どーも、反逆のオッサンです

わか

文字の大きさ
上 下
26 / 145
転移

第26話 どーも、苛立ちと醜さです

しおりを挟む
前書き

前回のあらすじ

主人公 自称しがない商人を助ける


本文


どーも、しがない商人を助けた?オッサンです。
アンデットの群れから助けるんだ、もちろん対価があって当然だと俺は思う。命の恩人なのか?少し高圧的になり過ぎたかも。少し反省...しねーよ!

「グランツはあの剣しか持っていないのか?」

「ああ、私のコレクションの中でも1番効果が優れていたからね。まさか、暴走するとは思っていなかった」

爆発の原因は俺なんだけどね。魔石に魔力を付与させて暴走させたんだけど、上手くいって良かった。
代わりの剣をグランツに渡して、俺は向かってくる骨鬼スケルトンを斬り捨てる。それを繰り返しながらグランツに問いかける。

「本当にキリがない。グランツ、前線って言ってたよな?このまま帝国に帰っても大丈夫なのか?」

「戻ったとしても、また前線に送り込まれると思う。死ねと命令してくる奴らだから。アンデットにされて帝国に戻るなんて残酷でしかない」

「なぜ帝国は魔人と戦争になったのですか?」

「私が聞いた話によると、戦争のきっかけはとある魔人が殺されたことらしい。騎士たちはそれを否定しているけど」

「とある魔人って何者?」

「人族と友好的だった女性の魔人らしい」

「先程から憶測みたいな言い方ですね。信憑性あるのですか?」

ユリさん...グランツに対して態度キツいよ。さっきからイライラしてるし。

「それは、あるとは言い切れない。私は商人のツテで聞いたに過ぎないから。真実を知るのは帝国の上層部ぐらいだろう」

「ふーん、魔人側が偽の情報を流して撹乱させてるのかもしれないね。帝国の騎士って強いの?」

「君たちほど強くないけど、私たち平民や農民に比べたら手も足も出ないさ」

「あなたは、どうして生き残りたいと思われたのですか?」

「まだ、やりたいことがあったからとしか言いようがない。あの剣だってその為に騎士たちの目を盗んで持ち込んだのだから」

「グランツをこの場から助けるのが俺たちとの約束だし、こちらとしては情報があれば何でもいい。やっと、アンデットの数が減ってきた...」

身体能力向上のスキルの効果がもうすぐ切れるだろう。アンデットはほとんど俺たちに始末されるか通り過ぎて本陣の方へ向かっている。

「ケンさん、あと少しです。頑張りましょう?」

「そうだね、もう少しの辛抱だ。グランツ、この場で生き残りたいのなら俺たちの言う通りに動けよ?」

「もちろん従う。君たちの名前は、なんと呼べばいい?」

うん?別に俺たちのことを話すことが出来ない契約だから何でも良いんだけど。

「ユリさん、どうする?任せるよ」

俺はユリさんに丸投げし、アンデット退治に勤しむ。前線は崩壊、帝国は時間稼ぎのために死んでもいい人間を配置したと考えられる。兵士に偽装したのはいいけど、本陣を通って帝国の街に行かないといけない。

「ケンさん。名前はそのままがいいです。私の名前は、ケンさんが考えて与えてくださったもの。だから...」

名前ってそんなに大事かね?ユリさんが、そう言うならそのままでいいか。

「分かった。グランツ、俺の名前はケン。そしてユリさん。改めてよろしく」

了承をしたということで頷くグランツ。

「ケン、私は何をすればいい?」

「しっかり休んでおけ。そろそろアンデット達が居なくなる。お前は、アンデットに有効な物を所持しているのか?」

「あるにはあるが、精々アンデット1体倒すだけで終わってしまう。アンデットは死者。生者の回復魔法やポーションはアンデットには毒になる。私はポーションを数本所持している」

