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第4章 裏切りと脅迫と忘却
我がままを良いですか? 前編<443>
しおりを挟む「じゃぁ、何で私を避けられるんですか? 会いたいのに、突き放すんですか? 何でさっきから、私の事、君って言うんですか? 」
「……」
私は膝の上で両手を握り締めながら言った。
緊張して手先の震えが肩まで広がって、情けなかった。
「こわいよ。 不安なの。 今は、ユキさんに甘えたいのに。 いつもみたいに、ダメって言われたら、期待しないですぐ諦めてたけど。 今まで、そうやって生きてきたけど。 もう、今、ユキさんに甘えたいのは諦めたくないの」
冬野さんをまっすぐ見つめた。
冬野さんは、利き手で自分の首筋に手を当て、貼っていた絆創膏をはがして見せた。
そこには、いつか冬野さんが私に付けたキスマークと同じ痣が隠れていた。
マキさんの印、これだったのか。
「これが消えるまで、会いたくなかった。 ネクタイぐいって引っ張られて、避ける暇もなくて、あっという間に付けられたんだ」
私は、首をかしげて、下唇を噛み締めてから、言った。
「え、でも、だからって避けなくて良くないですか?」
「ごめん。 ズルだよね? 君の信用失うのが怖かったんだ。 卑怯だった。 そもそも正直に言えば、良いのにさ」
マキさん、恐るべし。
本当、何て恐ろしい爆弾を、冬野さんに置いて行ったんだ。
「軽蔑されると思ったんだ」
したりしない。
私の好きは、独占じゃない。
冬野さんのすべてがワタシで在る事を。
ワタシは望んだりしない。
人生は、誰かがその総てではない。
大事なモノは、多い方が良いんだ。
冬野さんの在るがままが好きなんだ。
冬野さんに、捨てて欲しいもの何てない。
欲しいなら、どんな心でも、気持ちでも、持っていれば良いんだ。
冬野さんがワタシを嫌いでも、私は冬野さんが好きだ。
「マキさんが、世界の誰が、ユキさんを好きでも。 ユキさんがもしも、私以外の人が好きでも。 私はユキさんが好き」
私の宣言に、即座に冬野さんは、言葉を返した。
まるで、飛んでもないこと、言うんじゃないと突っ込み入れる勢いだった。
「馬鹿言わないでよ。 そんなん駄目だよ。 いや、もう、本当に俺、セイの事が好きだし。
俺はセイだけを愛してるから」
w(゜o゜)w ウソヤン… Σ(-∀-;)ホントヤガナ…
冬野さんの告白に、頭の中で妖精が、凶器を持って狂喜乱舞していた。
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