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第4章 裏切りと脅迫と忘却

荒巻 美月の脅迫 後編<416>

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仕事の忙しさにも波があって、丁度お客さんが途絶えた時、冬野さんは、レジ横の木彫りの鳥を眺めていた。



死んだ魚の様な目をしたぶっさいくなそれの、一体どこが良いのか全く分からない。





最初見た時から、ムカついたんだ。




この世で一番大嫌い女が普段私を見ている目に似てたから。





冬野さんのお店で働き始めて、あっという間に三日経ってしまった。



明日が最後。



私に一体、後、何が出来る。




何かしたい。





何か。




何か。





私が一番、望む事ってなんだ。




冬野さんが好きなのか。




あの女が嫌いなのか。




そりゃ、両方だけどさ。





水曜日は、週末の次にお店が繁盛する日だ。



早帰りデー。



週の折り返しに、残業せずに飲みに繰り出す会社員は少なくない。




その日は、さすがに忙しくて、ごねにごねて閉店時間までねばる事に成功した。




「さすがにあがって。タクシー俺が出すから」



「嫌。帰りたくない」



「分かった。車で送るから」




私は心の中でガッツポーズした。

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