こいつ...そんな装備だけで前線にいたのか。商人ならもっといい装備は出来ないのか?死にたくないなら、もっと足掻けよ。

「あくまでもこの場から助けてやるだけなんだが、お前この後どうするの?」

「君たちに同行してはダメか?」

「ダメです!あなたをこの場から助けるだけであって、その後のことは約束しておりません」

「そこをなんとか!頼む!私は君たちがいないと死んでしまう!」

「寄生虫ですか、あなたは。私はあなたに対して存在価値を見出せません。ハッキリ言いましょうか。邪魔なのです」

ユリさんは正論を言ってると俺は思う。別にグランツが居なくても俺たちならこのまま帝国に潜り込める。

「金なら店にある!それに私がいれば君たちは、帝国兵士の1人だと証言できる!君たちは帝国のことを知らないだろ?知っている情報は全て話す。引き続き私を守ってくれ!」

「はぁ、あなたは戦わず私たちが守れと?それに、この場から助ける際のこちらからの要求をまだしておりません」

「要求?君たちのことを口外しないということだけではないのか?私は、命をかけて君たちに従っているんだ!」

いざ自分の死が近くにあると普通こうなるよな。でもさ、取引きしただろ?この場から助けるだけと。良い情報を期待してアンデットから守っていたのに...こいつ初めから帝国の情報を持っているから優位にいると勘違いしてないか?

「命をかけて従っている?別に口外しなければどこに逃げても構いませんよ。ねぇ、ケンさん?」

「そうだね、ユリさん。グランツ、お前を助けて守っていたのは情報が欲しかっただけ。命を救ってやったんだ、だったら命をかけて従うのは当たり前だろ?」

「それは、横暴だ!」

その通りです。この世界のことわりだ。力なき者から死んでいく。それが嫌なら考え行動しなきゃ。

「一応聞いておこうか。お前、何が望みだ?」

「生きて家に帰る。そしてこんな国から出て...」

「いや、違う。俺たちに対して望むことだ」

「そ、それは、私を家まで護衛してほしいことだ」

最後のアンデットを倒した俺は、グランツに返答する。

「もう、お前とはここでお別れ。もう、従わなくていいぞ」

なんでこんな奴助けたんだろう。面倒くさい、煩わしい。テメェのことはテメェでなんとかしろよ。

「待ってほしい!私と改めて取引きしないか?」

「しません。早くここから消えてください。あなた、先程から私を値踏みしていましたよね?そんな人とは取引きしたくありません」

あー、そういうことだったのか。ユリさんがこいつに冷たい対応してたのは。グランツ、お前、値踏みするとかアホだな。

「エルフのお前に聞いていない!ケン!お前と交渉がしたい!」

「白金貨10000枚。確実に払えるなら1日だけ護衛してやろう。金でお前は安全を買えるんだ。いい提案だろ?」

「払えるわけがない!くそっ、これだから力しか脳がないバカは困る」

いい加減、こいつに時間かけてられない。

「ユリさん、このバカを助けた判断をした俺がバカだったよ。猛烈に後悔している」

「私は始めから嫌でした。この男を見ていると、奴隷商人を思い出します」

本当に申し訳ない事をした。俺とユリさんは、本陣とは別の方向へ歩いていく。俺たちの後ろからついて来るグランツ。

あのさー、いい加減にしろよ?



後書き

次回 バカな発想
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

劣等冒険者の成り上がり無双~現代アイテムで世界を極める~

絢乃
ファンタジー
 F級冒険者のルシアスは無能なのでPTを追放されてしまう。  彼は冒険者を引退しようか悩む。  そんな時、ルシアスは道端に落ちていた謎のアイテム拾った。  これがとんでもない能力を秘めたチートアイテムだったため、彼の人生は一変することになる。  これは、別の世界に存在するアイテム(アサルトライフル、洗濯乾燥機、DVDなど)に感動し、駆使しながら成り上がる青年の物語。  努力だけでは届かぬ絶対的な才能の差を、チートアイテムで覆す!

処理中です...