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2013年9月17日。こんな夢を見た。
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博物館は、電車で二駅先にある。
駅に降り立つと、目の前には高い金網とナイター照明がそびえていた。
照明の柱の根本に、博物館があった。
小さな、民営の博物館だ。古びた機械と古びた部品が、いくつもいくつも展示されている。
どの機械もどの部品も、大切に保存されている。
空気の動かない箱の中で、暗い明かりにぼんやりと照らされ、ピンで固定されて、ぴくりとも動かない。
油と埃の混じった甘いにおいのする博物館だった。
見学を終えて駅に向かうと、駅員が戸締まりをしていた。
「もう電車は終わりです」
私はバス停に向かった。
時刻表にはセルに何も入っていない表が貼られている。
歩いて帰るより他にないらしい。
車通りの無い道の片側は大きな工場に面していて、高いコンクリートの壁が長々と続いている。
道の反対側には金網のフェンスがあり、ナイター照明の柱が林立している。
歩いても歩いても、ずっと工場の壁と高い金網のフェンスが続く。
やがて工場の敷地が終わり、交差点が現れた。
三叉路だった。
前に進むか、右に折れるか。
私は工場の裏門あたりに立っていた従業員らしき男性に訊いた。
「○○に帰るにはどちらに行けばよいですか」
「あちらですよ」
男性が指し示したのは元来た道だった。
「夕ご飯までに帰れるかしら」
私は金網フェンスとコンクリ壁の間の道をずっと歩いた。
……そんな夢を見た。
駅に降り立つと、目の前には高い金網とナイター照明がそびえていた。
照明の柱の根本に、博物館があった。
小さな、民営の博物館だ。古びた機械と古びた部品が、いくつもいくつも展示されている。
どの機械もどの部品も、大切に保存されている。
空気の動かない箱の中で、暗い明かりにぼんやりと照らされ、ピンで固定されて、ぴくりとも動かない。
油と埃の混じった甘いにおいのする博物館だった。
見学を終えて駅に向かうと、駅員が戸締まりをしていた。
「もう電車は終わりです」
私はバス停に向かった。
時刻表にはセルに何も入っていない表が貼られている。
歩いて帰るより他にないらしい。
車通りの無い道の片側は大きな工場に面していて、高いコンクリートの壁が長々と続いている。
道の反対側には金網のフェンスがあり、ナイター照明の柱が林立している。
歩いても歩いても、ずっと工場の壁と高い金網のフェンスが続く。
やがて工場の敷地が終わり、交差点が現れた。
三叉路だった。
前に進むか、右に折れるか。
私は工場の裏門あたりに立っていた従業員らしき男性に訊いた。
「○○に帰るにはどちらに行けばよいですか」
「あちらですよ」
男性が指し示したのは元来た道だった。
「夕ご飯までに帰れるかしら」
私は金網フェンスとコンクリ壁の間の道をずっと歩いた。
……そんな夢を見た。
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