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孤児院の子供達 12
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「精霊様……!魔法使いって?………痛ててっ……!えぇ……?!」
バートは突然、自分の存在しない足の指先に痛みを感じた。
無くした身体の痛みを感じる事は今までもあったが、こんなにはっきりと痛みを感じる事は無かった。
その痛みはまるで今、自分の右足が存在しているかのような痛みとなって差し込んでくるのだった。
そしてその痛みは他の子供達も同様だった。
「痛ててっ……」
「いたたたっ……」
「いちちちっ!」
「ど、どうしたのみんな!大丈夫?」
「だ、大丈夫です、シスター……。大丈夫なんですけど、こっちの無い足の方が急に痛くなって……」
バートは右足の膝下の所で、固く結んであるズボンをほどこうとした。
すると、精霊の息吹によって舞う雪のような光は、バートの右足に集まり、黄色く輝く魔法陣を描き出した。
「こ、これは……?!」
バートが驚いて顔を上げると、他の子供達の身体にも魔法陣が輝いていた。
前腕の無いブラウンは肘が輝き、目の見えないリサは顔全体が輝いた。
シスターと子供達がこの不思議な現象に目を合わせた時、その声は魔法陣から何重にも反響して聞こえた。
『……イエロークリエイト……』
どこかで聞き憶えのある優しい声だった。
その瞬間、魔法陣の光は直視できない程強く輝いた。
バートが目を細めて自分の足の魔法陣に目を向けると驚くべき事が起こっていた。
それは『再生』だった。
膝から下に二本の骨が徐々に伸びていき、それを追いかけるように無数の血管や神経が走ったかと思うと、筋肉が覆い皮膚へと見事に『再生』された。
「はっ……あっ……あしっ、俺の足が……!!!」
バートの足は指先まで見事に復元された。
何年振りに見る自分の右足に思わず両手で触れた。
暖かい本物の自分の足に触れると、自然と熱い涙が込み上げて来た。
「足だ……俺の足が……うぅ……!」
「腕だ……。お……俺の腕だ!腕だぁっ……!」
「まぶしい……。シスター、光が……色が見える」
「みんな……!あぁ……なんという事でしょう……!神様!このような奇跡を私達に!」
ブラウンとリサ、シスターの声にバートは顔を上げた。
はっとエマの方を慌てて振り返ると、エマも真っ直ぐバートを見つめてゆっくりと口を開いた。
「ちゃ……ん……、おにぃ………ちゃ……ん………、声が、出るよ……!」
大声で泣きながら抱き合うバートとエマ、互いに身体を寄せ合い涙するシスターと子供達の元に驚いた顔の村長がやって来た。
「……シスター……、これは一体……」
泣きながら祈るシスターが答える。
「村長さん……。神様です……、神様が私達に贈り物をくださったのです……」
精霊姫ドリュアスが満足気に微笑むとゆっくりと立ち上がった。
「確かに『ギフト』を渡したぞ幼子達よ……。ではわらわはこれで失礼するぞ……」
「せ……精霊様っ!あのっ……!」
バートが慌ててドリュアスに話しかける。
「……まだ何か用か?」
「あの……あの、俺達にこの『ギフト』を贈って下さったその魔法使い様に……せめて……せめてお礼が言いたいのですが……魔法使い様は他の精霊様なのでしょうか?」
バートの言葉にドリュアスは大きく息を吐き出しながら答える。
「魔力だけなら精霊どころか、いつか『魔王』にでもなれそうだが……あの者は一応人間じゃ。確か……人間の間ではそう、『神色の魔法使い』とか呼ばれておったかのぅ……」
「……! か……、神色の魔法使い様が……?! どうして俺達なんかに……」
驚いたバートは考え込んだ。
ようやく光に慣れたリサが、その美しい瞳をゆっくりと開いて言った。
「私……わかるよ……。さっき聞いた優しい声……」
「私も……。うん、憶えてる……」
エマとリサが目を合わせると二人の頬を大粒の涙が落ちた。
