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虚実篇 第六

虚実篇1・必勝パターンなんてものは存在しないっす。

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 これは、オレの考えなんですけども。

 センソーだーってなった時、先に戦場に着いちゃって、後から来る敵さんチームを待ってるのって、スゴクお気楽だと思いませんか?
 先乗りしちゃって、相手が来るまで待ってる間って、こっちはゆっくり休憩できちゃういますからね。で、休む以外にも、時間が許す限りイロイロ準備も整えられるんですから。

 ってことは逆に、そういう所に後からやってきた方は大変だってことですよね。
 遠く自分のお国からえっちらおっちらやってきて、ようやく決戦場にたどり着いたと思ったら、目の前に相手がどーんと構えてる。
 相当ショックでしょ?
 長旅でボロボロに疲れてよーが、陣地の設営もできてなかろーが、交戦の支度もまるきり準備ができてなかろーが、そんな「こっちの都合」なんか向こうさんにはまるで関係ナッシン。すぐに戦闘開始バトル・スタートになっちゃうンですもん。
 勝てる気がしないっすよ、それ。

 つまり、ズバリ「遅刻は確実に絶対にマズイですよ」ってお話ですよ。
 これ、現場に到着するのが早いか遅いか、ってダケじゃないっすよ。
 敵さんチームの情報やら、戦場の常態のチェックやら、廻りの国の人達の状態やら、そういう現場の外側っていうか、実践の準備段階っていか、そういう部分でも早いに越したことはない訳で。
 ともかく、物理的にも情報戦的にも、先に「戦場」でいいポジションを取って、相手の様子をしっかり把握することが大切ですよ、と言うことですよ。
 戦場で相手より良い「場所」を先に取っちゃえば、戦争の主導権イニシアチブがゲットできて、後はもうこっちのペースに出来ちゃうってことですよ。
 センソーの上手いチームってのは、そうやってがっちり主導権イニシアチブを握って自分の相手をペースに引き込むけど、自分が相手のペースに引きずられちゃうようなことは、先ず無いんですね。

 主導権イニシアチブ握っちゃうと、いろんなコト出来ちゃいますよー。

 梃子テコでもお城から出てこないものすごい頑固な引きこもりの敵さんチームでも、自分から陣地を出てホイホイ近寄ってきてくれる。
 それはモチロン、こっちが敵さんチームが絶対引きずり出せるって確信出来るモノとかコトとかの情報を先にゲットちゃってるから、絶対食いつきそうな「美味しそうな餌」を撒いちゃえるから、なんですけども。

 どんな傷害も吹き飛ばしながらドンドン突っ走っちゃう元気の良い敵サンチームが、一ミリもこっちに近付いてこない。
 これも、敵さんチームが絶対に近寄れないモノに付いての情報をフライングゲットしちゃっておいて、それに基づいてこっちからヤバ気な雰囲気をカモしちゃって、近寄らせないようにしてるからななんですけどもね。

 しかもこういうとき、相手チームの偉い人達は、自分がその行動を取るのがベストだと判断しているで、イイカンジの行動を自分自身で選んでるつもりで、自分から率先してやってるなんですね。
 実はこっちがそう仕向けて、ヤナカンジに持っていってるんですけども。
 でもそれを、向こうさんにはこれっぽっちも気付かせちゃいけないんです。
 戦場での主導権を握ってれば、そういうことが出来ちゃうんですよ。

 あと、こっちがセンソー主導権イニシアチブを握ってるなら、こんなことも可能になりますよ。

 敵さんチームが休憩タイムなんかバッチリ取って余裕ぶっこいてるような時は、こっちに来るまでにくたくたに疲れてもらっちゃう。
 ご飯なんかたっぷり食べちゃってるようなら、戦う前に腹ぺこペコのペコリンコになるようにもってっちゃう。
 てこでも動かないってな感じで、陣地の中で待ち受けてるなら、戦うためにそこから移動させっちゃう。

 どうやって「そういうふうに」か、ってのは、そのときの状況で変わるんですけども、その辺の細かい話はちょぉっと棚上げして置いて……。
 ともかく、主導権イニシアチブさえ握っちゃえば、向こうのやりたいことはやらせずに、全部こっちのペースに持ってちゃえるんだってこと、しっかり覚えといて欲しいな、と。
 うん、先乗りってサイコー。

