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最初の夫婦と最初の娘たちの話

この世界で最初の夫婦の最後の娘の彷徨

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 広い広い大地には、人が最初の夫婦の二人と最初の夫婦の最初の娘と最初の双子の娘とこの世で最初の逆子の娘とこの世で最初の掌に乗るほどに小さな体で生まれた娘とこの世で最初の大人のように大きな体で生まれた娘とこの世で最初のお母さんのお腹を裂いて取り出した娘しかおりませんでした。

 夫の人はこの世で最初のお父さんで、この世で最初のお百姓さんでした。
 妻の人はこの世で最初のお母さんで、この世で最初の機織り職人さんでした。
 最初の娘はこの世で最初の赤ん坊で、この世で最初のお医者さんで、この世で最初のお産婆さんでした。
 次の娘たちはこの世で最初の双子で、先に生まれた方はこの世で最初の猟師さんでした。
 後に生まれた方はこの世で最初の料理人さんでした。
 次の娘はこの世で最初の逆子で、この世で最初の仕立屋さんでした。
 その次の娘はこの世で最初の掌に乗るほどに小さな体で生まれた赤ん坊で、この世で最初の牧童さんでした。
 そのまた次に生まれた娘はこの世で最初の大人のように大きな体で生まれた赤ん坊で、この世で最初の大工さんでした。

 そして最後に生まれた娘は、この世で最初にお母さんのお腹を裂いて取り出された赤ん坊で、この世で最初の詩人になる人でした。
 ですがヌトは初めから詩を作り歌を唄おうと考えたのではありませんでした。

 この世で最初にお母さんのお腹を裂いて取り出された赤ん坊のヌトは、一等最初はお父さんと一緒に働こうと思っていたのです。
 ヌトはこの世で最初のお百姓さんのお父さんの所へ行きました。そうして

「どうか私にあなたの仕事を手伝わせてください」

 と言いました。お父さんは大変よろこび、早速娘のために新しく鍬や鋤を作りました。二人は丸々一日畑で働きました。
 日が暮れて夜が来ました。
 初めての仕事に疲れ果てたヌトは、お父さんに言いました。

「私にはお父さんの仕事は向いていないようです。体中が痛くて歩くこともできません」

 こうしてヌトは、その晩どろのように眠ったのでした。


 次の日、ヌトはこの世で最初の機織り職人さんのお母さんの所へ行きました。そうして

「どうか私にあなたの仕事を手伝わせてください」

 と言いました。お母さんは大変よろこび、早速娘のために新しく糸車や腰機を作りました。二人は丸々一日作業場で働きました。
 日が暮れて夜が来ました。
 初めての仕事に疲れ果てたヌトは、お母さんに言いました。

「私にはお母さんの仕事は向いていないようです。腰が痛くて立ち上がることができません」

 こうしてヌトは、その晩どろのように眠ったのでした。


 次の日、ヌトはこの世で最初のお医者さんのフッラの所へ行きました。そうして

「どうか私にあなたの仕事を手伝わせてください」

 と言いました。フッラは大変よろこび、早速妹のために新しく薬研や乳鉢を作りました。二人は丸々一日調薬部屋で働きました。
 日が暮れて夜が来ました。
 初めての仕事に疲れ果てたヌトは、フッラに言いました。

「私には姉さんの仕事は向いていないようです。眼が疲れて物を見ることができません」

 こうしてヌトは、その晩晩どろのように眠ったのでした。


 次の日、ヌトはこの世で最初の猟師さんのマッハの所へ行きました。そうして

「どうか私にあなたの仕事を手伝わせてください」

 と言いました。マッハは大変よろこび、早速妹のために新しく弓矢やナイフを作りました。二人は丸々一日草原で働きました。
 日が暮れて夜が来ました。
 初めての仕事に疲れ果てたヌトは、マッハに言いました。

「私には姉さんの仕事は向いていないようです。足が疲れて歩くことができません」

 こうしてヌトは、その晩どろのように眠ったのでした。


 次の日、ヌトはこの世で最初の料理人さんのジョカの所へ行きました。そうして

「どうか私にあなたの仕事を手伝わせてください」

 と言いました。ジョカは大変よろこび、早速妹のために新しく包丁や匙を作りました。二人は丸々一日厨房で働きました。
 日が暮れて夜が来ました。
 初めての仕事に疲れ果てたヌトは、ジョカに言いました。

「私には姉さんの仕事は向いていないようです。手先が冷えて物を掴むことができません」

 こうしてヌトは、その晩泥のように眠ったのでした。


 次の日、ヌトはこの世で最初の仕立屋さんのポイベの所へ行きました。そうして

「どうか私にあなたの仕事を手伝わせてください」

 と言いました。
 ポイベは大変よろこび、早速妹のために新しく鋏や針を作りました。二人は丸々一日工房で働きました。
 日が暮れて夜が来ました。
 初めての仕事に疲れ果てたヌトは、ポイベに言いました。

「私には姉さんの仕事は向いていないようです。指に針が刺さって傷だらけです」

 こうしてヌトは、その晩どろのように眠ったのでした。


 次の日、ヌトはこの世で最初の牧童さんのディーヴィの所へ行きました。そうして

「どうか私にあなたの仕事を手伝わせてください」

 と言いました。
 ディーヴィは大変よろこび、早速妹のために新しく杖や投石器を作りました。二人は丸々一日牧場で働きました。
 日が暮れて夜が来ました。
 初めての仕事に疲れ果てたヌトは、ディーヴィに言いました。

「私には姉さんの仕事は向いていないようです。牛たちに蹴られで体中があざだらけです」

 こうしてヌトは、その晩どろのように眠ったのでした。


 次の日、ヌトはこの世で最初の大工さんのティアマトの所へ行きました。そうして

「どうか私にあなたの仕事を手伝わせてください」

 と言いました。
 ティアマトは大変よろこび、早速妹のために新しく斧や木槌を作りました。二人は丸々一日屋根の上で働きました。
 日が暮れて夜が来ました。
 初めての仕事に疲れ果てたヌトは、ティアマトに言いました。

「私には姉さんの仕事は向いていないようです。高いところから落ちるのでは無いかと思うと恐ろしくて膝が笑って動けません」

 こうしてヌトは、その晩どろのように眠ったのでした。
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