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クレア、ドラゴンを創る③

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創るのに一時間ぐらいかかったかな。ずっとペンチを動かしていた腕はパンパンだし、座らずに作業していたから足はガクガクだ。

と、立ちっぱなしで見ていたウールさんが私のもとに来て言った。

「素晴らしいじゃないですか!大きさは小さいながらも個性に溢れていて、なにより表現に優れている!私はドラゴンを創ったことはありませんが、非常に再現されていると思います」

彼は拍手しながら私に近づいてきた。目元をほころばせては、まるで自身のことのように嬉しそうに高らかに言う。

「この翼の美しさ!機械人形を創るのは初めてだというのに、この完成度の高さ!これは父を超えるかもしれませんね……」

「いえいえ、トートおじさんと比べないでくださいよ!私はまだ、今日創ったばかりの未経験者なんですから!」

抵抗するように言えば、ウールさんは品定めするような目で聞いてきた。

「本当に、貴方はどこからやってきたんです?父の娘さんとよく似ている……生まれ変わりなのかもしれませんね。そうじゃなかったとしても、貴方の腕は天才と呼ぶにふさわしい」

「そんな、言い過ぎですよ……」

この人、たまに怖くなるんだよな。思ってること言い当ててきたり、感情の赴くままに喋るからお芝居やってる演劇部の人みたい。

「それで色付けはどうします?」

「もちろん手でやります!」

魔法でぱぱっと終わらせちゃうより、手作業でじっくりやった方が楽しいもん!

「何色にするんですか?」

「白色にします!好きな色なので」

満面の笑みで言えばウールさんは声を張り上げる。

「白でしたら、イトラギですね。昔から魔除けとしても使われる染料です」

「イトラギって、アリのですか?」

「ええ、父上に勧められて飲みませんでしたか?イトラギを潰して煮込んで冷ましたもの……簡単に言えば、ジュースですね。ですが普通に潰して水と混ぜれば、染料になるんです。まぁ潰したまま水と混ぜずに口に入れると、イトラギ自体が毒を持っているので、口が痺れますがね」

そんな危ないアリなんだ、イトラギって……。

「イトラギって普通に家の周りとかにいるんですか?」

「いますよ。さぁ、捕りにいきましょうか」

許可も取らずに私の手を引いて、彼はスタスタと歩いていく。私はそれに急いで着いていく。

出ていく前にトートおじさんがちらっとこっちを見た気がしたが、気のせいだろう。スタスタとウールさんの後を着いていった。

「イトラギは家の下によくいるんです。白っぽくて暗闇では光っている……ああ、あれです」

ウールさんに続いて家の下を見れば、確かに細くて白っぽく光っている、かなりデカめのアリがいた。触角を動かして、忙しそうに動いている。

「手掴みして大丈夫ですか?」

「もちろん。そのままでは無害ですから」

家の下に潜り込み、自転車の補助輪ぐらいの大きさのアリをぎゅっと掴み、引きずり出した。想像してたよりも大きいなぁ……。

「何匹くらい必要ですかね?」

「ドラゴンぐらいとなると……15匹ほど必要かと」

言われた通り、四つん這いで家の下に潜り込み、15匹ほどを手いっぱいに掴み、外に出た。すると、ウールさんがバケツのような虫かごを持って立っていた。

「さぁ、この中に 入れてください」

私はわくわくした目でアリを見つめるウールさんを横目に、どんどんアリをバケツに入れていった。
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