チャラ孫子―もし孫武さんがちょっとだけチャラ男だったら―

神光寺かをり

文字の大きさ
上 下
63 / 69
人物紹介:むちゃくちゃ真面目に書いたら殺伐とした雰囲気になりました。

伍子胥先輩はこんな人です。

しおりを挟む
子胥ししょ(生年不詳-紀元前484年)

 諱はうん。子胥は字。春秋時代・呉の政治家、軍人。

 かんけい(現在のあんはくしゅう市利しん県)出身。父の伍しゃは楚のへいおうの太子・けんたい(教育係)。兄に伍しょう

 しょう(副教育係)の無忌むきが、太子建の妻とする予定であったしんの公女はくえいを平王自身が妻とするように勧めた。
 平王は費無忌の言を入れ、はくえいを自らの妃とした。
 この「功績」で側近に取り立てられた費無忌だったが、高齢の平王が死亡して太子健が即位した場合に自分が失脚することを恐れた。そこで健と健のたいである伍しゃの追い落としを画策し、結果、健ははいちゃく、伍奢は逮捕される。
 さらに、伍奢の一族による復習を恐れた費無忌は伍奢の息子達も捉えようとした。長子の尚は捉えられたが、次子の員、すなわち伍子胥は太子健とともに国外に脱出した。
 伍奢と伍尚は処刑され、以降、伍子胥は平王と費無忌を親のかたきして恨み続けることになる。

 伍子胥と太子建はていに亡命。健はここでクーデターを画策したかどにより、逮捕・処刑される。伍子胥は太子健の子・しょうを伴って逃亡。困窮しながらも呉にたどり着き、呉の公子光(後の呉王・こうりょ)に見いだされ、後にさいしょうとなる。

 宰相となった伍子胥は、闔閭に孫武を推挙。登用された孫武と共に国力の増強を図る。
 国力が充実するのを待って後、楚へ出兵。紀元前506年に楚の都・えいを陥落させた。
 このとき伍子胥は既に死亡していた平王の墓をあばき、父兄の恨みを晴らすためにその死体を三〇〇回に及びむち打った。この故事が「死体に鞭打つ」という慣用句の語源である。
 この非道な行為を責める友人に対して、「日暮れて道遠し(自分はもう老い先短いが、やるべき事は多くある)、故に倒行してこれを逆施するのみ(だから手段など選んでは居られないのだ)」と答えた。

 闔閭の長子で太子後継者に立てられていたが若くして死亡すると、闔閭は末子のさんを太子立てようとした。
 それに危機感を抱いた次子のは自分が太子に立てられるように運動をはじめ、伍子胥にも推薦するよう働きかけた。その結果、夫差が太子となる。

 紀元前496年、闔閭はえつとの戦争で受けた小さな傷が元となり発病。
 夫差をちんとうに呼び、
「越を倒して我が恨みを果たせ」
 と告げて死亡。

 王位を継いだ夫差は父の恨みを忘れぬよう「しん」して過ごし、練兵を行う。

 紀元前494年、夫差は越に攻め入り快勝。越が和睦を申し込んでくると、伍子胥は「越王勾践を生かしておいてわざわいを呼ぶことになるので処刑すべきである」と進言する。戦に勝ったことで父の恨みは晴らされたと考えていた夫差はこれを聞き入れず、越と和睦して兵を引き上げた。

 これより後、夫差は伍子胥の進言を入れなくなり、むしろ彼を遠ざけるようになる。

 そして紀元前484年、伍子胥は夫差より死を賜う(自殺を命じられる)。
 伍子胥は「墓にはを植えよ。その檟が(夫差のひつぎの)材料になる。死後、目玉をくりぬいて城の東門に掲げよ。越が攻め込んでくるのをこの目で見てやる」と言い残して自害した。

 ※この「檟」はあずさともされるが、同じ呼び名のある水目桜ミズメではなく大角豆ササゲのこと。高さ5-10m。花期は6-7月。淡い黄色の内側に紫色の斑点がある花を咲かせる。果実は細長いさく果で大角豆ササゲに似る。この果実が利尿作用のある漢方薬梓実しじつとされる)

