286 / 507
第3章 7days 3years fights
クロスオーバー ラプソディ 中編<286>
しおりを挟む
「次に、ソウとユキ」
おっと、次は何の話だ。
「何ですか?」
ソウが言い、冬野さんは黙って住職を見ていた。
「人生に、過ちは誰でもあることだ。誰にでも。例外なく。でも、だ。その結果、飛んでもない重荷や後悔を背負う事もある。二人は分かるだろう」
住職の言葉に、ソウは皮肉に口を歪めて言った。
「俺は後悔してない。後悔する事は、ここにはない。ユキは知らないが」
ソウの言葉に、うすら笑みを浮かべる冬野さんは、私が今まで全く知らない別人に見えた。
悲しい位に。
「俺もソウに同感です。後悔する事も無ければ、謝る事なんて心当たりもない」
住職は、静かに言った。
「馬鹿者。後悔すべきだ。お前達は、お前達の為に、年下のカズヤをどれだけ悩ませ、苦労させたと思う? お前達は、自分のした事の 背負った訳じゃないのだろう。ここに居る、一体何人に秘密を作り、誰を苦しめたか。 いい加減、恥を知りなさい」
ソウと冬野さんは、顔色を変えずに住職を見つめ合っていた。
私は横目にカズヤを見た。
カズヤは動揺している様だった。
「お前達は、自分の大事なものの為に、何をした? このまま、有耶無耶には出来んだろ。 いい加減ケジメを着けたらどうだ?」
私は、途中からカズヤを見ていた。
カズヤは、目を開け、制止したまま、泣いてたから。
「お、俺は」
カズヤが、震える声で、漏らす。
ソウとユキは、驚いた顔をしていた。
カズヤに目を移し、そこに釘付けだった。
「二人を止められなかった。ずっと、一緒につるんでたのに、同じじゃなかった。それが分かってれば、止められたのに、悔しいって思っただけだよ。 俺は、ソウとユキを否定するつもり無いです」
カズヤの言葉に住職は言った。
「三人揃って仲良く、子供の頃から、ことごとく阿呆の悪そうが(悪戯者が)」
カズヤはその場に頭を下げた。
「すみませんでした。ソウとユキの分も俺が謝ります。 すみませんでした。 本当にすみませんでした」
何を謝ってんだ。
三年前、自分の敷地の庭園に火を付けて、事件になったこと?
代償に、ソウとユキとカズヤのおじいさんの遺産全部使い込んだこと?
みんなに、嘘の証言を強いたこと?
ソウが警察に捕まったこと?
どれだよ。
ソウが突然、口火を切った。
「なら、悪かった。そうだよ。 俺は馬鹿だった。 悪さが過ぎた。みんなに一度も謝ってなかった」
ソウは身体の向きを、参列者に向けて正し、深々と畳に両手を付けて深く頭を付けて詫びた。
「皆さん、本当に申し訳ございませんでした」
冬野さんは、一度目を閉じて、ソウと同じ様に頭を下げて言った。
「ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした」
おっと、次は何の話だ。
「何ですか?」
ソウが言い、冬野さんは黙って住職を見ていた。
「人生に、過ちは誰でもあることだ。誰にでも。例外なく。でも、だ。その結果、飛んでもない重荷や後悔を背負う事もある。二人は分かるだろう」
住職の言葉に、ソウは皮肉に口を歪めて言った。
「俺は後悔してない。後悔する事は、ここにはない。ユキは知らないが」
ソウの言葉に、うすら笑みを浮かべる冬野さんは、私が今まで全く知らない別人に見えた。
悲しい位に。
「俺もソウに同感です。後悔する事も無ければ、謝る事なんて心当たりもない」
住職は、静かに言った。
「馬鹿者。後悔すべきだ。お前達は、お前達の為に、年下のカズヤをどれだけ悩ませ、苦労させたと思う? お前達は、自分のした事の 背負った訳じゃないのだろう。ここに居る、一体何人に秘密を作り、誰を苦しめたか。 いい加減、恥を知りなさい」
ソウと冬野さんは、顔色を変えずに住職を見つめ合っていた。
私は横目にカズヤを見た。
カズヤは動揺している様だった。
「お前達は、自分の大事なものの為に、何をした? このまま、有耶無耶には出来んだろ。 いい加減ケジメを着けたらどうだ?」
私は、途中からカズヤを見ていた。
カズヤは、目を開け、制止したまま、泣いてたから。
「お、俺は」
カズヤが、震える声で、漏らす。
ソウとユキは、驚いた顔をしていた。
カズヤに目を移し、そこに釘付けだった。
「二人を止められなかった。ずっと、一緒につるんでたのに、同じじゃなかった。それが分かってれば、止められたのに、悔しいって思っただけだよ。 俺は、ソウとユキを否定するつもり無いです」
カズヤの言葉に住職は言った。
「三人揃って仲良く、子供の頃から、ことごとく阿呆の悪そうが(悪戯者が)」
カズヤはその場に頭を下げた。
「すみませんでした。ソウとユキの分も俺が謝ります。 すみませんでした。 本当にすみませんでした」
何を謝ってんだ。
三年前、自分の敷地の庭園に火を付けて、事件になったこと?
