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愛する者の愛し方を間違えた御使いの話

取り替え子。

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 さて、神様が世界を作ってから、大分時間がった頃のことです。
 それはつまり、天上の水が神様のお住まいを支え、下界の水が世界を潤し、海と大地に実りが満ち、空を飛ぶものが行き交い、海を泳ぐものが巡り、地に歩くものが増え、そして人間たちが天上の神様のお住まいに似せて神殿を建てるようになった頃のことです。

 ある人間の家に、赤ん坊が生まれました。
 顔立ちは父親と母親によく似ております。
 父親と母親も、そのまた父親と母親に似ていて、その親もまたその親に似て、人々は一番最初の人間によく似た姿をしていますが、最初の人間は神様がご自身の姿に似せて形作ったのですから、最初の人間の子も孫もそのまた子も孫も、そのまた子の孫も、神様自身の姿に似ているということになります。

 その両親は自分たちによく似た子供をゆりかごに入れ、ほんの僅かな間だけ外に出て、すぐに戻って来ました。
 赤ん坊の泣き声が聞こえたからです。
 両親はゆりかごの中をのぞき込みますと、悲鳴を上げて飛び上がりました。
 ゆりかごの中には、自分たちとちっとも似ていない子供が眠っていたからです。

 両親は自分たちに似ていない赤ん坊をゆりかごに入れたまま抱え上げ、大急ぎで神殿に行きました。
 自分たちに似ていない赤ん坊は、神様にも似ていないという事だからです。

 両親は神殿で神官に訴えました。

「私たちの赤ん坊のゆりかごに、私たちに似ていない赤ん坊が寝ていました。一体、どうすればよいでしょうか」

 神官も大変驚いて、急いで神様を礼拝して、

「私たちの兄弟の赤ん坊のゆりかごに、私たちの兄弟に似ていない赤ん坊が寝ていました。一体、どうすればよいでしょうか」

 するとどうでしょう。
 神官と両親と、それから両親に似ていない赤ん坊の前に、一人の御使いが現れたではありませんか。

 その御使いは、神様が世界に向かって、

「光よ在れ!」

 とお命じになった時に、その光の一粒として、星々と一緒に生まれた、一番年嵩としかさの御使いの内の一人でした。
 一番年嵩の御使いの一人ではありますが、彼の洞窟で神様の真似をした者ではなく、その兄弟の御使いです。

 御使いは言いました。

「この世に生まれた全ての人間は、神様の子供であります。あなたがたは時が来るまでその子供を育てなさい」

 両親は困惑しましたが、御使いの前なので言葉をうまく出せません。
 代わって神官がたずねました。

「時とは一体いつでしょう?」

「私が空の果て海の果て地の果てまで行って、お前達にそっくりな子供を見つけ出すその時。
 私が空の果て海の果て地の果てまで行って、その赤ん坊にそっくりな親達を見つけ出すその時」

 御使いは人々にそう告げて、現れたときと同じように、いつの間にか姿を隠してしまいました。

 御使いの言葉は神様の言葉です。逆らうことはできませんから、両親は自分たちに似ていない赤ん坊を育てることに決めました。

 
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