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第4章 裏切りと脅迫と忘却
snitch on ブルータス(告げ口をしたのは、身近で意外な人物) 後編<378>
しおりを挟む「5年前。ソウがバーをやりたいって言った時、俺はこの建物をソウに売った」
何を思ったか、竹中さんは突然、当時造園の仕事の弟子だったソウが、クラウンを始めたいきさつを話し始めた。
竹中さんの視線の先には、今冬野さんが居る。
そして、冬野さんもその視線を返す様に、竹中さんを見据えている。
竹中さんは、ソウの話をしてるんじゃない。
ソウの店を引き継いだ冬野さんの話をしてるんだ。
なぜか、冬野さんが浮かない顔をしている様で胸が締め付けられた。
「居抜きの物件で、内装にかかった金は俺が無利子でかして、1年で全額返した」
「3年前。どうしても、金が要るって、ソウが店を辞めて、途方にくれてるお前を見て、俺は言ったはずだ。 お前がソウの変わりが出来るなら、金を貸すと。違うか?」
冬野さんは、苦い顔で俯いた。
「そうです。 でも 力及びませんでした」
え、そんな事無いよ。
だって。
今まで、ちゃんと商売出来ていたじゃないか?
それなりに、お客さんだって来てたし、冬野さんの作るお酒、嫌いじゃない。
女性客は、好きだと思う。
確かに、男性は軒並み強いお酒はの人は、ウイスキーとか、ショットで飲んだりが多かったけど。
「んな、事ねえ。ギリギリ、合格だ。客足は悪くなかった。むしろ頑張ってた位だ。だが、直前までか致命的に悪かった、だろ? セイ」
私に話を振らないでよ。
そうだけど。
それを私に言わせるの?
クソ。
でも。
そうだね。
確かに良くなかった。
私はそれが分かってたから、お父さんとお母さんを諦めてたよ。
私、冬野さんと付き合うに当たって、一番、大事にして来た事があるとするならば、それは。
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