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結果として俺の寝床がなくなったんだが
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翌日の真田信幸屋敷の様子というのは、全く奇妙なものあった。
前日、大星神社で神事をすませた信幸は、とって返して上田城内に籠もった。父親の真田昌幸となにやら「謀」を廻らしているらしく、夜が深まってもなかなか戻らない。
四倍の勢力で攻めてきた徳川方を翻弄し、見事に敗退させた上田城であるが、実のところ完成しているとは言い難かった。
現状の上田城は、極端に言えば砦に毛が生えたような状態であるし、城下の武家屋敷も町屋も整備が足りていない。
今、信幸が割り当てられている屋敷にしてもあくまでも「仮のもの」である。城が完成したなら、おそらく三の丸の東端の大手門の近くか、さもなくば本丸北虎口を出たあたり、川筋を北へ付け替えて作ったため池のような堀の外側――に住むことになるだろう。
ひとたび戦になればその二カ所――敵が関東勢ならば東門、北陸関西勢ならば北門――こそが寄せ手が集中する場所になるはずだからだ。
どちらの防備にも息が抜けぬ。
そういった訳で、仮住まいの屋敷はいささか……いや、相当に手狭である。そこに、新妻と古女房が同居するのだから、何か悶着の一つ二つが起きてもおかしくない。
信幸も、よもや掴み合いの喧嘩になるようなことはあるまいと思うている。思うてはいるがしかし、稲は武術の心得があるし、垂氷は健脚自慢の口達者である。そして二人とも揃って少々気が強いところがある。
垂氷と稲が不仲になると言うことは、その背後にある真田と徳川とが不仲になるのと同じ事である。二人の間に諍いが起きなければ、それを切っ掛けとした二つの家の対立は起きない。
駿府から稲を連れ出して上田へ行く、と決めた時から、信幸は覚悟していた。
その覚悟は、肩すかしにされてしまった。
仲がよいのだ。
垂氷の父は信幸に父方の伯父である真田源太左衛門尉信綱、稲の父は徳川家康の子飼の忠臣たる本多平八郎忠勝。共に勇猛な武将である。
二人はそれぞれの初子の長女であり、年若い弟がおり、なにより、家の都合で嫁ぎ先を決められたという境遇が似通っていたところから、気があったらしい。
夜になって信幸が屋敷に戻った時には、稲と垂氷はまるで十年来の友か、姉妹のように語り合い、笑い合っていた。
いつまでもいつまでも話は止まらない。夜が更けると同じ部屋に床を延べて枕を並べてしゃべり続ける。
寝所に敷かれた布団は二組だけである。
二人の女房が延々と話して止まぬ寝室と、障子一つ隔てた四畳敷の狭い次の間で、信幸は独り、ぽつねんと枕を抱えている。
「さても、『戦』の成り行きを予想するのは難しい。ことに、人間の動きようというものは、解らぬものよな……」
カラカラ、コロコロとした笑い声を聞きながら、信幸はパタリと臥所に倒れ込んだ。
「何をあれほど話すことがあるのだろう」
ため息じみた欠伸を一つした信幸は、瞼を閉じたすぐ後には、もう深い眠りの底に落ちていた。
翌朝、朝餉の膳が三つ並んだ。
信幸の碗によそわれた白粥の上には、堅く漬けた梅漬けを刻んだものが散らしてある。
「若様は胃の腑がお弱いのが玉の瑕の中で一番酷い瑕でございます」
垂氷の笑顔は夫ではなく本妻の方に向けられていた。
「まるで私に良い所がないように……」
信幸は肩を落としてつぶやくような小声で言った。碗を持ち上げたものの箸を付ける気が起きてこない。
「玉の中には、瑕のように見える模様を持つものもございます、好事家はその瑕模様もまた『景色』と称して珍重するとか」
稲がふわりと笑いかけるが、信幸はどんよりと曇った顔をして、
「珍しがられてもな……」
ますます小さな声で言う。大きな背中を丸めて、ちらりと垂氷の顔色を窺い見る。
「侍大将が青白い顔で『持病の癪が』などと申して、大事な合戦に出られない……では、なんとも惨めこの上ありません」
そうぴしゃりと決め付けた垂氷の目の色の中に、笑みはなかった。
