2 / 11
小さき村、トゥルでの出会い①
しおりを挟む
徐々に視界が開けていく。
ぱちぱちと目を瞬いてみれば、そこは別世界だった。
「え」
病院かと思っていた目の前は、木ばかりで植物が生い茂っていた。自分は横たわっているようで、澄み渡った青空と、赤黒い空飛ぶ大きい生物が見え……なにあれ、ドラゴン?
本の世界に出てくる、火噴いたり空飛んだりするあのドラゴン?
「え?」
身体を見れば、制服じゃなくなっていた。立ち上がって全身を見てみる。白くて薄いワンピースに、青い布を肩から掛けていた。白すぎる肌、靴下はなくて裸足。手で髪を触れば、短かった黒髪が腰ぐらいまでの灰色の髪になっていた。
と、草むらからウサギが飛び出してきた。驚いたと同時に、異常なその生物に叫んでしまった。
「なにこれ!?」
とっさにウサギを掴む。みゅっ!と変な鳴き声がしたが気にしない。そのウサギは薄いピンク色をしていて、耳が大きい鏡になっていた。音は聞こえないのだろうか。いやそんなこと、どうでもいい。
「赤色?」
鏡を覗きこめば、私の目は黒色ではなくて鮮紅色になっていた。こんな鮮やかな赤色、初めて見たかも。ていうか、赤色の瞳って珍しいんじゃなかったっけ?
「うみゅ~!」
「あ、ごめんごめん」
強く掴んでしまっていたウサギを離してやる。1メートルくらい跳びながら、森の奥に消えていった。跳ぶ高さ、高くない!?
さっきから驚いてばっかりだが、やっと察した。
ここは異世界なのだと。
本の世界にあるような、異世界なのだと。
森の中を歩いてみる。裸足だが、絨毯のような背の低い芝生が気持ちよくて、痛く感じない。
日差しは優しく照りつけていて、肌が痛むような感じはしない。
なんなんだ、この世界!
小さな丘を下れば、眼下には平和そうな村が広がっていた。決して広いとは言えないけど、店が所々にあって、栄えているようだった。
ていうか視力いいな、私!
橋が石畳なのも見える!
目を見開いてその景色を堪能していれば、
後ろから声をかけられた。
「嬢ちゃん、こんなところでどうしたんだい?」
ぱちぱちと目を瞬いてみれば、そこは別世界だった。
「え」
病院かと思っていた目の前は、木ばかりで植物が生い茂っていた。自分は横たわっているようで、澄み渡った青空と、赤黒い空飛ぶ大きい生物が見え……なにあれ、ドラゴン?
本の世界に出てくる、火噴いたり空飛んだりするあのドラゴン?
「え?」
身体を見れば、制服じゃなくなっていた。立ち上がって全身を見てみる。白くて薄いワンピースに、青い布を肩から掛けていた。白すぎる肌、靴下はなくて裸足。手で髪を触れば、短かった黒髪が腰ぐらいまでの灰色の髪になっていた。
と、草むらからウサギが飛び出してきた。驚いたと同時に、異常なその生物に叫んでしまった。
「なにこれ!?」
とっさにウサギを掴む。みゅっ!と変な鳴き声がしたが気にしない。そのウサギは薄いピンク色をしていて、耳が大きい鏡になっていた。音は聞こえないのだろうか。いやそんなこと、どうでもいい。
「赤色?」
鏡を覗きこめば、私の目は黒色ではなくて鮮紅色になっていた。こんな鮮やかな赤色、初めて見たかも。ていうか、赤色の瞳って珍しいんじゃなかったっけ?
「うみゅ~!」
「あ、ごめんごめん」
強く掴んでしまっていたウサギを離してやる。1メートルくらい跳びながら、森の奥に消えていった。跳ぶ高さ、高くない!?
さっきから驚いてばっかりだが、やっと察した。
ここは異世界なのだと。
本の世界にあるような、異世界なのだと。
森の中を歩いてみる。裸足だが、絨毯のような背の低い芝生が気持ちよくて、痛く感じない。
日差しは優しく照りつけていて、肌が痛むような感じはしない。
なんなんだ、この世界!
小さな丘を下れば、眼下には平和そうな村が広がっていた。決して広いとは言えないけど、店が所々にあって、栄えているようだった。
ていうか視力いいな、私!
橋が石畳なのも見える!
目を見開いてその景色を堪能していれば、
後ろから声をかけられた。
「嬢ちゃん、こんなところでどうしたんだい?」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。


特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる