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「反逆の森」
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裏口の方から侵入すると、中から戦闘員や忌獣の叫び声が聞こえた。既にこの廃墟は戦場と化しているようだ。
「死ね!」
「殺してやるよ!」
「グオオオオ!」
叫び声から次は銃声まで混ざっており、一層激しさが増していた。今の隼人達の立場を考えると戦闘員と遭遇すれば、彼らとも争いになりかねない。早急に目的を達成する必要があった。
「とりあえず、信徒を一人、捕まえるぞ」
隼人は結巳とともに息を殺しながら、進んで行く。その間、辺りから怒鳴り声や雄叫びが度々に聞こえる。
降りて行くと鉈を持った構成員がいた。こちらを見るなり、鉈を振りかざしてきた。
「遅えよ」
しかし、隼人にとって素人の動きなど隼人からすれば赤子の手をひねるも同然。
瞬く間に鉈を取り上げて、無力化した。
「くっ! くそ! この!」
「抵抗したら〆るぞ」
隼人はドスの効いた声で問いかけると、構成員の動きが止まった。隼人と結巳はそのまま、構成員を連れてアジトを脱出した。
「ココ以外のアジト。全て教えろ」
「だっ、誰が! てめえらなんかに」
「話さないなら戦闘員に突き出す。今の戦闘員達に突き出されたらどうなるか。分かるでしょ?」
結巳の言葉が効いたのか、構成員が反発するのを辞めた。構成員達も今の対策本部の異常さに気付いているのだ。
それから構成員から知っている限りのアジトを全て聞き出した。
「知っているのはこれで全部か?」
「ああ。さあ、話したから解放してくれよ」
隼人は約束通り、構成員を解放した。敵とは言え、惨たらしい死を見るのは寝覚めが悪い。
「さあ、いくぞ。聖堂寺。これ以上ここにいるのはまずい」
「おい。あんた。今、聖堂寺って言ったか?」
「ああ、それが」
構成員の雰囲気が先ほど別人のように変わった。憎悪に満ちたような目を向けていた。
「お前の、お前達の一族のせいで!」
構成員が再び、襲いかかってきた。怒りが糧になっているのか、先ほどより攻撃に勢いがあるが、隼人は首元に強烈な一撃を加えた。
「くっ、そ」
構成員が白目をむいて、その場で倒れた。
「今、向こうで人の声がしたぞ!」
「まずい! いくぞ。聖堂寺!」
「えっ、ええ」
隼人は呆然とした様子の結巳を連れて、夜の森を駆けた。
「よし、あと少しだ」
森を抜けようとした時、森の茂みから何かが現れた。狼のような姿をした忌獣だ。大きさから推測する限り、夕方に見た個体と同じだ。
「ガアアア!」
「邪魔だ!」
忌獣が唾液を垂らしながら、飛びかかってきた。隼人は聖滅具を起動させて、瞬時に切り裂いた。呻き声をあげながら、忌獣が白目をむいた。
隼人は結巳を連れて、森を抜けた。彼女の表情はどこか上の空だった。
「死ね!」
「殺してやるよ!」
「グオオオオ!」
叫び声から次は銃声まで混ざっており、一層激しさが増していた。今の隼人達の立場を考えると戦闘員と遭遇すれば、彼らとも争いになりかねない。早急に目的を達成する必要があった。
「とりあえず、信徒を一人、捕まえるぞ」
隼人は結巳とともに息を殺しながら、進んで行く。その間、辺りから怒鳴り声や雄叫びが度々に聞こえる。
降りて行くと鉈を持った構成員がいた。こちらを見るなり、鉈を振りかざしてきた。
「遅えよ」
しかし、隼人にとって素人の動きなど隼人からすれば赤子の手をひねるも同然。
瞬く間に鉈を取り上げて、無力化した。
「くっ! くそ! この!」
「抵抗したら〆るぞ」
隼人はドスの効いた声で問いかけると、構成員の動きが止まった。隼人と結巳はそのまま、構成員を連れてアジトを脱出した。
「ココ以外のアジト。全て教えろ」
「だっ、誰が! てめえらなんかに」
「話さないなら戦闘員に突き出す。今の戦闘員達に突き出されたらどうなるか。分かるでしょ?」
結巳の言葉が効いたのか、構成員が反発するのを辞めた。構成員達も今の対策本部の異常さに気付いているのだ。
それから構成員から知っている限りのアジトを全て聞き出した。
「知っているのはこれで全部か?」
「ああ。さあ、話したから解放してくれよ」
隼人は約束通り、構成員を解放した。敵とは言え、惨たらしい死を見るのは寝覚めが悪い。
「さあ、いくぞ。聖堂寺。これ以上ここにいるのはまずい」
「おい。あんた。今、聖堂寺って言ったか?」
「ああ、それが」
構成員の雰囲気が先ほど別人のように変わった。憎悪に満ちたような目を向けていた。
「お前の、お前達の一族のせいで!」
構成員が再び、襲いかかってきた。怒りが糧になっているのか、先ほどより攻撃に勢いがあるが、隼人は首元に強烈な一撃を加えた。
「くっ、そ」
構成員が白目をむいて、その場で倒れた。
「今、向こうで人の声がしたぞ!」
「まずい! いくぞ。聖堂寺!」
「えっ、ええ」
隼人は呆然とした様子の結巳を連れて、夜の森を駆けた。
「よし、あと少しだ」
森を抜けようとした時、森の茂みから何かが現れた。狼のような姿をした忌獣だ。大きさから推測する限り、夕方に見た個体と同じだ。
「ガアアア!」
「邪魔だ!」
忌獣が唾液を垂らしながら、飛びかかってきた。隼人は聖滅具を起動させて、瞬時に切り裂いた。呻き声をあげながら、忌獣が白目をむいた。
隼人は結巳を連れて、森を抜けた。彼女の表情はどこか上の空だった。
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