心からの笑顔がこぼれる嬉し涙だった。
二人が声を揃えてその名を呼んだ。
「「クレイグさんだよ……!」」
バートは突然、自分の存在しない足の指先に痛みを感じた。
無くした身体の痛みを感じる事は今までもあったが、こんなにはっきりと痛みを感じる事は無かった。
その痛みはまるで今、自分の右足が存在しているかのような痛みとなって差し込んでくるのだった。
そしてその痛みは他の子供達も同様だった。
「痛ててっ……」
「いたたたっ……」
「いちちちっ!」
「ど、どうしたのみんな!大丈夫?」
「だ、大丈夫です、シスター……。大丈夫なんですけど、こっちの無い足の方が急に痛くなって……」
バートは右足の膝下の所で、固く結んであるズボンをほどこうとした。
すると、精霊の息吹によって舞う雪のような光は、バートの右足に集まり、黄色く輝く魔法陣を描き出した。
「こ、これは……?!」
バートが驚いて顔を上げると、他の子供達の身体にも魔法陣が輝いていた。
前腕の無いブラウンは肘が輝き、目の見えないリサは顔全体が輝いた。
シスターと子供達がこの不思議な現象に目を合わせた時、その声は魔法陣から何重にも反響して聞こえた。
『……イエロークリエイト……』
どこかで聞き憶えのある優しい声だった。
その瞬間、魔法陣の光は直視できない程強く輝いた。
バートが目を細めて自分の足の魔法陣に目を向けると驚くべき事が起こっていた。
それは『再生』だった。
膝から下に二本の骨が徐々に伸びていき、それを追いかけるように無数の血管や神経が走ったかと思うと、筋肉が覆い皮膚へと見事に『再生』された。
「はっ……あっ……あしっ、俺の足が……!!!」
バートの足は指先まで見事に復元された。
何年振りに見る自分の右足に思わず両手で触れた。
暖かい本物の自分の足に触れると、自然と熱い涙が込み上げて来た。
「足だ……俺の足が……うぅ……!」
「腕だ……。お……俺の腕だ!腕だぁっ……!」
「まぶしい……。シスター、光が……色が見える」
「みんな……!あぁ……なんという事でしょう……!神様!このような奇跡を私達に!」
ブラウンとリサ、シスターの声にバートは顔を上げた。
はっとエマの方を慌てて振り返ると、エマも真っ直ぐバートを見つめてゆっくりと口を開いた。
「ちゃ……ん……、おにぃ………ちゃ……ん………、声が、出るよ……!」
大声で泣きながら抱き合うバートとエマ、互いに身体を寄せ合い涙するシスターと子供達の元に驚いた顔の村長がやって来た。
「……シスター……、これは一体……」
泣きながら祈るシスターが答える。
「村長さん……。神様です……、神様が私達に贈り物をくださったのです……」
精霊姫ドリュアスが満足気に微笑むとゆっくりと立ち上がった。
「確かに『ギフト』を渡したぞ幼子達よ……。ではわらわはこれで失礼するぞ……」
「せ……精霊様っ!あのっ……!」
バートが慌ててドリュアスに話しかける。
「……まだ何か用か?」
「あの……あの、俺達にこの『ギフト』を贈って下さったその魔法使い様に……せめて……せめてお礼が言いたいのですが……魔法使い様は他の精霊様なのでしょうか?」
バートの言葉にドリュアスは大きく息を吐き出しながら答える。
「魔力だけなら精霊どころか、いつか『魔王』にでもなれそうだが……あの者は一応人間じゃ。確か……人間の間ではそう、『神色の魔法使い』とか呼ばれておったかのぅ……」
「……! か……、神色の魔法使い様が……?! どうして俺達なんかに……」
驚いたバートは考え込んだ。
ようやく光に慣れたリサが、その美しい瞳をゆっくりと開いて言った。
「私……わかるよ……。さっき聞いた優しい声……」
「私も……。うん、憶えてる……」
エマとリサが目を合わせると二人の頬を大粒の涙が落ちた。
心からの笑顔がこぼれる嬉し涙だった。
二人が声を揃えてその名を呼んだ。
「「クレイグさんだよ……!」」
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