18 / 115
「学園最強」
しおりを挟む
人は戦慄していた。黒髪の美しい少女が凄まじい力で手首を握ってくるからだ。
「で、どうだ?」
「どうだ。じゃなくて嫌ですよ」
「ああ、そうだ! 入会の仕方は簡単だぞ。この書類にサインを」
「急に話進めないでください」
彼女の意見に賛同しないせいか、手首を握る力が強くなって来た。
「というかなんで俺なんですか? 聖堂寺に声をかければいいじゃないですか!」
「彼女はもう生徒会のメンバーだよ」
「えっ? 何それ。初耳」
隼人は初めて耳にした事実に驚きつつも、断りを入れるため、口を開いた。
「大体。なんで俺なんですか?」
「この学園は規律的な面はしっかりしている一方で数人の半グレが存在する」
早見の言葉を聞いて、昨日の男子生徒達に奇襲されたのを思い出した。
「だから、君のような実力が必要だ」
早見の真剣だった。多くの人間のために頭を下げる。簡単にできることではない。このような責任感の強さこそ彼女が生徒会長として選ばれている所以だろう。
「それでも嫌です」
「なら理由を聞かせてくれ」
「俺は一人でいたいんです。人と群れたいわけじゃない」
一個体で強ければ蒸れる必要はない。弱いからこそ群れて、トラブルやストレスの原因になるのだ。
「じゃあシンプルに決闘で決めるのはどうだ?」
「決闘ですか? 自分で言うのもなんですがこう見えても特待生なのでそれなりには腕は立ちますよ」
「知っているよ。聖堂寺結巳、赤間徹。そして現場で宿主や数多の忌獣を葬ってきたその強さ」
早見が淡々と隼人の遍歴を述べていく。彼女にとっても隼人は非常に貴重な人材ということが理解できた。
「だからこそ私も『学園最強』の名に恥じないようにな」
早見の周りから並々ならない気迫を感じ取った。その瞬間、隼人の全身の鳥肌が一気に立ち上がり、体が震えた。
恐怖ではない。武者震い。緊張と次なる強者と戦える事への喜びを感じたのだ。
「試合は明日の放課後。闘技場にて」
「分かりました」
隼人は試合を承諾して、生徒会室を出た。
「生徒会長と何を話していたの?」
生徒会室の出るとすぐ外に結巳が腕を組んで立っていた。
「生徒会に入会させられそうになった」
「それで、結果は?」
「決闘で入会か否か決定することになった。でも良い機会だ。この学校で最強と呼ばれている人と戦えるんだからな」
隼人は興奮とさらなる強者と戦える喜びで口角が上がった。
「早見先輩。彼女は強いわよ。二つ名の通り、この学園では最強よ。まあいずれ私が越えるけどね」
結巳が両手を腰に当てて、胸を張った。結巳自身もかなり実力も向上している。彼女の望みである聖堂寺当主も現実味を帯びてきている。
「さて準備しますか」
隼人は体を引き延ばして、明日の準備に取り掛かる事にした。
「で、どうだ?」
「どうだ。じゃなくて嫌ですよ」
「ああ、そうだ! 入会の仕方は簡単だぞ。この書類にサインを」
「急に話進めないでください」
彼女の意見に賛同しないせいか、手首を握る力が強くなって来た。
「というかなんで俺なんですか? 聖堂寺に声をかければいいじゃないですか!」
「彼女はもう生徒会のメンバーだよ」
「えっ? 何それ。初耳」
隼人は初めて耳にした事実に驚きつつも、断りを入れるため、口を開いた。
「大体。なんで俺なんですか?」
「この学園は規律的な面はしっかりしている一方で数人の半グレが存在する」
早見の言葉を聞いて、昨日の男子生徒達に奇襲されたのを思い出した。
「だから、君のような実力が必要だ」
早見の真剣だった。多くの人間のために頭を下げる。簡単にできることではない。このような責任感の強さこそ彼女が生徒会長として選ばれている所以だろう。
「それでも嫌です」
「なら理由を聞かせてくれ」
「俺は一人でいたいんです。人と群れたいわけじゃない」
一個体で強ければ蒸れる必要はない。弱いからこそ群れて、トラブルやストレスの原因になるのだ。
「じゃあシンプルに決闘で決めるのはどうだ?」
「決闘ですか? 自分で言うのもなんですがこう見えても特待生なのでそれなりには腕は立ちますよ」
「知っているよ。聖堂寺結巳、赤間徹。そして現場で宿主や数多の忌獣を葬ってきたその強さ」
早見が淡々と隼人の遍歴を述べていく。彼女にとっても隼人は非常に貴重な人材ということが理解できた。
「だからこそ私も『学園最強』の名に恥じないようにな」
早見の周りから並々ならない気迫を感じ取った。その瞬間、隼人の全身の鳥肌が一気に立ち上がり、体が震えた。
恐怖ではない。武者震い。緊張と次なる強者と戦える事への喜びを感じたのだ。
「試合は明日の放課後。闘技場にて」
「分かりました」
隼人は試合を承諾して、生徒会室を出た。
「生徒会長と何を話していたの?」
生徒会室の出るとすぐ外に結巳が腕を組んで立っていた。
「生徒会に入会させられそうになった」
「それで、結果は?」
「決闘で入会か否か決定することになった。でも良い機会だ。この学校で最強と呼ばれている人と戦えるんだからな」
隼人は興奮とさらなる強者と戦える喜びで口角が上がった。
「早見先輩。彼女は強いわよ。二つ名の通り、この学園では最強よ。まあいずれ私が越えるけどね」
結巳が両手を腰に当てて、胸を張った。結巳自身もかなり実力も向上している。彼女の望みである聖堂寺当主も現実味を帯びてきている。
「さて準備しますか」
隼人は体を引き延ばして、明日の準備に取り掛かる事にした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる