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地形篇 第十

地形篇1・ステージの立地を六個ぐらいに分類しちゃって、現場で起きる困り事も六個ぐらいに分類するっす。

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 オレの考えてること、言っちゃいますよ。

 これから、
戦場ステージの地形って、六種類ぐらいに分類できちゃうじゃない?」
 って話、始めちゃいましょう。

 どんな六個かっていうと……。
 まず「トオル」でしょ?
 それから「ヒッカカル」でしょ?
 次に「ワカレル」でしょ?
 そんで「セマイ」でしょ?
 あと「ケワシイ」でしょ?
 あとはあれだ、「トオイ」。

 最初の「通」っていうのは、自分チームもすーいすい行けちゃうし、相手チームもバンバン来ちゃえる、前後左右東西南北、全面パーッと開けた場所ステージっすね。
 こういうところは、ともかく早く乗り込んで、陽当り良好な高いとこキープしちゃいましょう。んで補給線をしっかり確保して戦争すバトれば、もーこっちが断然有利。

 お次の「挂」っていうのは、行きは良い良い、帰りはコワいってゆーか、入ったら出られなくなるお魚取りの罠みたいな感じの障害物満載の場所ステージ
 こういうトコは、とにかく敵さんチームの状況をよーく見ましょう。
「これ、向こうさんまだ準備中だぞ」
 って時は攻め込んでもいいですけど、
「あ、しっかり準備出来てるナ」
 ってときは手出ししちゃダメ。だって、勝てないですもん。
 そもそも撤退しづらい地形ですからね。逃げ道確を保できないところで戦っちゃダメですよ。

 次に「支」ですけど、これは道とかがゴチャゴチャ枝分かれしてたり、脇道とかがあっちゃこっちゃしてて、ややこしい感じの場所ステージですね。
 これ、自分チームがこんな場所に出てったら不利ですよ。
 道が色々すぎてどこから敵さんが来るかワカンナイし、どこに進んでったら良いかワカンナイし、どこに逃げてったら良いかワカンナイでしょ?
 ま、敵さんチーム同じ事で、出てきたら不利になっちゃうんですけどもね。
 こういう場所の場合、注意しないとイケないのは、敵さんチームから美味おいしそうながあっても、絶対打って出ちゃダメってことですね。そういうときはむしろ、ドン引きするぐらい引いちゃって下さい。
 引いて引いて、それに吊られて敵さんチームが……そーですねぇ、半分でも出てくるようなことがあったら、そりゃもうビッグ好機チャンスですよ。
 そこんとこ待ち構えて、ドスンと迎え撃っちゃう、っていう感じになれば、ウマいことイけるかも知れませんネ。

 それから「隘」っていうのは、これめっちゃ狭いとこ。特に出入り口がキューッと狭くなってる、壜の首ボトルネック場所ステージ
 自分達が先にここンとこをキープできてたなら、壜の首ボトルネックなところに兵隊メンバーさんを集合配置させといて、敵さんを待ち伏せしちゃいましょう。
 コレ、相手はチョットずつしか出てこられない訳ですからね。狙い撃ちし放題のボーナスステージに突入ってもんですよ。
 もし、こういう場所に相手のほうが先に着いて陣取ってたらどうするかって問題ですけど。
 相手の戦力が充分そろっちゃってるようなら、どんなに相手が戦いたがってても、こっちから攻撃しちゃ駄目ですよ。
 向こうさんの兵力が十分でないなら、敵の動きにぴったりはまった、その場で一番イイ戦法ってヤツを考えて、イケそうならサクッと攻め込んじゃってもいいかも知れません。

 それで「険」っていうのは、高い山の上の方とか、起伏が激しくて凸凹デコボコしちゃってるような、つまり足場の悪い場所ステージのことですネ。
 ここに先乗りできちゃったら、絶対に高い場所キープですよ。高くてお日様のよく当たる場所!
 そこにどーんと構えて、敵さんチームを迎え撃って下さい。
 敵さんチームに先を越されてたら、即撤退。
 向こうが攻めてきそうでも、絶対に手を出しちゃいけません。勝てないから。さっさと帰っちゃうのが一番いいですよ。

 最後の「遠」ですけど、これは、自分達の基地ベースと敵さんの基地ベースがスゴク遠く離れちゃってる場所ステージ
 で、味方と敵の戦力が同じぐらいの場合ですけど、こういう場所で自分達から仕掛けちゃうのって、相当キビシいっすね。
 自分の陣地からの距離があるっ場所で戦闘すバトるってぇてコトは、先ず補給するのが大変だってことですからね。
 あと、うっかり前に出過ぎちゃったりして、後ろバック取られちゃったら、危ないことになっちゃいますもんネ。
 そういうとこでバトっても、美味しいことなんかちーっとも無いんですよ。ええ。
 ま、止めときましょう。

 あ、この六個は地形効果の原則セオリーなので、は絶対知ってなきゃいけないコトす。
 作戦の指揮を将軍リーダーの責任ってのは重大ですよ。情報を読み間違えないように、ちゃんと勉強して、しっかり考えないといけません。


 あ、ここからちょっと……っていうか、かなり面白くないお話になっちゃいます。
 戦争が長引いちゃったりすると、チームの中に「困った事」が発生しちゃいがちなんで、気をつけなきゃいけません、って感じのお話なんですけどね。
 ホントに、楽しい話じゃないんですけど、これも戦争する上では把握してないとイケない重要なことなんで、ちょっと我慢して聞いてくださいな。

