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軍争篇 第七

軍争篇2・ライク ア ウインド・ウッズ・ファイヤー アンド マウンテンっす。

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 きこと風のごとく、しずかなること林のごとく、しんりゃくすること火のごとく、動かざること山のごとく、知り難きことかげごとく、動くことらいしんごとし。

 おっと、二千年ぐらい後に倭国ニホン爆誕バクタンする名将が旗印にしちゃうかも知れない名言が出ちゃったよ!


 良いっすか?
 動く時は風が吹くようにビューっと迅速スピーディーに行っちゃいましょう。
 待機している時は静まりかえった林みたいにシーンとおとなしくダンマり決めた方が良いっすね。
 攻めかかるときは火が何もかも焼き尽くすみたくにゴーっと根こそぎ奪い取っちゃう。
 動かないと決めたら山のようにピクりともしないでいましょう。
 敵さんにこっちの情報を与えないために、大事なことはカゲにコッソリ隠しておきましょうよ。
 いざ行動するとなったら雷のように、敵が思いも寄らないところへ突然且つ一気にゴロゴロドーンとやっちゃうんですよ。

 そンで、ですね。
 敵さんチームの勢力圏のサトを占領するときには、本隊メインチーム全員で一度にバーンと押しかけるんじゃなくて、良い案配に兵力を分けておきましょうね。
 ゲットした占領地で、利権を一つの部隊チームに集中させちゃうと、後々もっと占領地が増えて広がったときにゴタゴタに元になるンですよ。だから最初から占領部隊は分散させたほうがいいんです。
 ま、それぞれの場合によってこの辺の「ベストな対処方法」は変わってくるので、状況をハカリにかけたみたいにキッチリ見極めて、その場に適した判断をしてから行動した方がいいンすけどね。

 とにかく、相手よりも先に「急がば回れ」の回り道ルートを見つけられた方が勝っちゃう。
 これが「兵隊を動かして戦争をする」時のセオリーでだってことだけは、絶対忘れないで下さいよ。


 昔の人はこう良くおっしゃったもんですよ。

「戦場は広いゆえ、な。指揮官が口で言った命令が端々まで伝わるには時間はかかろうし、伝え間違えやら聞き間違いとて、まま起きようものじゃて。
 じゃからタイような鳴り物ナリモノで合図を決めて、遠くからでも聞き取れる大きな音で伝えるのじゃ」

手指ハンドサイン指揮杖バトンサイハイでの指示は、近き者にはよく判っても、遠くからでは見ることが叶わぬ故に伝わらぬであろう?
 じゃから、大きくて目立つフラッグとその振り方を定めて、遠くからでもよくわかる大きな動きで、命令を隅々まで伝えるのじゃよ」

 こういう音や動きの合図をキッチリ決めるってのは、兵隊メンバーさんたちの耳や目に間違いなく命令を伝えるナイスな方法ですね。
 コレがしっかり行き届いていれば、せっかちな勇者も出過ぎたイッけをできないし、ビビりな臆病者が勝手に撤退しちゃえない。
 だって、回りが
「ソレはおかしい」
「そんな命令は出てない」
 ってことを言えちゃいますからね。集団を動員するのにはホントに良い方法ですよ。

 それで合図の種類ですけども。
 夜の合図には松明トーチ太鼓ドラムを使うことが多いし、昼間はフラッグで合図することが多いでしょ?
 コレは夜と昼では物の見え方が違うからです。
 夜中に旗を振っても暗くて見えないし、昼間の騒がしいときに太鼓を叩いても遠くまで聞こえないときがあるし、明るいところで火を焚いても目立ちませんからね。
 だから、状況に応じて連絡手段を変えないとダメなんですよ。何時でも味方の情報共有はちゃんとしておかないといけません。

 で、ですね。
 そうやって味方に「決まり事」をしっかり行き渡らせてから、敵さんチームの皆さんの気力をガリガリ削り、敵さんの将軍リーダーの心をポッキリ折っちゃう作戦を実行するのが手順な訳です。
 そのガリガリポッキリの方法、ちょっとだけ説明しちゃいますね。

