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愛する者の愛し方を間違えた御使いの話

神様が世界をお作りになったときに、その側にいた御使い。

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 昔々。ずっと昔。昔の中の三番目ぐらいに遠い昔。

 天に一人の御使いがおりました。
 それは、神様が、全てが混じって真っ黒だった世界に向かって、

「光よ在れ!」

 とお命じになった時に、その光の一粒として、星々と一緒に生まれた、一番年嵩としかさの御使いの内の一人です。

 この御使いは一番年嵩としかさでありましたたから、神様の一番近いところにいることを許されていました。
 それでいつでも神様のなさること善いことを、間近に見ることができたのです。

 神様が生まれたての光を昼と夜とに振り分けて、

「善し」

 とされたときにも、神様が水を天界の水と下界の水に振り分けて、

「善し」

 とされたときにも、その次に神様が液の水を一所に集めて、下界を海と乾いた大地とにおわけになって、

「善し」

 とされたときにも、そのまた次に神様が大地は大地の草木を、海は海の草木を、それぞれ生ずるようにお命じになり、その通りになったのをご覧になって、

「善し」

 とされたときにも、そのまたまた次に神様が海には海の生き物を、空には空の生き物を、大地には大地の生き物を、それぞれ生ずるようにお命じになり、言葉の通りになったのをご覧になって、

「善し」

 とされたときにも、この者は神様の傍らにあって、その様を見ておりました。

 神様が清い土を取って、清い水でこねて、神様そっくりの形を作り、清い炎をその腹に中に仕舞い、頭に美しい光を宿らせ、胸に聖なる伊吹を吹き込んで、人間という特別な生き物を作り、その生き物が神様を礼拝するのをご覧になって、

「何よりも善し」

 と喜ばれたときも、この者は神様の傍らにあって、その様を見ておりました。

 神様がお作りになった、輝く昼と静かな夜があり、天界の水と下界の水が分かれ、海と大地の区別が付き、海と大地に植物が満ち、空と海と大地とに生き物が栄え、人間が生まれた世界を、彼の御使いは素晴らしいと思いました。

 神様が成されたことは全て善いことです。
 ですから彼の御使いは、自分も善いことをしなければならないと決意しました。
 神様のなさったような善いことを、自分もしようと考えたのです。
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