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二人の王子様と一人のお姫様
勇猛な王子の計画
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キルハ王様は、ゲオルグ王子にはすぐにもご退去を頂きたいと願っていたのですが、王子がお腹の突っつき傷をたいそう痛がっておいでだったので、仕方なくその日はお城の客間にお泊めすることにいたしました。
さて、今までに誰かから叩かれた殴られたり切られたりされたことがなく、もちろん負けるという経験も一度として無いゲオルグ王子は、とても自尊心の強い方でした。
ですから、自分よりずっと小柄で、線が細くて、女の子のような見目形のフレイ様に、軽くあしらわれたことが、とても口惜しくてなりませんでした。
ここで一念発起なさって剣の修行をやり直し、再戦を申し込み、復讐しよう……などと考えないのが、この王子様の生来の性格でございました。
「この俺様に恥をかかせおって!」
負けたのは己の力量不足のためなのに、すっかりとフレイ様を逆恨みしたゲオルグ王子は、
「憎い、憎い。八つ裂きにしても足らないほど、あのチビ野郎が憎い」
恥ずかしさと悔しさと憎しみがお腹の中をグルグル回り、黒く黒く煮詰まってゆきました。
ゲオルグ王子は「憎い憎い」とつぶやきながらうろうろとベッドの周囲を歩き回りました。
回って回って回るウチに、妙案を思いついたのです。
「あのチビ野郎を殺してしまうのが一番良い!」
なんとも恐ろしい考えです。
しかも、
「あのチビを殺して、俺様が誰よりも強いと言うことを知らしめたら、可憐な姫君は俺様の物になる。姫を手に入れたなら、俺はこの国の王になれる! 親父の国、兄貴が継ぐ国よりも、数倍も数十倍も偉い王様になるのだ!」
そんなことが起こりうるとは誰が考えても思えません。ですがゲオルグ王子にとっては素晴らしい発案でした。この最高の計画を実行しようと決めたのです。
……そうは言っても、清々堂々と正面から闘っても勝てないと言うことは、さすがに「決闘」の時に分かったご様子です。
ゲオルグ王子は、
「闇討ちにしてやる!」
という作戦を立てました。
とは申しますものの、世に名だたる「バカ王子」ですから、その作戦の実行方法は、
「夜、あのチビが独りになったところを、後ろから叩っ斬る!」
などという乱暴なものでありました。
ゲオルグ王子はこの素晴らしい作戦計画に興奮し、お腹の痛みもすっかり忘れてしまいました。
とにもかくにも、ゲオルグ王子はフレイ様がいるであろうキルハのお城の東宮に向かいました。
ゲオルグ王子が幸運であったのは、その夜が新月であったことです。
辺りは真っ暗でありましたから、東宮へ向かう道筋で誰にも見咎められませんでした。。
幸運はもう一つありました。
フレイ様が天文を観ることをお好みであった、ということです。
学問として星を観察することと、自然の芸術として星を愛でることの、両方がお好きです。
無い新月の夜には、お城の中庭の芝の上に寝転んで星を眺めます。月が出ているときにはそのの光に隠されてしまうくらいにかすかに光る小さな星でも、この日ばかりははっきりと観ることができます。
この夜も、フレイ様は夜深い頃まで東宮のお庭の芝生の上に寝転んで、満天の星々をごらんになっていたのです。
さて、今までに誰かから叩かれた殴られたり切られたりされたことがなく、もちろん負けるという経験も一度として無いゲオルグ王子は、とても自尊心の強い方でした。
ですから、自分よりずっと小柄で、線が細くて、女の子のような見目形のフレイ様に、軽くあしらわれたことが、とても口惜しくてなりませんでした。
ここで一念発起なさって剣の修行をやり直し、再戦を申し込み、復讐しよう……などと考えないのが、この王子様の生来の性格でございました。
「この俺様に恥をかかせおって!」
負けたのは己の力量不足のためなのに、すっかりとフレイ様を逆恨みしたゲオルグ王子は、
「憎い、憎い。八つ裂きにしても足らないほど、あのチビ野郎が憎い」
恥ずかしさと悔しさと憎しみがお腹の中をグルグル回り、黒く黒く煮詰まってゆきました。
ゲオルグ王子は「憎い憎い」とつぶやきながらうろうろとベッドの周囲を歩き回りました。
回って回って回るウチに、妙案を思いついたのです。
「あのチビ野郎を殺してしまうのが一番良い!」
なんとも恐ろしい考えです。
しかも、
「あのチビを殺して、俺様が誰よりも強いと言うことを知らしめたら、可憐な姫君は俺様の物になる。姫を手に入れたなら、俺はこの国の王になれる! 親父の国、兄貴が継ぐ国よりも、数倍も数十倍も偉い王様になるのだ!」
そんなことが起こりうるとは誰が考えても思えません。ですがゲオルグ王子にとっては素晴らしい発案でした。この最高の計画を実行しようと決めたのです。
……そうは言っても、清々堂々と正面から闘っても勝てないと言うことは、さすがに「決闘」の時に分かったご様子です。
ゲオルグ王子は、
「闇討ちにしてやる!」
という作戦を立てました。
とは申しますものの、世に名だたる「バカ王子」ですから、その作戦の実行方法は、
「夜、あのチビが独りになったところを、後ろから叩っ斬る!」
などという乱暴なものでありました。
ゲオルグ王子はこの素晴らしい作戦計画に興奮し、お腹の痛みもすっかり忘れてしまいました。
とにもかくにも、ゲオルグ王子はフレイ様がいるであろうキルハのお城の東宮に向かいました。
ゲオルグ王子が幸運であったのは、その夜が新月であったことです。
辺りは真っ暗でありましたから、東宮へ向かう道筋で誰にも見咎められませんでした。。
幸運はもう一つありました。
フレイ様が天文を観ることをお好みであった、ということです。
学問として星を観察することと、自然の芸術として星を愛でることの、両方がお好きです。
無い新月の夜には、お城の中庭の芝の上に寝転んで星を眺めます。月が出ているときにはそのの光に隠されてしまうくらいにかすかに光る小さな星でも、この日ばかりははっきりと観ることができます。
この夜も、フレイ様は夜深い頃まで東宮のお庭の芝生の上に寝転んで、満天の星々をごらんになっていたのです。
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