地味で根暗で残念ですが、直視できないくらいイケメンで高スペックな憧れの先輩に溺愛されそうなので、全力で逃げています。

第3章 7days 3years fights

冬野 総一郎 前編<259>

長い長いキスの後、ユキはなぜか悪戯っぽい笑み、で俺を見上げて言った。




「ソウの従弟のユキね。昨日、彼女と喧嘩して別れちゃったんだよ。何でだと思う？」



「さあ？」



「私の性で、喧嘩になったの。私がその彼女にソウを探してって頼んだのがそもそもの原因。ユキが止めたのに、強硬手段に出て怒らせて喧嘩になった。心当たりある？」




昨日、ユキが振った女。



そんなの俺に関係……。



嘘だろ。



あった。




「それって、石崎（イシザキ）か？　」



「ここにスタッフで来ているって言ってた。　昨日、ダイジョブだった？」



「………」




俺が、携帯取り上げて、風呂に入っている間に、大泣きして喚いてた。



確か、生まれて初めて出来た彼氏に振られたと。



いや、いや、あいつがユキの彼女。




「本気か？」



「何が？」



「あの女がユキの彼女なんて、有りえねえだろ」



「いや、もう、ユキの方が完全に入れ込んでてさ。私もユキも、敵わないんだよ」



「敵わないって、誰にだよ」




「そのユキの彼女の石崎　誠（イシザキ　セイ）ちゃん。私が、飲んだユキのお店でコーヒー淹れてくれた人」




何だよ、あの女。



どこまで俺の運命握れば気が済むんだよ。




俺が、バーを開くきっかけのコーヒーの注文取り違えて、俺が諦めた女をコーヒー一杯で奮い立たせ、挙句、ユキの彼女だと。



マジで怖ぇわ。