上 下
32 / 49
テホム街道

VSレッドワーム②

しおりを挟む
「う、うぁ」

 1本の触手がひたり、と目的の場所を探り当てた。思わず払い除けようと手に力を込めると、まるで木の枝でも折るかのようにあっさりと、腕の骨を折られた。らしい。痛みこそないものの、明らかに人体の中で鳴ってはいけない部類の音が聞こえた。痛みは危険を示すためのシグナルであると聞いたことがあるが、痛み以外の様々なシグナルが発せられていることに今更ながら気付く。

「あっ、あっ、やば、ヤバいかも……痛気持ち悪い……いや痛くはないけど、ダメな気がする……」
「ええ、こちらからも確認出来ます。多分貴方が想像してるよりも不味いことになっているので、暗視出来なくてよかったですね」
「そんなに!?」

 ぱき、ばき、ごり、と四肢が壊れていく音がした。腹の中の触手1本1本に意思でもあるのだろうか。脆いところから的確に砕いていく。本来は痛みが伴うであろう、酷い吐き気と熱、焦燥感だけが脳を侵食していった。

 左右に引き伸ばされた身体にはすでに抵抗の手段はない。真っ暗闇でこちらからは確認出来ないが、恐らくはヒルトの方も同様のことが行われているのが音でわかるのが余計に恐怖を駆り立てた。

「ヒルトっ……」
「首を折られたら恐らく外に復活リスポーン出来るのですが、その辺りは空気を読むモンスターなんですよ。苗床系はまた別にいるようですが、この世界の創造制作はほとんどラブリエル様によるものですので、私も全て把握しているわけでは……むぐ、んん……」

 くぐもった声が聞こえたのち、ぐちゃ、ぐちゃという肉の音以外は聞こえなくなった。冷静な解説役が居なくなった事実は酷く効果的であった。

「う、う、うわああぁ!ああぁぁぁ!!」

 本能的な恐怖が心の底から湧き上がり、自分の意思で出すわけではない自分の悲鳴が聞こえた。動かなくなった手足を必死に動かそうとするが、意味はなく、むしろ穴の近くに寄ってきた無数の触手に擦り付ける結果となってしまった。肛門だけではない。恐らくは筆のようになっている、細い細い束がじわじわと陰茎を包むように這い上がり、尿道口に触れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...