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5章 迷宮編

35.懐かしの部屋

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 俺の部屋の扉の前に来た。
 「ここだ。俺が転生する前に過ごしていた家」
 そういいながらドアノブに手をかけひねり、押す。
 俺はこの部屋で友達と談笑したりゲームをしたり、一人で読書や勉強もしていた。
 そんな思い出がたくさんある部屋だ。
 「いろんなものがあるね、これはなに?」
 ユリアはマンガを手に取りめくっている。
 「本だよ」
 「これが!? こんなにちっちゃいの!?中にいろんな絵がかいてあるよ!」
 「マンガってやつだね」
 「見たことない文字」
 「日本語ってやつだよ、俺らの世界にある言語のひとつだね」
 「へー」
 とくにメルとユリアが興味を持っていた。
 そんな会話をしている。
 彼女たちには魅力的なもの、珍しいものがたくさんありあちこち見て回っている。
 
 しばらく付き合っていると違和感を感じた。
 何かがおかしい。
 何かが違う。

 「ねぇシュウ君、この扉あけていい?」
 「え?」
 目を疑った。
 俺の部屋には1つしか扉はなかったはずだ。
 部屋の雰囲気に合わない扉が一つ。
 異様な雰囲気が漂っている。
 どうしてこの扉に気づかなかったのか。

 「まって、俺が住んでいた時にその扉はなかったから危険かもしれない」
 ここはあくまで迷宮だ。
 警戒をすべきだろう。

 「えっ?あっあけちゃった・・・」
 遅かったようだ。
 顔面蒼白のエミリーが持っている扉のノブ。
 その扉の奥は漆黒の空間があった。

 「えっ、大丈夫かコレ」
 そう口にした瞬間周りの光景が吸収されていく。
 漆黒に飲み込まれていく景色に圧倒されていく。

 気づけばあたりは漆黒の空間が広がっている。
 「ここは?」
 俺らは周囲を見渡す。
 すると真っ白な光が広がり、その光から滝が浮かび上がる。

 どうやら幻想、幻術の類だろう。
 しばらくして滝つぼから現れたのは巨大な龍。

 幻術、龍と来た。
 これは古くから日本や中国に伝わる伝説の存在
 
 ”しん”だろう。
 厳密には日本神話ではないが、日本にかかわる存在であることには変わりはない。

 蜃気楼を生み出す龍であれば、俺の記憶をもとに、その人に合わせた空間を作ることは可能であろう。
 俺達はまんまと引っかかったわけだ。

 そして鞘から剣を抜き、臨戦態勢に入る。
 蜃に剣を向け、距離を保ちながら見合う。
 すきをみせぬように
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二日間見ない間にお気に入りが2800突破してました!
ありがとうございます!
引き続きよろしくお願いします!!
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