ姫の進言を帝王は跳ね除け、セレネ姫とその家臣を国外追放する。
・魔人族はアルテさんの能力を危惧し、戦争中に囚われた。
・囚われたセレネ姫一行は、魔人族の目を盗んで脱走したが死霊使いの魔人に呪いをかけられてアンデットにされかけられる。
念のために、話を整理する為スマホのメモ帳に書き込む。こういう話を保存できるスマホの偉大さよ。本当、スマホあって良かった。
「死霊使いは私たちに呪いを掛けたあと大きな催しがあると言って去って行きました。その後は、ご存知の通りケン様とユリ様に助けられた次第です」
「結論、帝国の自業自得という訳だ。帝王は、バカなのか?ユリさんはどう思う?」
「どの国も勢力拡大を目論んでいます。私の父もそうでした。帝王は欲に目が眩んだ、もしくは魔人族の力を欲していた。その為に踏み絵としてなんらかの要求を呑むために戦争を行った可能性も考えられます」
「アルテさんの目の力について帝王は知っているのか?」
「いいえ、私と家臣とアルテの両親のみ。一切口外しておりませんでした」
「うん?魔人族がアルテさんの目の力を知ったのはなぜ?」
「アルテの両親が帝国の上層部に金貨で買収され、魔人族に密告し私たちは追われてしまった。その辺りは死霊使いが笑いながら話してくれました」
「まだまだ色々と聞きたいことがあるんだが。姫さまと騎士とメイドさん達は今後どうするんだ?」
「戦います。魔人族も帝国も、すべてが憎いです。私の大事な家臣はほとんどアンデットに変えられてしまいました。抵抗力があった私含めて10名しか助からなかった。私たちの目の前で残逆に冷徹に殺していった魔人族が憎い。それを手助けしていた帝国も憎い。帝国上層部の話を信じて私たちを迫害した民も憎い。だから、私は復讐がしたいです」
ふーん...
「ケンさん、そろそろ私も話に参加してもいいですか?」
「変なこと言わなければいいよ」
「変なことを言った覚えはありませんが...ケンさん」
俺を見つめてくるユリさん。
あー、その目は決意した目だな。
「私は、セレネ姫の復讐に力を貸してあげたいです。もちろん、私の復讐に付き合ってもらうことが条件ですが。どうでしょうか?」
「悪くないね、人手はあった方がいいし、何よりも利害が一致している限り裏切らないだろう」
「本当ですか!?お力をお貸しして頂けるのであれば必ずユリ様の復讐をお手伝い致します!」
「長い時間話したんだ、腹が減ったな」
「申し訳ありません、私たちは食糧の持ち合わせがありません」
「あっ、別にご飯を要求している訳じゃない。ご飯の時間だなって言いたかっただけだから」
俺は、慌てて訂正しマジックバックから食糧を取り出す。
「みんなでご飯食べて、対帝国と魔人族について話そうか」
この姫、心が折れるようなことがあったのに...
後書き
次回 ざまぁ作戦
前回のあらすじ
主人公 優雅にお茶を飲む
本文
どーも、姫さまとお茶を飲んでいるオッサンです。
お茶会をするためにここに来たわけではないが、ゆっくりした日があってもいいじゃないか。でも、そうならないのだろうよ。
「はじめに言っておくぞ。決して口外しないでくれよ。約束出来なければ、俺たちは即お前たちの首を刎ねる。いいな?」
「分かりました。私含め、ここに居る騎士とメイドは口外しないことをお誓い致します」
俺は、ユリさんに目をやるが特に何もしない。信用に値する相手なのか、それとも興味がないのか。
「俺は異世界人で、ユリさんはエルフだ」
まるで時が止まったかのような空気になる。そりゃ、こんなカミングアウトをしたら驚くよな。ユリさんがエルフというのも驚きだろうしね。
ユリさんは変装のネックレスを外し、エルフであることを証明する。
「アルテさん、真理の目で判断出来たかな?」
「...。えっ、あっ、はい。ケン殿が言っていること事実です...」
「俺もユリさんも訳ありだ。だから秘密で頼むよ」
それから、俺はここまでの経緯を全て話した。静寂の中、話すのは辛い。なんでもいいから反応してよ。ちなみにユリさんが話す際、言葉の初めに愛するケンさんと言ってやがるから途中から黙ってもらった。
「話は以上だ。姫さまご感想をどうぞ」
