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転移
第27話 どーも、バカな発想です
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前書き
前回のあらすじ
主人公 苛立つ
本文
はい、どーも、苛立ついているオッサンです。
ねぇ、そこの君、知ってる?前の世界...ああ、地球のことね。生まれた瞬間からさ、平等じゃないんだよ。だからさ、思うだろ?あーなりたい、こーなりたいとかさ。それって当たり前に考えることなんだけど、つまり何が言いたいかと言うと、俺にもさっぱりわからねぇ。
「ユリさん、やっぱり、この世界の人間も前の世界と変わらねーわ。覚悟なさすぎしょ。足掻けよ、もっと考えろよ。そして行動しろよ。その為ならなんだってしろよ。なぜ出来ない、なぜやらない?」
「ケンさん...それはただ生かされて死んでいく事を受け入れている世界なのでしょう。私は、ケンさんを見て初めて渇望した。そして考え、必要なことをしてきたつもりです。ですが、後ろの男は違う。私たちとは違う。そう思っているのでしょう?ケンさん」
「お、お前たちは何を言っているんだ!?わ、わ私をどうするつもりだ!」
どーもしねぇーよ。
イラついて殺しちまうだろ?
話しかけんなよ。
コイツを殺すのは簡単だが、殺したらダメだ。俺は...
「ケンさん?私がこの男を殺しましょう。ケンさんが考えることはありません。ケンさんの邪魔になるのであれば私はすぐ...」
「お前らは狂っている!私は、私はここで死ぬわけにはいかない!」
自称商人のグランツは、俺たちに罵倒を浴びせ本陣の方へ逃げていく。
ふぅー、落ちつけ俺。また悪いクセが出ているぞ。
「ユリさん、ありがとう。気が立っていたみたいだ。MPまだ残っている?」
「ケンさん、私がずっと側にいますから。もっと寄りかかって下さいな。MPは、ほとんど使い切ってしまいました」
だよなー、俺もすっからかん。この死体だらけの中でどうすればいいんだよ。
「これから、どうしようか。何も思いつかねぇよ」
「本当にそうですね...どうしようもない状況ですね。地獄ですよ、ここは」
「あはは、全く同感だね。地獄だ、地獄」
マジックバックから煙草を取り出し火をつけて吸う。はぁー、うじうじ考えていても仕方ない。もう少し移動してみるか。
とぼとぼ歩く俺たち。
地獄絵図のような濁った地面に死体の山。
「この状況を作り出せる魔人はとんでもねーやつだな。警戒しても、いずれ合い見えるだろうし。このケジメはしっかり着けねーと。えーと、神龍、ミノス、魔人、そしてエルフの国と帝国だな」
「ふふふふ。ケンさんの普通の生活とやらは当分先になりそうですね」
「ほんと、まったくだよ。ねぇ、ユリさん。あそこからアンデットや兵士の死体がないんだけど」
「きっと、アンデットの進行を妨げる生者がいなかったのでしょう。あの辺りで休みますか?」
「休みたい、めちゃくちゃ休みたい。ただ、あそこには行かない。この辺りに穴を掘る。木を隠すなら森の中ということわざがあるくらいだから、隠れ忍ぶのに最適な場所はここだね」
「地獄に潜るみたいで良いですね!」
「時々、ユリさんの感性についていけない時があるよ」
酷使した身体へ更にムチを打ち穴を掘る。ちくしょー、前の世界で穴を掘るとか砂場ぐらいしか経験したことねぇよ。戦闘するより疲れる気がする。
「ケンさん、どのくらい掘るんですか?」
「えーと、マジックバックに入っている小さい家が入るぐらい掘るから縦4~5メートル横5メートルぐらいかな」
「その穴の中、小さい家を入れて土を被せて死体を置くのですか?」
「地上がダメなら地下に行くしかないでしょう?」
「ケンさんって、偶にバカになりますよね。ふふふふ」
こういった決断は時に必要だと思う。バカな発想だけど誰もやらない。だからこそ良いんだよ。
「無駄になるかもしれないけど、やらなきゃ分からないこともあるだろうから。あっ!ゴウケツがあるじゃないか!刃こぼれを一切しない。地面に向かって乱れ切りのスキルを使ってみるか」
それぐらいのスキルが使える程度にはMPはある。ゴウケツを取り出し地面に向かってスキル発動させる。ユリさんは一旦避難。
「おおおおりゃっ!」
ドォォオン
「あはは、あははは!ウケる!何やってんの俺。無駄なことしているよね?」
「そんなことありません!かなりの深さまで大地が抉られましたよ!」
剣撃とその衝撃で地面が抉られ、3メートルぐらいの深さに横5メートル以上の穴が空いている。そこに小さい家を入れてみると...
