1 / 4
【序】難しい話はここだけ。なんなら、序章は読み飛ばしちゃっても問題ナシ!
しおりを挟む
――この城址には、古い掘抜井戸があつたので、眞田井戸と呼ばれて有名である――
――信幸の前、父の居城であつた時には、此城は、上田の北方太郎山の麓にある虚空蔵、牛伏、矢島、花古屋、荒城等の砦に、地下の抜穴があつて、敵が上田城を圍んでも自由に他と交通してゐたといふことである――
「【日本伝説叢書・信濃の巻】
藤沢衛彦・編 日本伝説叢書刊行会・刊(大正六年)」より
深さ約十六.五m、直径約二mのこの古井戸は、調査が成された現在では、横穴も抜け穴もない普通の古い掘り抜き井戸であることが判っている。
そう、今はただの、在り来りの、何の変哲も無い、古井戸である。
しかし、それが掘り抜かれたあの時代にもそうであった、と果たして言い切れるものであろうか。
――信幸の前、父の居城であつた時には、此城は、上田の北方太郎山の麓にある虚空蔵、牛伏、矢島、花古屋、荒城等の砦に、地下の抜穴があつて、敵が上田城を圍んでも自由に他と交通してゐたといふことである――
「【日本伝説叢書・信濃の巻】
藤沢衛彦・編 日本伝説叢書刊行会・刊(大正六年)」より
深さ約十六.五m、直径約二mのこの古井戸は、調査が成された現在では、横穴も抜け穴もない普通の古い掘り抜き井戸であることが判っている。
そう、今はただの、在り来りの、何の変哲も無い、古井戸である。
しかし、それが掘り抜かれたあの時代にもそうであった、と果たして言い切れるものであろうか。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
龍蝨―りゅうのしらみ―
神光寺かをり
歴史・時代
年の暮れも押し迫ってきたその日、
甲州・躑躅ヶ崎館内の真田源五郎の元に、
二つの知らせが届けられた。
一つは「親しい友」との別れ。
もう一つは、新しい命の誕生。
『せめて来年の間は、何事も起きなければ良いな』
微笑む源五郎は、年が明ければは十八歳となる。
これは、ツンデレな兵部と、わがままな源太郎とに振り回される、源五郎の話――。
※この作品は「作者個人サイト【お姫様倶楽部Petit】」「pixiv」「カクヨム」「小説家になろう」でも公開しています。
潞涿君《ろたくくん》の卵
神光寺かをり
歴史・時代
亡き徐州牧・陶謙《とうけん》の遺命は、領土を客将・劉備《りゅうび》に譲ると言う、とんでもない内容だった。
しかも劉備はそれを拒んでいる。
陶謙の臣・麋竺《びじく》は、説得のために劉備の屋敷に赴く。
通されたのは薄暗い屋敷の一室。
主人と客の他に人気は無い。
やがて二人の男の「腹の探り合い」が始まった。
※この作品は、ノベルデイズ、ノベルアップ+でも公開しています。
漆黒の碁盤
渡岳
歴史・時代
正倉院の宝物の一つに木画紫檀棊局という碁盤がある。史実を探ると信長がこの碁盤を借用したという記録が残っている。果して信長はこの碁盤をどのように用いたのか。同時代を生き、本因坊家の始祖である算砂の視点で物語が展開する。
四本目の矢
南雲遊火
歴史・時代
戦国大名、毛利元就。
中国地方を統一し、後に「謀神」とさえ言われた彼は、
彼の時代としては珍しく、大変な愛妻家としての一面を持ち、
また、彼同様歴史に名を遺す、優秀な三人の息子たちがいた。
しかし。
これは、素直になれないお年頃の「四人目の息子たち」の物語。
◆◇◆
※:2020/06/12 一部キャラクターの呼び方、名乗り方を変更しました
竜頭
神光寺かをり
歴史・時代
幕末の信州上田藩。
藤井松平家の下級藩士・芦田家に、柔太郎と清次郎の兄弟が居た。
兄・柔太郎は儒学を学ぶため昌平黌《しょうへいこう》へ、弟・清次郎は数学を学ぶため瑪得瑪弟加塾《まてまてかじゅく》へ、それぞれ江戸遊学をした。
嘉永6年(1853年)、兄弟は十日の休暇をとって、浦賀まで「黒船の大きさを測定する」ための旅に向かう。
品川宿で待ち合わせをした兄弟であったが、弟・清次郎は約束の時間までにはやってこなかった。
時は経ち――。
兄・柔太郎は学問を終えて帰郷し、藩校で教鞭を執るようになった。
遅れて一時帰郷した清次郎だったが、藩命による出仕を拒み、遊学の延長を望んでいた。
----------
神童、数学者、翻訳家、兵学者、政治思想家、そして『人斬り半次郎』の犠牲者、赤松小三郎。
彼の懐にはある物が残されていた。
幕末期の兵学者・赤松小三郎先生と、その実兄で儒者の芦田柔太郎のお話。
※この作品は史実を元にしたフィクションです。
※時系列・人物の性格などは、史実と違う部分があります。
【ゆっくりのんびり更新中】

呟き
艶
歴史・時代
弥生・奈良・平安・鎌倉・南北朝・安土桃山・戦国・江戸・明治と過去の時代に人々の側にいた存在達が、自分を使っていた人達の事を当時を振り返り語る話の集合です。
長編になっていますが、いくつもの話が寄り集まった話になっています。
また、歴史物ですがフィクションとしてとらえてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる