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学校へ行こう
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side 華南
おにいちゃんの部屋でうっかり眠ってしまったら、朝、全裸で寝ていました。
ちなみに、おにいちゃんは上半身裸でした。
昨夜一体、私の身に何があったんでしょうか?
神様、教えて下さい。
そんな事をぼんやり考え込んでいた。
「2年の鳳先輩ってカッコ良いよね?」
「ええ!私は3年の鳳先輩の方がタイプ」
「ええ!! 2年の鳳先輩の方が断然良いって!!」
「はあ!! ってかさ、大体2年の鳳って言えば、二人居るでしょ? どっちの方よ」
入学式当日、式典に向かう体育館までの道すがら、同じクラスの女子の会話に私の頭は?マークが狂喜乱舞していた。
「?」マークってあんまりたくさん思い浮かべると目に見えるんだ……ってそんな事あるかい!!
と一人ノリツッコミをしている私は、そっと周囲の声に耳を傾け、傍耳を立てていた。
「ええ! 勿論、白夜様!!」
「はっ!! 私は衛様派」
心の中で、私は叫んだ。
私の知っている鳳は、お兄ちゃん(衛)だけだよ!!
えっ、この学校、鳳だらけなの?
と思って数秒。
私はまた、一人でノリツッコミ。
そもそも、それ以前に私自身も鳳じゃん、と。
「ねぇ、貴方も鳳一族?」
「え(鳳一族って何)? えっと、私、親が再婚して、2年前から名字が鳳に……」
「そうなんだ!! どうりで、鳳なのに初めて見ると思った!!」
鳳一族って何だろう?
入学式の式典終了から、そもそも私は心臓がばくばくしている。
悶え死にしそうなレベルでだ。
在校生代表で祝辞を述べたおにいちゃんが垣間見せた凛々しい表情と、毅然とした立ち居振る舞いが目に焼き付いて離れない。
脳内でエンドレスに思い出しては悶えている。
今朝、私をベッドで裸にした挙句、わたしが穿いていた『うさぎちゃんのぱんつ』を翳してニヤニヤしていた人と同一人物とは思えないばかりのカッコ良い一面が惜しまれて、胸が詰まる。
悶えるのとは別の意味で(本当に惜しいい)!!
昨夜から今朝にかけてまでの事さえなければ、今頃、昨日までの様におにいちゃんにメロメロだっただろうに。
今朝の事さえなければ……と、内心、頭に来ている私だった。
「おい、一年の鳳!!」
( ふへっ?! )
一年の鳳……。
私の事だろうか?
不意に、見知らぬ男子生徒が声をかけてきた。
式典を終え、教室に帰る1年の列を横切る途中だった。
黒に赤のラインが入った有名スポーツメーカーのジャージのズボンに、だぼったい白のパーカーを着ている。
運動部だろうか。
スポーツメーカーの傾向からして、卓球やサッカーではなく(ましてや野球ではない)、バスケやバレーっぽい感じだった。
運動部は、その種類によって好まれるスポーツメーカーがあり、自分自身中学はバスケ部に所属していたので、部活中目にする風景や他校試合で居合わせる生徒たちの身なりを参考に考えた独断と偏見に他ならないにせよ。
「「「「えっ、白夜先輩!!」」」」
周りで次々と女子生徒の黄色い悲鳴が上がる
「誰、1年に鳳!!」
「えっ、今年、1年に鳳いるの?」
「男子の名字全員ちぇっくしたけど、居なかったよ!」
「いるいる。女子、ウチのクラス!!」
周囲の視線と白夜と呼ばれる先輩の視線が私に集まるのに、3秒かからなかった。
「あの子です!!」
私とさっき話した女子が私を指さしたのを皮きりに、白夜と言う人は私の方に歩み寄って来る。
茶髪で長めの前髪を両サイドに分け、おにいちゃんより小指1本分くらい背が高そうで、女性的なおにいちゃんとは違う野性味あふれる顔立ちなのに、どこか上品に見えるのは、通った鼻筋と形の良い唇の性かもしれない。
猫みたいなどんぐり目で私をじろじろ見た後、まるでお笑い芸人のボケを見た時みたいに吹き出して笑った。
「思ったより馬鹿そうだな! 似てねえ!」
「……思ったよりって、当初は何を想定していたんですか?」
「はあ! 何かもっと、陰気で、ガリ勉で、牛乳瓶みたないメガネした、鉄のパンツ穿いてそうな奴だよ!! 衛(まもる)の妹なんて言うから、アイツと瓜二つだったら、傑作だったのにな」
「何でおにいちゃんと瓜二つだったら、鉄のぱんつなの!! 私のぱんつは(うさぎちゃんだ!!)」
ってやばいやばい。
もう、おにいちゃんにでさえひた隠しにしていたかった、『うさぎのぱんつ』の事を想わず自分でカミングアウトしてまうところだった!!