「...。少し整理させて下さい。アルテ?ケン様がおっしゃっていたことは本当?」
「はい、私の真理の目で虚偽がないことは保証致します。自分の目を疑うなんて初めてです」
「あなたがそう言うのであれば、ケン様とユリ様の話は全て事実...。つまり、神龍や猛牛鬼の支配者についても真実なのですね。頭が痛いわ、やはり今の帝国がしていることは間違っている」
「そう、そこを聞きたいのよ、俺は。なぜ帝国と魔人は戦争をしているんだ?あと、姫さまたちがあそこにアンデットになりかけていた事も教えてほしい」
「ケン様とユリ様のお話しについては後に致しましょう。私たちがいる帝国に関して先にお話し致します。それと私たちがあのようなことになっていた事も...」
セレネ姫の話を簡単に整理するとこうなる。
・帝国は魔人族と手を組んでこの世界の覇者になりたい。
・帝国が魔人族と手を組んでいると知られれば周辺国家による制裁が待っている。
・帝国は魔人と手を組んでいることを隠蔽するため、あえて魔人族と戦争をすることになった。
・帝国は茶番の戦争をする予定であったが魔人族の裏切りで窮地になった。
・セレネ姫はアルテさんが魔人族が嘘をついている見抜いてそれを父である帝王に魔人族から手を引くよう進言する。
・セレネ姫の進言を帝王は跳ね除け、セレネ姫とその家臣を国外追放する。
・魔人族はアルテさんの能力を危惧し、戦争中に囚われた。
・囚われたセレネ姫一行は、魔人族の目を盗んで脱走したが死霊使いの魔人に呪いをかけられてアンデットにされかけられる。
念のために、話を整理する為スマホのメモ帳に書き込む。こういう話を保存できるスマホの偉大さよ。本当、スマホあって良かった。
「死霊使いは私たちに呪いを掛けたあと大きな催しがあると言って去って行きました。その後は、ご存知の通りケン様とユリ様に助けられた次第です」
「結論、帝国の自業自得という訳だ。帝王は、バカなのか?ユリさんはどう思う?」
「どの国も勢力拡大を目論んでいます。私の父もそうでした。帝王は欲に目が眩んだ、もしくは魔人族の力を欲していた。その為に踏み絵としてなんらかの要求を呑むために戦争を行った可能性も考えられます」
「アルテさんの目の力について帝王は知っているのか?」
「いいえ、私と家臣とアルテの両親のみ。一切口外しておりませんでした」
「うん?魔人族がアルテさんの目の力を知ったのはなぜ?」
「アルテの両親が帝国の上層部に金貨で買収され、魔人族に密告し私たちは追われてしまった。その辺りは死霊使いが笑いながら話してくれました」
「まだまだ色々と聞きたいことがあるんだが。姫さまと騎士とメイドさん達は今後どうするんだ?」
「戦います。魔人族も帝国も、すべてが憎いです。私の大事な家臣はほとんどアンデットに変えられてしまいました。抵抗力があった私含めて10名しか助からなかった。私たちの目の前で残逆に冷徹に殺していった魔人族が憎い。それを手助けしていた帝国も憎い。帝国上層部の話を信じて私たちを迫害した民も憎い。だから、私は復讐がしたいです」
ふーん...
「ケンさん、そろそろ私も話に参加してもいいですか?」
「変なこと言わなければいいよ」
「変なことを言った覚えはありませんが...ケンさん」
俺を見つめてくるユリさん。
あー、その目は決意した目だな。
「私は、セレネ姫の復讐に力を貸してあげたいです。もちろん、私の復讐に付き合ってもらうことが条件ですが。どうでしょうか?」
「悪くないね、人手はあった方がいいし、何よりも利害が一致している限り裏切らないだろう」
「本当ですか!?お力をお貸しして頂けるのであれば必ずユリ様の復讐をお手伝い致します!」
「長い時間話したんだ、腹が減ったな」
「申し訳ありません、私たちは食糧の持ち合わせがありません」
「あっ、別にご飯を要求している訳じゃない。ご飯の時間だなって言いたかっただけだから」
俺は、慌てて訂正しマジックバックから食糧を取り出す。
「みんなでご飯食べて、対帝国と魔人族について話そうか」
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