「うおおおっ!入ったよ!本当、小さい家だなこれ。ユリさん後はよろしく」
「これでしっかり休めるなら私も最後のMPを使って家を埋めて死体の山を移動させましょう!」
精霊魔法で風を操って小さい家に土が被っていく。ユリさんは穴の横にまた穴を開け地上に出て死体を不自然がないよう移動させる。
「ただいま戻りました。突拍子もない発想ですが、理に適ってますね。これなら、しっかり休息できます」
家の中に入り、簡単な食事を済ませた後、俺たちは死んだように睡眠をとる。
後書き
次回 姫さま
前回のあらすじ
主人公 苛立つ
本文
はい、どーも、苛立ついているオッサンです。
ねぇ、そこの君、知ってる?前の世界...ああ、地球のことね。生まれた瞬間からさ、平等じゃないんだよ。だからさ、思うだろ?あーなりたい、こーなりたいとかさ。それって当たり前に考えることなんだけど、つまり何が言いたいかと言うと、俺にもさっぱりわからねぇ。
「ユリさん、やっぱり、この世界の人間も前の世界と変わらねーわ。覚悟なさすぎしょ。足掻けよ、もっと考えろよ。そして行動しろよ。その為ならなんだってしろよ。なぜ出来ない、なぜやらない?」
「ケンさん...それはただ生かされて死んでいく事を受け入れている世界なのでしょう。私は、ケンさんを見て初めて渇望した。そして考え、必要なことをしてきたつもりです。ですが、後ろの男は違う。私たちとは違う。そう思っているのでしょう?ケンさん」
「お、お前たちは何を言っているんだ!?わ、わ私をどうするつもりだ!」
どーもしねぇーよ。
イラついて殺しちまうだろ?
話しかけんなよ。
コイツを殺すのは簡単だが、殺したらダメだ。俺は...
「ケンさん?私がこの男を殺しましょう。ケンさんが考えることはありません。ケンさんの邪魔になるのであれば私はすぐ...」
「お前らは狂っている!私は、私はここで死ぬわけにはいかない!」
自称商人のグランツは、俺たちに罵倒を浴びせ本陣の方へ逃げていく。
ふぅー、落ちつけ俺。また悪いクセが出ているぞ。
「ユリさん、ありがとう。気が立っていたみたいだ。MPまだ残っている?」
「ケンさん、私がずっと側にいますから。もっと寄りかかって下さいな。MPは、ほとんど使い切ってしまいました」
だよなー、俺もすっからかん。この死体だらけの中でどうすればいいんだよ。
「これから、どうしようか。何も思いつかねぇよ」
「本当にそうですね...どうしようもない状況ですね。地獄ですよ、ここは」
「あはは、全く同感だね。地獄だ、地獄」
マジックバックから煙草を取り出し火をつけて吸う。はぁー、うじうじ考えていても仕方ない。もう少し移動してみるか。
とぼとぼ歩く俺たち。
地獄絵図のような濁った地面に死体の山。
「この状況を作り出せる魔人はとんでもねーやつだな。警戒しても、いずれ合い見えるだろうし。このケジメはしっかり着けねーと。えーと、神龍、ミノス、魔人、そしてエルフの国と帝国だな」
「ふふふふ。ケンさんの普通の生活とやらは当分先になりそうですね」
「ほんと、まったくだよ。ねぇ、ユリさん。あそこからアンデットや兵士の死体がないんだけど」
「きっと、アンデットの進行を妨げる生者がいなかったのでしょう。あの辺りで休みますか?」
「休みたい、めちゃくちゃ休みたい。ただ、あそこには行かない。この辺りに穴を掘る。木を隠すなら森の中ということわざがあるくらいだから、隠れ忍ぶのに最適な場所はここだね」
「地獄に潜るみたいで良いですね!」
「時々、ユリさんの感性についていけない時があるよ」
酷使した身体へ更にムチを打ち穴を掘る。ちくしょー、前の世界で穴を掘るとか砂場ぐらいしか経験したことねぇよ。戦闘するより疲れる気がする。
「ケンさん、どのくらい掘るんですか?」
「えーと、マジックバックに入っている小さい家が入るぐらい掘るから縦4~5メートル横5メートルぐらいかな」
「その穴の中、小さい家を入れて土を被せて死体を置くのですか?」
「地上がダメなら地下に行くしかないでしょう?」
「ケンさんって、偶にバカになりますよね。ふふふふ」
こういった決断は時に必要だと思う。バカな発想だけど誰もやらない。だからこそ良いんだよ。
「無駄になるかもしれないけど、やらなきゃ分からないこともあるだろうから。あっ!ゴウケツがあるじゃないか!刃こぼれを一切しない。地面に向かって乱れ切りのスキルを使ってみるか」
それぐらいのスキルが使える程度にはMPはある。ゴウケツを取り出し地面に向かってスキル発動させる。ユリさんは一旦避難。
「おおおおりゃっ!」
ドォォオン
「あはは、あははは!ウケる!何やってんの俺。無駄なことしているよね?」
「そんなことありません!かなりの深さまで大地が抉られましたよ!」
剣撃とその衝撃で地面が抉られ、3メートルぐらいの深さに横5メートル以上の穴が空いている。そこに小さい家を入れてみると...
「うおおおっ!入ったよ!本当、小さい家だなこれ。ユリさん後はよろしく」
「これでしっかり休めるなら私も最後のMPを使って家を埋めて死体の山を移動させましょう!」
精霊魔法で風を操って小さい家に土が被っていく。ユリさんは穴の横にまた穴を開け地上に出て死体を不自然がないよう移動させる。
「ただいま戻りました。突拍子もない発想ですが、理に適ってますね。これなら、しっかり休息できます」
家の中に入り、簡単な食事を済ませた後、俺たちは死んだように睡眠をとる。
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