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余録

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 ところで、真田源太郎信綱の嫡女に生まれ、ろうと名付けられたの姫のことなのだが――。

 親の心子知らず、とはよく言ったものであった。
 父や叔父達が苦心の結晶たるその名を、姫は嫌い抜いた。
 どれ程嫌ったかは、後世に残った真田家の記録を見れば察することができよう。

 現代に残された様々な文書・書状・史料の類いを片端から繰っても、この姫の本名・・を見いだすことが出来ない。
 本名・・ばかりか、通称名・・・すらも書き残されていない。
 僅かに戒名かいみょうのみが伝わっているが、そこから実名を類推することは難しい。

 さて、姫は後年、縁あって夫となった二つ程・・・年下の・・・従弟いとこにも、始めはその名を明かさなかったそうな。
 真田本家・・・・継いだ・・・その夫には、己で考えた全く別の名を告げ、それ以外では呼ばせなかったのだという。

 そのために、後々、少々ややこしいもんちゃくが起きることとなる。

 ……のだが、それはまた、別の話である。

                                   【了】
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感想 2

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みんなの感想(2件)

浅雪ささめ
2019.02.11 浅雪ささめ

rtありがとうございました。
お気に入り登録させていただきました。
しっかりとした文で、流石だなという印象でした。自分とはあまりにも差がありすぎます。
これからも頑張ってください!
応援してます。

神光寺かをり
2020.06.09 神光寺かをり

お返事が大変遅くなりまして、申し訳ございませんでした。

お読みいただきありがとうございました。

解除
Hokusai☆
2019.01.18 Hokusai☆

源五郎が知識豊富で直ぐに知恵を引き出せるので、やはり才人だと思います。^^
魅力的です。

神光寺かをり
2019.01.21 神光寺かをり

ありがとうございます!

解除

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