自称レベル3のゴミ拾い娘は機械人形専門店の看板娘です!

ぎゃけもの

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小さき村、トゥルでの出会い①

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徐々に視界が開けていく。
ぱちぱちと目を瞬いてみれば、そこは別世界だった。

「え」

病院かと思っていた目の前は、木ばかりで植物が生い茂っていた。自分は横たわっているようで、澄み渡った青空と、赤黒い空飛ぶ大きい生物が見え……なにあれ、ドラゴン?
本の世界に出てくる、火噴いたり空飛んだりするあのドラゴン?

「え?」

身体を見れば、制服じゃなくなっていた。立ち上がって全身を見てみる。白くて薄いワンピースに、青い布を肩から掛けていた。白すぎる肌、靴下はなくて裸足。手で髪を触れば、短かった黒髪が腰ぐらいまでの灰色の髪になっていた。

と、草むらからウサギが飛び出してきた。驚いたと同時に、異常なその生物に叫んでしまった。

「なにこれ!?」

とっさにウサギを掴む。みゅっ!と変な鳴き声がしたが気にしない。そのウサギは薄いピンク色をしていて、耳が大きい鏡になっていた。音は聞こえないのだろうか。いやそんなこと、どうでもいい。

「赤色?」

鏡を覗きこめば、私の目は黒色ではなくて鮮紅色になっていた。こんな鮮やかな赤色、初めて見たかも。ていうか、赤色の瞳って珍しいんじゃなかったっけ?

「うみゅ~!」

「あ、ごめんごめん」

強く掴んでしまっていたウサギを離してやる。1メートルくらい跳びながら、森の奥に消えていった。跳ぶ高さ、高くない!?

さっきから驚いてばっかりだが、やっと察した。


ここは異世界なのだと。
本の世界にあるような、異世界なのだと。


森の中を歩いてみる。裸足だが、絨毯のような背の低い芝生が気持ちよくて、痛く感じない。
日差しは優しく照りつけていて、肌が痛むような感じはしない。

なんなんだ、この世界!

小さな丘を下れば、眼下には平和そうな村が広がっていた。決して広いとは言えないけど、店が所々にあって、栄えているようだった。

ていうか視力いいな、私!
橋が石畳なのも見える!

目を見開いてその景色を堪能していれば、
後ろから声をかけられた。

「嬢ちゃん、こんなところでどうしたんだい?」
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