信幸は頬を引きつらせた。
「……あるいは戦場で、腹痛に耐えかねてどこか木陰に駆け込んで、しゃがんだ途端に首討たれるのも、恥ずかしいことであるから……。死ぬにしても、はらわたの中だけは綺麗にしておかぬと、な」
白粥に箸を付けて、もそもそと口に運ぶ。
妙に心細い物言いが、妻達の気に掛からぬはずがない。
「殿様のものの仰りようは、まるで戦場で死ぬるを――美しく死ぬるをお望みになっているようですが……」
稲の声にはあからさまに不安の色が見えた。
垂氷の顔にも動揺が浮かび上がった。うつむき加減に粥をすすり混んでいる夫ににじり寄って、顔を下からのぞき込む。
「何ぞ?」
何も可にもない。己達が居心地の良くない小部屋に自分を追いやった所為で……という所までは呑み込んで、信幸は、
「いささか夢見が悪かった」
とだけ言った。
「夢、でございますか?」
「如何様な夢にございましょうや?」
碗を膳に戻して、信幸は背筋を伸ばした。二人分の「いささか不安げな白い顔」を交互に見やる。
「白い蛇のようなものが首元にまとわりついて言うのだ。
『死ぬるぞ、死ぬるぞ』
だから私は
『この時世に死を恐れる侍がおろうか。私もいずれ戦場で死ぬことは知れている。その覚悟はできている』
そういって蛇を追い払った」
信幸は穏やかに微笑した。稲が不審顔で、
「この時世と仰せですが、九州四国の争いも段落がついたこの時世に、大きな戦が起こりましょうか?」
「さて、太閤殿下が戦を起こすとお決めになれば、どこでも戦が起きるだろう」
稲の面に驚愕と納得が広がった。垂氷は目を大きく見開いている。
小規模な領地を治める国衆や、その国衆達をまとめる大名が行う戦は、自身の領地を守り、あるいは幾分か広げるためのものである。
で、あるから、戦闘も大抵は自領かその周辺で行われる。そして勝者は自領の自治を維持し、敗者はそれを削り取られる。
だが日の本の全土をその手中に納めつつある太閤・豊臣秀吉が起こす戦は、彼に逆らう者を殲滅させることを目的としたものだ。故に彼に逆らう者は、たとえ盟を結んだ者でも、長く仕えた家臣であっても、死ぬまで彼と戦わねばならない。
その戦のため、秀吉の命令を受けた者達は、自分の領地とかけ離れた場所へ出かけていって、戦をすることになる。
そうしなければ、自分もやがて敵にされてしまうのだ。
戦が終われば、秀吉麾下の者達には褒美として「新しい領地」が与えられるだろう。おそらく元々の領地と離れた場所に、だ。
その武士の「地力」の元である旧来の領地との「地縁」を切り離せば、反発する力を削ぐことができる。
「今までとは、戦の形が変わるのだ。望むと望まざるとに関わらず、私はいずれどこかの戦場の露となる。真田でも、上田でも、沼田でもないどこかの別の土地の戦場で、命を散らすことになるであろうよ」
微笑していた信幸の視線が、ふっとさがった。
と。
「何とお気の弱いことを!」
二つの声が、異口同音に鳴り響いた。
驚いて顔を上げた信幸の鼻先に、憤慨の赤い血潮で耳の先まで真っ赤に染まった垂氷と稲の顔が迫る。
垂氷は稲を押しのけるようにして、更に信幸ににじり寄ると、
「戦場で散るですって!? 冗談はお顔だけになさって下さい。若様の武運長久の祈願は、この垂氷めが全力で請け負っているのですよ。若様のお体に矢玉が当たるようなことは、絶対にありませんから、ご安心なされませっ!」
「う……うむ」
信幸は何か返答しようと口を開けたが、言葉が出る前に、今度は稲が垂氷を押しのけて、
「万一、殿の命を脅かすような敵があったなら、このわたくしが悉く討ち果たして、薙刀の錆にしてご覧に入れますっ!!」
「いや、お主を戦場に連れて参る訳には……」
言いかけたが、信幸は黙らざるを得なかった。
二人の妻が互いを押しやりながら一つ方向――つまり信幸の眼前――へと迫る。
思わず身を引いた信幸は、仰向けに倒れそうな上背を、後に突いた手でようよう支えているような恰好となっている。そこへ、
「大丈夫です。御身のお側には、このわたしが付いております」