冗談じゃない!!
「お前のぱんつが何だってんだ? そんな顔して、もうセック」
「鳳 白夜……」
今、青少年の育成に著しく不適切な発言がされようとした気がするが?
それはおいといて。
突如、白夜と言う先輩の声を遮ったのは、先の式典で私の心臓を『不整脈ですか?』張りにばくばくさせてくれたおにいちゃんで、私はちょっとだけ、ちびった(マジで)。
式典が長かったから、後でトイレに行こうと思ってたのだ。
私のお気に入りのうさぎちゃんのぱんつが……。どうしよう。
「人のいもうとに、変な言いがかりはやめて貰えませんか? 取り締まりますよ」
「おー、こえぇ、怖ぇ。 シスコン風紀委員長がちょっと同じ学校に転校してきたいとこが声を掛けた位で、青筋立ててんじゃねぇよ! 嫉妬か?」
「吠えましたね。全身風紀違反のあんぽんたん。今月中にせめてその栗色頭と校内でピアス装飾を辞めないと、鳳一族でも、夏の大会前に貴方の部活動潰しますよ」
睨み合う、白夜と言う先輩とお兄ちゃんの間に、火花が散って見えたのは、私だけだろうか?
と言うか、おにいちゃんも本気で人に怒ったりするんだと、そんなおにいちゃんの意外な一面に、私はますますおにいちゃんが好きになっていた。
私って変かな?
放課後、私は女子バスケ部への仮入部手続きを済ませ、帰途に着こうとした瞬間、校内アナウンスで呼び出しを受けてしまった。
「1年A組の鳳 華南さん。帰りは、お兄様の鳳 衛様が一緒に下校したいとおっしゃっております。所用が済んだ後は速やかにロビーで待機下さい 繰り返します ~」
取敢えず、繰り返すのからヤメテモラオウカ。
どこの世界に、一生徒の一兄の一妹への伝言を校内アナウンスしちゃう学校があるんだよ!!
取敢えず、指示通りに職員室前のロビーで待機していると、担任の先生が通りかかったので尋ねてみたら、衝撃の事実が発覚した。
「あぁ、君の新しいお父さんはうちの学校の学園長で、鳳一族はこの学校の創設者だからね」
……。
裸足で、地球の裏まで走って行ける気がした。
そんな事知っていたら、せっかく猛勉強して入った私立の大学まである女子校から転校してまで、この学校に来なかったのだから。
おにいちゃんの部屋でうっかり眠ってしまったら、朝、全裸で寝ていました。
ちなみに、おにいちゃんは上半身裸でした。
昨夜一体、私の身に何があったんでしょうか?
神様、教えて下さい。
そんな事をぼんやり考え込んでいた。
「2年の鳳先輩ってカッコ良いよね?」
「ええ!私は3年の鳳先輩の方がタイプ」
「ええ!! 2年の鳳先輩の方が断然良いって!!」
「はあ!! ってかさ、大体2年の鳳って言えば、二人居るでしょ? どっちの方よ」
入学式当日、式典に向かう体育館までの道すがら、同じクラスの女子の会話に私の頭は?マークが狂喜乱舞していた。
「?」マークってあんまりたくさん思い浮かべると目に見えるんだ……ってそんな事あるかい!!
と一人ノリツッコミをしている私は、そっと周囲の声に耳を傾け、傍耳を立てていた。
「ええ! 勿論、白夜様!!」
「はっ!! 私は衛様派」
心の中で、私は叫んだ。
私の知っている鳳は、お兄ちゃん(衛)だけだよ!!
えっ、この学校、鳳だらけなの?
と思って数秒。
私はまた、一人でノリツッコミ。
そもそも、それ以前に私自身も鳳じゃん、と。
「ねぇ、貴方も鳳一族?」
「え(鳳一族って何)? えっと、私、親が再婚して、2年前から名字が鳳に……」
「そうなんだ!! どうりで、鳳なのに初めて見ると思った!!」
鳳一族って何だろう?
入学式の式典終了から、そもそも私は心臓がばくばくしている。
悶え死にしそうなレベルでだ。
在校生代表で祝辞を述べたおにいちゃんが垣間見せた凛々しい表情と、毅然とした立ち居振る舞いが目に焼き付いて離れない。
脳内でエンドレスに思い出しては悶えている。
今朝、私をベッドで裸にした挙句、わたしが穿いていた『うさぎちゃんのぱんつ』を翳してニヤニヤしていた人と同一人物とは思えないばかりのカッコ良い一面が惜しまれて、胸が詰まる。
悶えるのとは別の意味で(本当に惜しいい)!!