 センソー主導権イニシアチブを握っちゃいました、と。そうするとどんなことが出来るか、ってことですけど。
 例えば、敵さんチームが行くとこ行くとこにこっちが先回りして、サプライズをぶちかましちゃいつつ、すンごく遠いところから移動してもちっとも疲れないっていうの、そんな都合の良いことが……出来ちゃうんですよ、コレが。
 だって、敵さんチームの行動をちょちょいっと先読みアーンド誘導して、途中で自分チームと敵さんチームがかち合わないようなルートを通っちゃえばイイんですから。
 余分な戦闘をせずに済めば、兵隊メンバーさんたちは体も心も疲ませんよね。
 ほら、簡単イージーでしょ?

 じゃあ、こっちから敵さんの陣地とか補給基地とかに攻め込んじゃって、そいつを絶対落とせる方法っていうご都合主義な作戦も……やれちゃうんですよ。
 もの凄く簡単に行っちゃえば、向こうの守りがトコを選んで攻め込みゃぁ良い訳です。
 敵さんの抵抗がなければ、どんなお城だってイチコロで落ちますでしょ?
 はい、超簡単イージアー

 逆というと、自分達の陣地や補給基地は、敵さんが攻めてこないよーなところを選んで作っておけばいいってことになっちゃうわけですよ。そうしておけば、コレ絶対攻め落とされないっしょ。
 ね? 極簡単イージストじゃないですか、これ。

 つまるところ、攻め込むのが上手な人は……そのときの状況によって臨機応変リンキオーヘンに対応出来ちゃう人、ってことですけども……そういう人は、敵さんチームが「あっち」を固めたら別の手薄な「そっち」狙うし、「そっち」を増強したら別の手薄な「こっち」を狙っちゃう。だから、敵さんチームはどこを守ったら良いのか判らなくなっちゃうんですよ。

 これ、守るのが上手な人も同じ事なんですよ……パターンは攻める方とは逆になるんですけど。
 敵さんチームから攻められそうなところは予めしっかり固めちゃって、方向変えてきたらちゃんとそっちを増強しちゃう。相手の動きを読んで、臨機応変リンキオーヘンなカンジで対応する。
 ンだから、敵さんチームからしたら、
「どこを攻めたら良いのかさっぱり判りませーん」
 って訳で、泣きが入っちゃう。


 なるかななるかな、無形むけいいたるる。しんなるかなしんなるかな、無声むせいいたる。


 アー、マジ、エモい。
 結局、戦争には何時でもどこでも通用するような必勝パターンなんてものは無いんだナァ
 目の前の現象に対しては、無限にある「対処方法」の中から、その瞬間の最善を選択する、ってところに落ち着くんだよナァ

 アー、ホント、ヤバい。
 コレ、言葉で言い表すのなんか、絶対無理。
 っていうか、現場で指揮する将軍リーダーの意志が兵卒メンバーの隅々まできっちり行き渡ってる神チームだったら、将軍リーダーが命令を口になんかしなくても、みんながナチュラルに動いてくれんだよナァ

 はぁ、尊い……。

 ……あ、御免メンゴ御免メンゴ、ゴメンナサイ。ちょっと行っトリップしてましたわ。
 はーい、大丈夫ですよー。ちゃんとこっち側に戻ってきましたので。てへ。

 ともかく、こういう絶妙ゼツミョー采配デレクトが出来れば、敵さんチームの命運なんてモノはギュッと手の内に握っちゃったも同然、ってことですね。

 こっちチームがどーんと攻め込んじゃってるのに、敵さんチームがなすすべがないって状態になってるとしましょう。
 そういう状態に出来ちゃうのは、敵さんチームの「虚」……つまり思いもしないようなところとか、ころっと忘れてる弱点とか……そういうところをビシット突っついちゃうからこそ、のことで。

 攻撃だけじゃないですよ。撤退バイビーするときも「虚」を付くんです。
 敵さんチームが追っかけてこられないくらいにスピーディに動くんですよ。
 あ、これ「兵隊メンバーさんに駆け足させろ」っての意味じゃないですからね。
 敵さんが思いもしないタイミングで動き出すとか、考えもしないルートで移動する、みたいな。
 そうやって「虚」を付いて動けば良いんですねー。
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