二つの声が重なって降って来た。
「お……おう」
信幸は幾度も小刻みに頷き、ようやっとそれだけの声で二人に応えた。
前日、大星神社で神事をすませた信幸は、とって返して上田城内に籠もった。父親の真田昌幸となにやら「謀」を廻らしているらしく、夜が深まってもなかなか戻らない。
四倍の勢力で攻めてきた徳川方を翻弄し、見事に敗退させた上田城であるが、実のところ完成しているとは言い難かった。
現状の上田城は、極端に言えば砦に毛が生えたような状態であるし、城下の武家屋敷も町屋も整備が足りていない。
今、信幸が割り当てられている屋敷にしてもあくまでも「仮のもの」である。城が完成したなら、おそらく三の丸の東端の大手門の近くか、さもなくば本丸北虎口を出たあたり、川筋を北へ付け替えて作ったため池のような堀の外側――に住むことになるだろう。
ひとたび戦になればその二カ所――敵が関東勢ならば東門、北陸関西勢ならば北門――こそが寄せ手が集中する場所になるはずだからだ。
どちらの防備にも息が抜けぬ。
そういった訳で、仮住まいの屋敷はいささか……いや、相当に手狭である。そこに、新妻と古女房が同居するのだから、何か悶着の一つ二つが起きてもおかしくない。
信幸も、よもや掴み合いの喧嘩になるようなことはあるまいと思うている。思うてはいるがしかし、稲は武術の心得があるし、垂氷は健脚自慢の口達者である。そして二人とも揃って少々気が強いところがある。
垂氷と稲が不仲になると言うことは、その背後にある真田と徳川とが不仲になるのと同じ事である。二人の間に諍いが起きなければ、それを切っ掛けとした二つの家の対立は起きない。
駿府から稲を連れ出して上田へ行く、と決めた時から、信幸は覚悟していた。
その覚悟は、肩すかしにされてしまった。
仲がよいのだ。
垂氷の父は信幸に父方の伯父である真田源太左衛門尉信綱、稲の父は徳川家康の子飼の忠臣たる本多平八郎忠勝。共に勇猛な武将である。
二人はそれぞれの初子の長女であり、年若い弟がおり、なにより、家の都合で嫁ぎ先を決められたという境遇が似通っていたところから、気があったらしい。
夜になって信幸が屋敷に戻った時には、稲と垂氷はまるで十年来の友か、姉妹のように語り合い、笑い合っていた。
いつまでもいつまでも話は止まらない。夜が更けると同じ部屋に床を延べて枕を並べてしゃべり続ける。
寝所に敷かれた布団は二組だけである。
二人の女房が延々と話して止まぬ寝室と、障子一つ隔てた四畳敷の狭い次の間で、信幸は独り、ぽつねんと枕を抱えている。
「さても、『戦』の成り行きを予想するのは難しい。ことに、人間の動きようというものは、解らぬものよな……」
カラカラ、コロコロとした笑い声を聞きながら、信幸はパタリと臥所に倒れ込んだ。
「何をあれほど話すことがあるのだろう」
ため息じみた欠伸を一つした信幸は、瞼を閉じたすぐ後には、もう深い眠りの底に落ちていた。
翌朝、朝餉の膳が三つ並んだ。
信幸の碗によそわれた白粥の上には、堅く漬けた梅漬けを刻んだものが散らしてある。
「若様は胃の腑がお弱いのが玉の瑕の中で一番酷い瑕でございます」
垂氷の笑顔は夫ではなく本妻の方に向けられていた。
「まるで私に良い所がないように……」
信幸は肩を落としてつぶやくような小声で言った。碗を持ち上げたものの箸を付ける気が起きてこない。
「玉の中には、瑕のように見える模様を持つものもございます、好事家はその瑕模様もまた『景色』と称して珍重するとか」
稲がふわりと笑いかけるが、信幸はどんよりと曇った顔をして、
「珍しがられてもな……」
ますます小さな声で言う。大きな背中を丸めて、ちらりと垂氷の顔色を窺い見る。
「侍大将が青白い顔で『持病の癪が』などと申して、大事な合戦に出られない……では、なんとも惨めこの上ありません」
そうぴしゃりと決め付けた垂氷の目の色の中に、笑みはなかった。
信幸は頬を引きつらせた。
「……あるいは戦場で、腹痛に耐えかねてどこか木陰に駆け込んで、しゃがんだ途端に首討たれるのも、恥ずかしいことであるから……。死ぬにしても、はらわたの中だけは綺麗にしておかぬと、な」