昨夜から今朝にかけてまでの事さえなければ、今頃、昨日までの様におにいちゃんにメロメロだっただろうに。
今朝の事さえなければ……と、内心、頭に来ている私だった。
「おい、一年の鳳!!」
( ふへっ?! )
一年の鳳……。
私の事だろうか?
不意に、見知らぬ男子生徒が声をかけてきた。
式典を終え、教室に帰る1年の列を横切る途中だった。
黒に赤のラインが入った有名スポーツメーカーのジャージのズボンに、だぼったい白のパーカーを着ている。
運動部だろうか。
スポーツメーカーの傾向からして、卓球やサッカーではなく(ましてや野球ではない)、バスケやバレーっぽい感じだった。
運動部は、その種類によって好まれるスポーツメーカーがあり、自分自身中学はバスケ部に所属していたので、部活中目にする風景や他校試合で居合わせる生徒たちの身なりを参考に考えた独断と偏見に他ならないにせよ。
「「「「えっ、白夜先輩!!」」」」
周りで次々と女子生徒の黄色い悲鳴が上がる
「誰、1年に鳳!!」
「えっ、今年、1年に鳳いるの?」
「男子の名字全員ちぇっくしたけど、居なかったよ!」
「いるいる。女子、ウチのクラス!!」
周囲の視線と白夜と呼ばれる先輩の視線が私に集まるのに、3秒かからなかった。
「あの子です!!」
私とさっき話した女子が私を指さしたのを皮きりに、白夜と言う人は私の方に歩み寄って来る。
茶髪で長めの前髪を両サイドに分け、おにいちゃんより小指1本分くらい背が高そうで、女性的なおにいちゃんとは違う野性味あふれる顔立ちなのに、どこか上品に見えるのは、通った鼻筋と形の良い唇の性かもしれない。
猫みたいなどんぐり目で私をじろじろ見た後、まるでお笑い芸人のボケを見た時みたいに吹き出して笑った。
「思ったより馬鹿そうだな! 似てねえ!」
「……思ったよりって、当初は何を想定していたんですか?」
「はあ! 何かもっと、陰気で、ガリ勉で、牛乳瓶みたないメガネした、鉄のパンツ穿いてそうな奴だよ!! 衛(まもる)の妹なんて言うから、アイツと瓜二つだったら、傑作だったのにな」
「何でおにいちゃんと瓜二つだったら、鉄のぱんつなの!! 私のぱんつは(うさぎちゃんだ!!)」
ってやばいやばい。
もう、おにいちゃんにでさえひた隠しにしていたかった、『うさぎのぱんつ』の事を想わず自分でカミングアウトしてまうところだった!!
冗談じゃない!!
「お前のぱんつが何だってんだ? そんな顔して、もうセック」
「鳳 白夜……」
今、青少年の育成に著しく不適切な発言がされようとした気がするが?
それはおいといて。
突如、白夜と言う先輩の声を遮ったのは、先の式典で私の心臓を『不整脈ですか?』張りにばくばくさせてくれたおにいちゃんで、私はちょっとだけ、ちびった(マジで)。
式典が長かったから、後でトイレに行こうと思ってたのだ。
私のお気に入りのうさぎちゃんのぱんつが……。どうしよう。
「人のいもうとに、変な言いがかりはやめて貰えませんか? 取り締まりますよ」
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「吠えましたね。全身風紀違反のあんぽんたん。今月中にせめてその栗色頭と校内でピアス装飾を辞めないと、鳳一族でも、夏の大会前に貴方の部活動潰しますよ」
睨み合う、白夜と言う先輩とお兄ちゃんの間に、火花が散って見えたのは、私だけだろうか?
と言うか、おにいちゃんも本気で人に怒ったりするんだと、そんなおにいちゃんの意外な一面に、私はますますおにいちゃんが好きになっていた。
私って変かな?
放課後、私は女子バスケ部への仮入部手続きを済ませ、帰途に着こうとした瞬間、校内アナウンスで呼び出しを受けてしまった。
「1年A組の鳳 華南さん。帰りは、お兄様の鳳 衛様が一緒に下校したいとおっしゃっております。所用が済んだ後は速やかにロビーで待機下さい 繰り返します ~」
取敢えず、繰り返すのからヤメテモラオウカ。
どこの世界に、一生徒の一兄の一妹への伝言を校内アナウンスしちゃう学校があるんだよ!!
取敢えず、指示通りに職員室前のロビーで待機していると、担任の先生が通りかかったので尋ねてみたら、衝撃の事実が発覚した。
「あぁ、君の新しいお父さんはうちの学校の学園長で、鳳一族はこの学校の創設者だからね」
……。
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