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「巡る縁」
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隼人達の激闘をモニター越しから眺めていたシライは目を疑った。予想もしなかった非常事態が起こったからである。
「鵙」
そこに映っていたのは殉職したはずの戦友、鵙だったのだ。
隼人は迦楼羅の素顔を見え、生唾を飲んだ。
「そう言うことだったのか。初めてあった時、俺はあんたの動きにギリギリついていけたのはじいちゃんと同じだったからか」
「ええ。君の祖父。松阪シライに剣を教えたのは私です。まさか彼の孫とこんな形で顔をあわせるとは思いませんでした」
鵙が口元に小さな笑みを浮かべた。しかし、その目には一切の生気を感じない。
どうすればこんなにも冷たい目が作れるのか、隼人は疑問とともに得体の知れない恐怖を覚えた。
「シライ。見ているのだろう。私はお前の事を友だと思っている。それは今も変わらない。しかし、剣を重ね合う敵同士となれば話は別だ。私は奪うぞ。お前の大事なモノを」
鵙が構えた剣と同じくらい鋭利な目つきを作った。すると鵙の刀身に黒い風が集まっていく。
「隼人! くるよ!」
「おう!」
「影ノ風上」
刃を振り抱えると漆黒の竜巻が吹き荒れる。それとともに無数の黒い羽根が飛ばされて来たのだ。
「障壁!」
鷹が隼人の目の前に漆黒の壁を作った。凄まじい勢いの暴風が壁にぶつかった瞬間、壁が音と立てて、壊れた。
「うあああ!」
あまりの勢いで鷹が後方の方に飛んで行った。
「鷹!」
「隙だらけですよ」
鵙が目を見張るような速さで迫って来た。隼人は命を刈り取るような的確な猛攻に抵抗する。
「ふふ。シライによく似ていますね。見た目も諦めの悪い性格も」
「まあな。でなきゃこんなところであんたと斬り合ってない!」
隼人は負けじと黒炎纏う刀身を振っていく。時間が経過したせいか炎の勢いが落ちている。
対して迦楼羅の顔には疲労の表情が全く見られない。
「くっ! 重い!」
隼人は刀身で防ぎながら、攻撃の隙を伺っていくが一向に見えない。
突然、鵙が後方に下がった。その瞬間、目の前にいくつもの氷柱が勢いよく生えてきた。
「松阪君、大丈夫!?」
背後から傷だらけの結巳が姿を見せた。彼女が助けてくれたのだ。
「ああ、助かった」
「おや。ご令嬢も息がありましたか」
「ええ。ここで終わるわけにはいかないから」
結巳が刃物のような鋭い目つきで鵙を睨んだ。
「その顔を見るのは久しぶりですね。お父様」
「まだ立ちますか? 揚羽」
「はい。貴方を止めたいですから」
疲労の表情を浮かべながら、揚羽が静かに刃を構えた。
「相変わらず。一撃が重いね。父さんは」
ため息をつきながら、黒い剣を構える鷹が隼人に寄り添うように寄ってきた。
「何故ですか? 何度もねじ伏せたはず」
「どうだ。すげえだろ。あんたがどれだけひね潰しても立ち上がる奴は立ち上がるんだぜ」
隼人は鵙の内心を刺激するように笑みを浮かべる。
これまでの隼人ならここで敗れているかもしれない。しかし、彼には今、守りたいと思える存在がたくさん出来たのだ。
それは周りの仲間も同様だ。守りたいもの。果たしたい願い。そのために傷だらけの体に鞭を打ってなんども立ち上がるのだ。
「行くぞおおおお!」
隼人は喉が張りさけそうな勢いで叫んだ。全ては長きに渡る死闘を終わらせるために。
「鵙」
そこに映っていたのは殉職したはずの戦友、鵙だったのだ。
隼人は迦楼羅の素顔を見え、生唾を飲んだ。
「そう言うことだったのか。初めてあった時、俺はあんたの動きにギリギリついていけたのはじいちゃんと同じだったからか」
「ええ。君の祖父。松阪シライに剣を教えたのは私です。まさか彼の孫とこんな形で顔をあわせるとは思いませんでした」
鵙が口元に小さな笑みを浮かべた。しかし、その目には一切の生気を感じない。
どうすればこんなにも冷たい目が作れるのか、隼人は疑問とともに得体の知れない恐怖を覚えた。
「シライ。見ているのだろう。私はお前の事を友だと思っている。それは今も変わらない。しかし、剣を重ね合う敵同士となれば話は別だ。私は奪うぞ。お前の大事なモノを」
鵙が構えた剣と同じくらい鋭利な目つきを作った。すると鵙の刀身に黒い風が集まっていく。
「隼人! くるよ!」
「おう!」
「影ノ風上」
刃を振り抱えると漆黒の竜巻が吹き荒れる。それとともに無数の黒い羽根が飛ばされて来たのだ。
「障壁!」
鷹が隼人の目の前に漆黒の壁を作った。凄まじい勢いの暴風が壁にぶつかった瞬間、壁が音と立てて、壊れた。
「うあああ!」
あまりの勢いで鷹が後方の方に飛んで行った。
「鷹!」
「隙だらけですよ」
鵙が目を見張るような速さで迫って来た。隼人は命を刈り取るような的確な猛攻に抵抗する。
「ふふ。シライによく似ていますね。見た目も諦めの悪い性格も」
「まあな。でなきゃこんなところであんたと斬り合ってない!」
隼人は負けじと黒炎纏う刀身を振っていく。時間が経過したせいか炎の勢いが落ちている。
対して迦楼羅の顔には疲労の表情が全く見られない。
「くっ! 重い!」
隼人は刀身で防ぎながら、攻撃の隙を伺っていくが一向に見えない。
突然、鵙が後方に下がった。その瞬間、目の前にいくつもの氷柱が勢いよく生えてきた。
「松阪君、大丈夫!?」
背後から傷だらけの結巳が姿を見せた。彼女が助けてくれたのだ。
「ああ、助かった」
「おや。ご令嬢も息がありましたか」
「ええ。ここで終わるわけにはいかないから」
結巳が刃物のような鋭い目つきで鵙を睨んだ。
「その顔を見るのは久しぶりですね。お父様」
「まだ立ちますか? 揚羽」
「はい。貴方を止めたいですから」
疲労の表情を浮かべながら、揚羽が静かに刃を構えた。
「相変わらず。一撃が重いね。父さんは」
ため息をつきながら、黒い剣を構える鷹が隼人に寄り添うように寄ってきた。
「何故ですか? 何度もねじ伏せたはず」
「どうだ。すげえだろ。あんたがどれだけひね潰しても立ち上がる奴は立ち上がるんだぜ」
隼人は鵙の内心を刺激するように笑みを浮かべる。
これまでの隼人ならここで敗れているかもしれない。しかし、彼には今、守りたいと思える存在がたくさん出来たのだ。
それは周りの仲間も同様だ。守りたいもの。果たしたい願い。そのために傷だらけの体に鞭を打ってなんども立ち上がるのだ。
「行くぞおおおお!」
隼人は喉が張りさけそうな勢いで叫んだ。全ては長きに渡る死闘を終わらせるために。
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