 伍子胥の残した言葉を聞いた夫差は怒り、伍子胥の墓を作らせず、死体は馬革の袋に入れて呉淞江に捨てさせた。
 近隣の人々は彼を憐れみ、川のほとりに祠を建てたという。

 一説に、伍子胥の命日は旧暦のうまの月|(5月)初午の日であり、すなわち端午節は伍子胥を記念する日でもあるという。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

枢軸国

よもぎもちぱん
歴史・時代
時は1919年 第一次世界大戦の敗戦によりドイツ帝国は滅亡した。皇帝陛下 ヴィルヘルム二世の退位により、ドイツは共和制へと移行する。ヴェルサイユ条約により1320億金マルク 日本円で200兆円もの賠償金を課される。これに激怒したのは偉大なる我らが総統閣下"アドルフ ヒトラー"である。結果的に敗戦こそしたものの彼の及ぼした影響は非常に大きかった。 主人公はソフィア シュナイダー 彼女もまた、ドイツに転生してきた人物である。前世である2010年頃の記憶を全て保持しており、映像を写真として記憶することが出来る。 生き残る為に、彼女は持てる知識を総動員して戦う 偉大なる第三帝国に栄光あれ! Sieg Heil(勝利万歳!)

神楽

モモん
ファンタジー
前世を引きずるような転生って、実際にはちょっと考えづらいと思うんですよね。  知識だけを引き継いだ転生と……、身体は女性で、心は男性。  つまり、今でいうトランスジェンダーってヤツですね。  時代背景は西暦800年頃で、和洋折衷のイメージですか。  中国では楊貴妃の時代で、西洋ではローマ帝国の頃。  日本は奈良時代。平城京の頃ですね。  奈良の大仏が建立され、蝦夷討伐や万葉集が編纂された時代になります。  まあ、架空の世界ですので、史実は関係ないですけどね。

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

竜頭

神光寺かをり
歴史・時代
幕末の信州上田藩。 藤井松平家の下級藩士・芦田家に、柔太郎と清次郎の兄弟が居た。 兄・柔太郎は儒学を学ぶため昌平黌《しょうへいこう》へ、弟・清次郎は数学を学ぶため瑪得瑪弟加塾《まてまてかじゅく》へ、それぞれ江戸遊学をした。 嘉永6年(1853年)、兄弟は十日の休暇をとって、浦賀まで「黒船の大きさを測定する」ための旅に向かう。 品川宿で待ち合わせをした兄弟であったが、弟・清次郎は約束の時間までにはやってこなかった。 時は経ち――。 兄・柔太郎は学問を終えて帰郷し、藩校で教鞭を執るようになった。 遅れて一時帰郷した清次郎だったが、藩命による出仕を拒み、遊学の延長を望んでいた。 ---------- 神童、数学者、翻訳家、兵学者、政治思想家、そして『人斬り半次郎』の犠牲者、赤松小三郎。 彼の懐にはある物が残されていた。 幕末期の兵学者・赤松小三郎先生と、その実兄で儒者の芦田柔太郎のお話。 ※この作品は史実を元にしたフィクションです。 ※時系列・人物の性格などは、史実と違う部分があります。 【ゆっくりのんびり更新中】

南町奉行所お耳役貞永正太郎の捕物帳

勇内一人
歴史・時代
第9回歴史・時代小説大賞奨励賞受賞作品に2024年6月1日より新章「材木商桧木屋お七の訴え」を追加しています(続きではなく途中からなので、わかりづらいかもしれません) 南町奉行所吟味方与力の貞永平一郎の一人息子、正太郎はお多福風邪にかかり両耳の聴覚を失ってしまう。父の跡目を継げない彼は吟味方書物役見習いとして南町奉行所に勤めている。ある時から聞こえない正太郎の耳が死者の声を拾うようになる。それは犯人や証言に不服がある場合、殺された本人が異議を唱える声だった。声を頼りに事件を再捜査すると、思わぬ真実が発覚していく。やがて、平一郎が喧嘩の巻き添えで殺され、正太郎の耳に亡き父の声が届く。 表紙はパブリックドメインQ 著作権フリー絵画:小原古邨 「月と蝙蝠」を使用しております。 2024年10月17日〜エブリスタにも公開を始めました。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

処理中です...