代償に、ソウとユキとカズヤのおじいさんの遺産全部使い込んだこと?
みんなに、嘘の証言を強いたこと?
ソウが警察に捕まったこと?
どれだよ。
ソウが突然、口火を切った。
「なら、悪かった。そうだよ。 俺は馬鹿だった。 悪さが過ぎた。みんなに一度も謝ってなかった」
ソウは身体の向きを、参列者に向けて正し、深々と畳に両手を付けて深く頭を付けて詫びた。
「皆さん、本当に申し訳ございませんでした」
冬野さんは、一度目を閉じて、ソウと同じ様に頭を下げて言った。
「ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした」
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
私のバラ色ではない人生
野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。
だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。
そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。
ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。
だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、
既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。
ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。
【全話まとめ】意味が分かると怖い話【解説付き】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で楽しめる短めの意味が分かると怖い話をたくさん作って投稿しているよ。
ヒントや補足的な役割として解説も用意しているけど、自分で想像しながら読むのがおすすめだよ。
中にはホラー寄りのものとクイズ寄りのものがあるから、お好みのお話を探してね。
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
第一王子様は妹の事しか見えていないようなので、婚約破棄でも構いませんよ?
新野乃花(大舟)
恋愛
ルメル第一王子は貴族令嬢のサテラとの婚約を果たしていたが、彼は自身の妹であるシンシアの事を盲目的に溺愛していた。それゆえに、シンシアがサテラからいじめられたという話をでっちあげてはルメルに泣きつき、ルメルはサテラの事を叱責するという日々が続いていた。そんなある日、ついにルメルはサテラの事を婚約破棄の上で追放することを決意する。それが自分の王国を崩壊させる第一歩になるとも知らず…。
私は逃げます
恵葉
ファンタジー
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
捕虜のはずなのに 敵国の将軍が溺愛してくる
ユユ
BL
“お前のような出来損ないを
使ってやるのだから有難いと思え!”
“それでも男か!
男なら剣を持て!”
“女みたいに泣くな!気持ち悪い!”
兄王子達からずっと蔑まされて生きてきた。
父王は無関心、母は幼い娘に夢中。
雑用でもやっていろと
戦争に引っ張り出された。
戦乱にのまれて敵国の将軍に拾われた。
捕虜のはずなのに何故
僕を守ってくれるの?
* 作り話です
* 掲載更新は月・木・土曜日
* 短編予定のつもりです
真実の愛も悪くない
藍田ひびき
恋愛
「真実の愛が何だってのよ!!」
夫から真実の愛に出会ったため離縁して欲しいと告げられたビアンカ・ファインズ子爵夫人。
実は彼女は魔女から貰った『時戻りの時計』を使い、既に2回の巻き戻りを経験していた。2回とも真実の愛を盾に理不尽な扱いを受け、ブチギレたビアンカはやり直しを望んだのだ。
真実の愛に翻弄され続けたビアンカが、最後に選んだのは……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる