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2017-11-17。こんな夢を見た。
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真四角な部屋でした。
といっても、私たちの寝室は元より四畳半ですから、当然といえば当然です。
ですが、青白い部屋というのは妙な物です。
光も、壁も、天井も、床も、みな青白いのです。
東は窓。西は壁。南は壁。北に扉。
その扉が、開いていました。
南枕に寝る私たちの、足下にぽっかりと長四角の暗闇が口を開けています。
そうです。私たちは眠っています。
青白く硬く冷たいタイル張りの床の上に、直接布団を敷き延べて、横たわっています。
開け放たれた扉の向こうには、薄暗い廊下があります。
リノリウムが敷き詰められた廊下の上を、白衣の人たちがせわしなく行き交っています。
西の壁の向こう側には階段があるはずです。
冷たい手すりにすがるようにして、青白い顔の人たちが足取り重く上り下りしています。
ああ、扉を閉めなければいけません。
ただでさえ寒いこの部屋に、冷たい風が……いいえ違う。
生暖かい風が吹き込んできます。
深い闇の色をした、人間の形をした風が、四つに這って、扉から這入ってきます。
人の形をした風は、私の足下から布団の上に乗り、私の体に沿って這い歩きます。
右手と左手と右足と左足の四つの重さが、私の脚から胴に向かって移動するというのに、私は体を動かすことができません。
横隔膜は動かず、心臓も止まったまま、ただ布団を頭までかぶって、出せない声で君を呼びました。
青黒い顔の中に二つの濁った目玉を持つ、人の形をした風が、私の体の大きさにぴったりと重なって、私の体の上にのしかかったまま、私と同じように動かなくなりました。
そのとき君は、何事もないかのように、何事にも気付かぬように、死んだように眠っていました。
……そんな夢を見た。
といっても、私たちの寝室は元より四畳半ですから、当然といえば当然です。
ですが、青白い部屋というのは妙な物です。
光も、壁も、天井も、床も、みな青白いのです。
東は窓。西は壁。南は壁。北に扉。
その扉が、開いていました。
南枕に寝る私たちの、足下にぽっかりと長四角の暗闇が口を開けています。
そうです。私たちは眠っています。
青白く硬く冷たいタイル張りの床の上に、直接布団を敷き延べて、横たわっています。
開け放たれた扉の向こうには、薄暗い廊下があります。
リノリウムが敷き詰められた廊下の上を、白衣の人たちがせわしなく行き交っています。
西の壁の向こう側には階段があるはずです。
冷たい手すりにすがるようにして、青白い顔の人たちが足取り重く上り下りしています。
ああ、扉を閉めなければいけません。
ただでさえ寒いこの部屋に、冷たい風が……いいえ違う。
生暖かい風が吹き込んできます。
深い闇の色をした、人間の形をした風が、四つに這って、扉から這入ってきます。
人の形をした風は、私の足下から布団の上に乗り、私の体に沿って這い歩きます。
右手と左手と右足と左足の四つの重さが、私の脚から胴に向かって移動するというのに、私は体を動かすことができません。
横隔膜は動かず、心臓も止まったまま、ただ布団を頭までかぶって、出せない声で君を呼びました。
青黒い顔の中に二つの濁った目玉を持つ、人の形をした風が、私の体の大きさにぴったりと重なって、私の体の上にのしかかったまま、私と同じように動かなくなりました。
そのとき君は、何事もないかのように、何事にも気付かぬように、死んだように眠っていました。
……そんな夢を見た。
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