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20xx年x月x日。こんな夢を見た。
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強盗団のリーダは拳銃を持っていた。
人質達はひとかたまりになってふるえている。
私はどうしても助かりたかった。
だから、他の人質達を出し抜いて、強盗団に取り入ることにした。
裏切り者となじられながら、私は強盗団のリーダーにぬかづいたのだ。
人質達の罵詈雑言など、私の耳には入らない。
私は生きなければならない。生きて帰らなければならない。
そのためだったら、何だってしてやろう。
私はおびえるばかりの人質達を罵った。
「莫迦共め、愚か者共め! 弱虫共、意気地無し共め!」
つばをまき散らして品無くわめいた後、私は精一杯の笑顔を強盗団のリーダーに向けた。
直後、額が銃口の冷たさを感じた。引鉄にかかった指がゆっくりと収縮して行く。
ああ、死ぬ。脳漿をまき散らして、醜く死ぬ。
私は目をつぶって叫んだ。
「神様、懺悔します」
鉛玉が私の頭の中を突き抜けて行った。
こんな夢を見た自分が情けなく、恥ずかしく、憎らしくてならない。
私は泣いた。声を上げて泣いた。
泣き顔を埋めた布団は、涙と血と溶けた脳髄で汚れていった。
……そんな夢を見た。
人質達はひとかたまりになってふるえている。
私はどうしても助かりたかった。
だから、他の人質達を出し抜いて、強盗団に取り入ることにした。
裏切り者となじられながら、私は強盗団のリーダーにぬかづいたのだ。
人質達の罵詈雑言など、私の耳には入らない。
私は生きなければならない。生きて帰らなければならない。
そのためだったら、何だってしてやろう。
私はおびえるばかりの人質達を罵った。
「莫迦共め、愚か者共め! 弱虫共、意気地無し共め!」
つばをまき散らして品無くわめいた後、私は精一杯の笑顔を強盗団のリーダーに向けた。
直後、額が銃口の冷たさを感じた。引鉄にかかった指がゆっくりと収縮して行く。
ああ、死ぬ。脳漿をまき散らして、醜く死ぬ。
私は目をつぶって叫んだ。
「神様、懺悔します」
鉛玉が私の頭の中を突き抜けて行った。
こんな夢を見た自分が情けなく、恥ずかしく、憎らしくてならない。
私は泣いた。声を上げて泣いた。
泣き顔を埋めた布団は、涙と血と溶けた脳髄で汚れていった。
……そんな夢を見た。
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