白粥に箸を付けて、もそもそと口に運ぶ。
妙に心細い物言いが、妻達の気に掛からぬはずがない。
「殿様のものの仰りようは、まるで戦場で死ぬるを――美しく死ぬるをお望みになっているようですが……」
稲の声にはあからさまに不安の色が見えた。
垂氷の顔にも動揺が浮かび上がった。うつむき加減に粥をすすり混んでいる夫ににじり寄って、顔を下からのぞき込む。
「何ぞ?」
何も可にもない。己達が居心地の良くない小部屋に自分を追いやった所為で……という所までは呑み込んで、信幸は、
「いささか夢見が悪かった」
とだけ言った。
「夢、でございますか?」
「如何様な夢にございましょうや?」
碗を膳に戻して、信幸は背筋を伸ばした。二人分の「いささか不安げな白い顔」を交互に見やる。
「白い蛇のようなものが首元にまとわりついて言うのだ。
『死ぬるぞ、死ぬるぞ』
だから私は
『この時世に死を恐れる侍がおろうか。私もいずれ戦場で死ぬことは知れている。その覚悟はできている』
そういって蛇を追い払った」
信幸は穏やかに微笑した。稲が不審顔で、
「この時世と仰せですが、九州四国の争いも段落がついたこの時世に、大きな戦が起こりましょうか?」
「さて、太閤殿下が戦を起こすとお決めになれば、どこでも戦が起きるだろう」
稲の面に驚愕と納得が広がった。垂氷は目を大きく見開いている。
小規模な領地を治める国衆や、その国衆達をまとめる大名が行う戦は、自身の領地を守り、あるいは幾分か広げるためのものである。
で、あるから、戦闘も大抵は自領かその周辺で行われる。そして勝者は自領の自治を維持し、敗者はそれを削り取られる。
だが日の本の全土をその手中に納めつつある太閤・豊臣秀吉が起こす戦は、彼に逆らう者を殲滅させることを目的としたものだ。故に彼に逆らう者は、たとえ盟を結んだ者でも、長く仕えた家臣であっても、死ぬまで彼と戦わねばならない。
その戦のため、秀吉の命令を受けた者達は、自分の領地とかけ離れた場所へ出かけていって、戦をすることになる。
そうしなければ、自分もやがて敵にされてしまうのだ。
戦が終われば、秀吉麾下の者達には褒美として「新しい領地」が与えられるだろう。おそらく元々の領地と離れた場所に、だ。
その武士の「地力」の元である旧来の領地との「地縁」を切り離せば、反発する力を削ぐことができる。
「今までとは、戦の形が変わるのだ。望むと望まざるとに関わらず、私はいずれどこかの戦場の露となる。真田でも、上田でも、沼田でもないどこかの別の土地の戦場で、命を散らすことになるであろうよ」
微笑していた信幸の視線が、ふっとさがった。
と。
「何とお気の弱いことを!」
二つの声が、異口同音に鳴り響いた。
驚いて顔を上げた信幸の鼻先に、憤慨の赤い血潮で耳の先まで真っ赤に染まった垂氷と稲の顔が迫る。
垂氷は稲を押しのけるようにして、更に信幸ににじり寄ると、
「戦場で散るですって!? 冗談はお顔だけになさって下さい。若様の武運長久の祈願は、この垂氷めが全力で請け負っているのですよ。若様のお体に矢玉が当たるようなことは、絶対にありませんから、ご安心なされませっ!」
「う……うむ」
信幸は何か返答しようと口を開けたが、言葉が出る前に、今度は稲が垂氷を押しのけて、
「万一、殿の命を脅かすような敵があったなら、このわたくしが悉く討ち果たして、薙刀の錆にしてご覧に入れますっ!!」
「いや、お主を戦場に連れて参る訳には……」
言いかけたが、信幸は黙らざるを得なかった。
二人の妻が互いを押しやりながら一つ方向――つまり信幸の眼前――へと迫る。
思わず身を引いた信幸は、仰向けに倒れそうな上背を、後に突いた手でようよう支えているような恰好となっている。そこへ、
「大丈夫です。御身のお側には、このわたしが付いております」
二つの声が重なって降って来た。
「お……おう」
信幸は幾度も小刻みに頷き、ようやっとそれだけの声で二人に応えた。
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