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第二章【高見沢家】

第一一話

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「どう言うことよ。倒していないって!」
「説明したとおりだ」
「あれは今でもバスルームに居るってことでしょ?」
「ちゃんと封印してある」
「それって効くの?」

私は疑いの眼差しで高見沢君を見た。

「当り前だろ、高見沢家に伝わる秘術の一つだ」
「”高見沢家に伝わる秘術の一つ“だって言われても、高見沢家って何なのよ」
「それは色々とあってだな、今すぐに一言では言い切れない」

私は高見沢君の回復を待つ間に、気を張りすぎて疲れてしまい、一時間ほど彼に凭れ掛かるように寝てしまった。
その後で彼が起きてきたので私も起きたのだが、例の幽霊がどうなったのかを聞くことに。
すると封印しただけとの回答に驚きを隠せなかった。

「そもそも銃あるんなら、それでやっつけられないの?」
「低級霊はそれも可能だ」
「さっきのは何なの?」
「ラスボス的な?」
「はぁ、冒険の始まりでラスボスに挑むやつが居るかっての」
「ここに居ますけど」
「私はいきなり冒険の書を貰ったばかりでラスボスに挑まされたわけなの」
「それは、最初に止めたろ。だけど朱美が入るっていうから」
「私のこともう呼び捨てですか!」
「ツイツイではダイレクトメッセージではそう呼んでたからさ」
「それはそうだけど……あなた誰よ! ひよりじゃないでしょ」
「ひよりは俺の妹だ」
「なんで妹の名前を使ってるのよおかしいじゃないの」

私たちはお互いの自己紹介を兼ねて、ベッドの上で正座をして話し合いをしている。
今一話が呑み込めていないのが私だ。
幽霊のこともそうだし、高見沢家ってなによ。どっかの名門一族?
えっ、聞いてないことないわ。

「忘れないうちにさ、あなたの名前を教えてよ。ひよりは妹なんでしょ」
「そうだったね。俺は要一郎。高見沢要一郎。気軽に”かなめ“って呼んでよ」

彼はニコッと笑う。こっち迄ドキドキさせられてしまうほどのイケメンだ。さっきの無防備な寝顔といいこっちが赤くなっちゃうよ。

「よっ要一郎でしょ。なんでかなめなのよ」
「小学生の時に同級生から名前を呼び間違えられて、それからあだ名がかなめなんだ」

うきゃー、なんてまぶしい笑顔なのよ。落ち着いてただの自己紹介でしょ。何驚いているのよ。

「ふーん、あんた、もとい、かなめは間違えからつけられたのね」
「親しみを込めてかなめって呼んで欲しいかな」
「俺はツイツイの通り朱美でいいかな?」
「いいわよそれで」
「お互いの呼び名が決まっとことだし……」

──ぐぅ~。

なんでこの展開でお腹が鳴るのよ。私てば恥ずかしい。

「朱美はお腹空いてるの?」
「そうです、朝ごはん以降何も食べてないからね」

涙ながらに答えた。そうするしかないでしょこの展開ではさ。

「あっははははは」
「笑わないでよね」

いちいちかなめの笑顔がかわいいなーもう。
私は頬を赤らませながら、髪の毛を整えるふりをして答えた。

「ごめんごめん。わらうつもりは無かったんだ。ルームサービスを頼むよ。何がいい。メニュー持ってくるわ」

私はかなめの持ってきたメニュー表を見て驚いた。
ここはファミレスなのというメニューの多さに驚く。
ステーキやうな重もあるし、ハンバーグなんて肉汁があふれんばかりの写真だ。最高においしそうのメニューがずらりとしていて、私はついワクワクしてしまう。
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