チート異世界転生したら火炙りになってま死た。

商いの町 イルヤンカ

エアンナ商会②

「イルヤンカもアストレアと同様、海に近いので、海産物や異国文化を主軸に成り立ってる地域なんですよ」
「……クラーケンタコ焼き……ねぇ……」

　見た目も味もタコ焼きそのものではあるが、のぼりに大きく書かれると多少の抵抗感がある。ギルドが賑わうのは夜からという事で、日が沈むまでの間は大通りの食べ歩きをすることになった。割と楽しい。お祭りに行く機会があまりなかったため、ついつい楽しんでしまう。楽しむ事が悪ではないのは確かだが、散々な目に遭わせてきた奴らと遊んでていいのだろうか、という疑問は残る。

「夜になったらギルドの本部である大商人カネナラダスの館に向かうんで～、それまでくれぐれもはぐれないようにしてくださいね！」
「喚び戻せるって言ってなかったっけ」
「ギルドに所属してない旅人って奴隷商の格好の獲物なんですよ～、それだけで捕まっちゃう敗北フラグ立てちゃうくらいに！実績解除のために貴方だけどっか転送ポータルで飛ばしちゃってもいいんですが、まあ僕が直接視姦出来る死亡シーンでもないので一旦スルーしておく感じですね❤︎」

　警戒するに越したことはない。逆に油断しないようにやっているのかと勘繰ってしまう頻度で腹黒さを見せてくる。オレはジャックの豆の煮というダジャレのような甘露煮の看板を見ている顔を慌ててラブリエルたちの方へ向けた。

　屋台の大通りには食べ物の他にも豪奢な金物や織物、『箱骨カシェット』というこの世界特有の魔術具などが並んでいた。聞き齧った程度の知識で見る限り、とはいえ、技術はやはり現代とほとんど変わらない程度にあるようだが、電子的なものだけが意図的に排除されている気がする。単なる世界観の問題だろうか。他に目立つものといえば、奴隷商人がカブトムシ屋台のノリで店を出していることだろうか。売られているのは扱いやすい子供が大半だが、中には特殊な器具や見慣れた装備ドすけべスーツで封印されている大型の獣人もいる。獣人が装備すると見映えがいいな、と謎の羨ましさが心をよぎる。