 人間って生き物は、朝すっきり起きたら気力が充実していて、お昼頃になるとちょいとだれて来て、夜になっちゃうとやる気がサヨナラしちゃうもんでしょう?
 だから、敵さんの士気やるきがビンビンな時には攻め込まないで、ダラダラにだれてる時に攻撃しちゃうのがイイ。やる気スイッチの入り具合オン・オフを見極めた上手い使い方っすよ。

 それで、だらだらな敵さんチームに、こっちチームのみんながキッチリかっちり動いている状態を見せつけて、
「なんであいつらはあんな余裕ぶっこいてるんだ」
 って、敵さんチームがビビって混乱するのを待つんです。

 戦場でも落ち着いて動いてるってのを見せつけちゃうんですよ。士気やるきが萎え萎えな敵さんチームが、
「もしかしてあいつら、めちゃくちゃ強ぇえんじゃねぇの?」
 みたいに、あせってオタオタ慌て出するのを待ち構えるんです。

 心理戦ってヤツですね。駆け引きですよ。それで自分達のチームの士気やるきは勿論、敵さんチームの気力を操れれば、もう勝ったも同然ですわ。やったね。

 あ、コレとは違う方法もありますよ。

 先に戦場の近くに陣取って、遠くからやってくる敵さんを待ち構える。
 こっちの兵隊メンバーさんたちには敵さんチームがが来るまでの間チョビっと休んで頂いちゃって、気力体力が回復した頃合いに、遠いところを急いで来てぐったりお疲れモードな敵さんを迎え撃つ。
 こっちはちゃんとご飯を食べておいて、食事どころじゃなかった腹ぺこな敵さんと戦う。
 そうやって物理的な「戦闘力チカラ」を上手いこと使うってやり方です。

 これ、「心理的」と「物理的」のどっちか片方だけを運用したんじゃダメです。
 両方を上手い案配に使うのが最高サイコーですね。

 逆を言うとですね、敵さんチームが
「合図や伝令がしっかり行き届いてて、気力体力が充実してるぞ」
 って状態なら、そりゃ攻め込んじゃダメでしょ、って事です。

 何度も同じ様なことを言っちゃってる感じになりますけど……。
 物事は自分の状況と相手の状態を良く見極めて、リンオーヘンにやらないといけないんですね。

 それからそれから。
 大人数を引っ張ってセンソーをおっ始めようって時の注意点ですけども。

 高いところに陣取ってる敵さんには刃向かっちゃいけませんよ。
 高いところから石でも落っことされたら大変ですから。

 それと、丘をバックにした配置ポジションを取って攻撃態勢になってる敵さんを迎え撃つのもヤバい。
 これも、高低差を付けた勢いを利用されたら目も当てられンないことになっちゃうんで。

 逃げてるように敵さんを、調子に乗って追いかけてっちゃダメ。
 十割100パー伏兵アンブッシュに横っ腹突かれちゃいますからね。

 オラついてる敵さんにカッとなって突っ掛っていっちゃいけない。
 激おこ状態で行動したら周りが見えなくなって、思わぬ失敗をしますよ。

 こっちをおびき出そうとしてワザとらしくうろついてる敵さんの部隊に食いついちゃダメダメ。
 そういうときは大体、向こうさんがトラップを仕掛けて待ち構えてますからね。

 国に帰ろうとしてる敵さんたちの行く手を塞いで、通せんぼしちゃいけない。
 逃げたい、生きて帰りたい――その一念で動いてる人達は、それこそ必死で抵抗するもんです。思いの外、手痛い反撃を喰らいますよ。

 敵さんを取り囲んだときにはどっかに逃げ道を残しておいてください。窮地に追い込んだ敵さんをしつこく攻撃しちゃいけません。
 追い詰められた敵さんたちが、
「進んでも死ぬ、留まっても死ぬどうせ死ぬなら進め」
 って、死に物狂いで反撃してきます。痛い目に遭うじゃ済みませんから。

 コレとっても重要なことなんで、覚えておいてくださいよ。
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