 さて、と。この「困った事」も、六つぐらいあるんですね。
 じゃ、困った六つ子チャンをご紹介しましょうか。

 敵前逃亡しちゃう「ニゲル」君でしょ?
 ダラダラしちゃう「ユルム」君でしょ?
 後ろ向きな「オチイル」君でしょ?
 指揮系統を無視しちゃう「クズレル」君でしょ?
 ルールを守らない「ミダレル」君でしょ?
 それから勝利のほうが逃げてっちゃう「マケル」君。

 それで、こういう困ったチャンが出てきちゃうのは、これ「天がもたらした災テンサイ」とか「然して偶さかにグウゼン」とか「天命の巡り合わせウンメイ」とか、そういう「仕様ショーが無いこと」なんかじゃ、全然ないんですよね。
 まるっと全部、将軍リーダーの責任です。ええ、キッパリいっちゃいますよ。
 さっき言った六つ子の困ったチャンがが発生するのは、が原因ですから。

 だってそうじゃないですか。

 敵と味方の兵隊メンバーさんの能力が大体同じイーブンだったとしましょうよ。
 それなのに、薄らトンカチの将軍リーダーサマから、
「一人で十人とバトってこい」
 みたいな無茶ムチャりがきたら、そりゃ誰だって「走」って逃げたくなって当然トーゼンでしょ?

 めちゃくちゃ強くて優秀な兵隊メンバーさんたちがいたとしますよ。
 優秀な人達の統率ってのは、優秀な人達に任せるべきでしょ?
 だのに、人を見る目がまるっきり無い盆暗ボンクラ将軍リーダーサマが、人選間違えて、全然ヘタレな中間管理職チューカンカンリショクさんに任せちゃったら、どうなります?
 兵隊メンバーさんたちはその中間管理職チューカンカンリショクさんを小馬鹿にして、言うことなんかこれっぽっちも聞かなくなっちゃいますよ。
 そうなったら、チームの規律がダルダルに弛んじゃうってのが、これまた当然でしょ?

 逆に、兵隊メンバーさんの強さがメンタル的にもフィジカル的にも「ソコソコか、ちょっとアレかなぁ」ってチームの中間管理職チューカンカンリショク的なポジションに、すんごく強い人を付けちゃったとしたら、どーなります? しかも、その中間管理職チューカンカンリショク的な人が、部下に自分と同じくらいガシガシ仕事するように強いちゃうタイプだったりしたら?
 そんな人が上に立っちゃったら、兵隊メンバーさんたちが、
「あの人が軽々とやれることを、自分達はとてもこなせない。自分達はダメなんだ」
 って思い悩んじゃうかもしんないじゃないですか。
 そうなったらみんなやる気なんか出せやしないし、最悪ウツに陥っちゃうでしょ?

 個人的には優秀なんだけど、すぐに頭に血ぃ昇っちゃって、将軍リーダーさんとかの指示とかをまるっきり無視しちゃう様な人を人を中間管理職チューカンカンリショクポジションに置いちゃったら?
 熱血アツイオトコってンじゃないですよ。全く個人的なうらみで血圧上昇させちゃって、敵とみたらすぐに自分からつっこんでっちゃうようなタイプの人、です。
 その上マズいことに、その人の直属の上司さんが、そいつの能力をちーっとも認めてない、なんて組み合わせになっちゃってたら?
 そんなちぐはぐなチームなんてのは、敵と戦うどころじゃありませんよ。最初から完全にぐちゃぐちゃに崩壊ホーカイしちゃってるでしょ?

 はたまた、将軍リーダーさんがゼンゼン弱気な人で、威厳いげんnなんかコレっぽっちも無かったら、どうなっちゃうか……もう解りますよね?
 そう、指揮系統はハッキリしなくなるわ、誰が責任者なのか誰が実行するのかなんて基本的ベーシック軍令ルールもぐっちゃになっちゃうわ、で、もう大変。
 そんなことになったら、いざ出陣って時に兵隊メンバーさんたちを整列させるだけで大事ですよ。みんな、どの命令に従ったら良いのかわかんないんだもの。ちゃんと並ぶことすら出来なくなっちゃう。
 そんなでたらめな状態を「混乱してる」って以外の言葉で説明できますか?

 将軍リーダーさんに敵情を判断するリサーチ能力がないなんてのは、目も当てられないでしょ?
 例えば、相手が大軍なのに味方をちょびっとしか出陣させなかったり、こっちの慣れてないチームを敵さんの凄い強いチームにぶつけてみたりするよーな人。
 自分の部隊に、選りすぐりの、ベテランの、凄い兵隊メンバーさんを入れておけないような、見る目も常識も無い表六玉ヒョーロクダマ
 こんなのが現場ゲンバを仕切ってたら、もう考えるまでもないじゃないですか。「敗北必至」でしょ?

 この六つ子の困ったちゃんが敗北の原則セオリーです。これもは絶対知ってなきゃいけないコトですね。
 ええ、責任重大ですよ。事態を読み間違えないように、対処を間違えないように、ちゃんと勉強して、しっかり考えないといけません。
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