チート異世界転生したら火炙りになってま死た。

商いの町 イルヤンカ

エアンナ商会①

「田舎の中では割と都会！商いの町イルヤンカへようこそ！」

　町の入り口では自虐的なキャッチフレーズと共に町民がチラシを配っていた。この世界でもバイトのようなものはあるのだろうか。チラシには中学英語に似た文字が書かれているのでなんとなく読むことが出来る。どうやら商人ギルド登録の案内のようだ。

「ギルド、でイメージするものは好きなゲームの種類によって異なるかと思いますが、ここではおおよそ『何の、どの程度の仕事クエストがこなせるか』をこの世界ゲーム内にあるギルドならどこでも共通して証明出来る履歴書登録、程度の意味合いだと考えてください。職業によって斡旋されやすいお仕事はもちろん異なりますが、基本的に魔力おちんちんポイントの貢献実績のみを条件とされる場合が多いです」
「どういう世界観なんだ……」
「人間世界も似たようなもんじゃないです？貨幣価値として換算出来るのが魔力ちんポか人的資源かの違いですよ！貢・献・実績だから本人雇用者のケツで稼ぐのは必須じゃないし、なんならパーティ単位でギルド登録すれば、持ち主は奴隷に後ろ盾ギルドがある事を主張出来るので下手に手を出されない、奴隷は持ち主が選ぶとはいえ、ギルドがある程度安全だと判断した客を相手にクエストで魔力をゲット、クエストの報酬自体は持ち主が受け取り、それを更に実績として納品しランクを上げる、なんてのもアリなんで、個人でもパーティでも『踊り子』は結構有利なんですよ～」

　なるほど踊り子ならば、組む相手さえ選べば安全に魔力を稼ぐ事が出来、かつ雇用者を介さなくても直接納品も出来るということなのか。実際に元の世界でも、金を稼ぐ手段が事務処理かセックスか、サラリーマンかフリーランスか、のような所はあるので、ある意味うってつけというわけだ。好きでなった職ではないとはいえ、適性があるなら利用するに越したことはないし、選択肢も現状あまり多くはない。身元と契約関係がしっかりしている分、逃げられる心配が少ない事も考えられると思えば、元の世界より稼ぎやすいだろう。

「ちなみにイベントのフラグ処理の都合で、今回は僕がパーティ代表でギルド登録して魔力を納品するけど、貴方が個人で登録する分には全く止めないのでそれはお好きにどうぞ！」

　そう言いながらラブリエルは町の入り口から真っ直ぐの大通りに向かって歩き出した。地域のお祭りのような小規模な賑やかさがある、陽気な光景である。