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第一章【出会いと最大の敵】

第十話

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私はベッドの中でうずくまるしかできない。
回りではドタバタと音がしている。高見沢君はまだ戦っているのかな。
軽いビューンという音から銃を撃っているのがわかった。

”ガンバレ高見沢君。ガンバレ高見沢君“

と、念仏の様に同じ言葉をかけるしかできない私が居た。

”負けないで高見沢君。あなたが居なくなったら、私どうなるのかわからなくなっちゃうよ“

半べそをかきながらベッドの中でうずくまっていると、かん高く乾いたドアの開く音がした。
声に反響音もあることから、恐らくバスルームに入ったのだろうか。
確かめたくても体が硬直して動けないでいる。

”高見沢君大丈夫かな。でも彼なら強そうだしきっとうまくやっている。もう撃退したかもしれない“

楽観的に考えることにした。その方がいい方向に傾くっておばあちゃんが言ってたし。
しばらくすると、今度はバルスルームが閉まる音が聞こえた。

”終わったのかな……“

そう思っていると、ベッドの上に突然どさっと、誰かがなだれ込んできた。
私は心臓が飛び出るかと思いながら、猫の様に丸まっていた体が、びっくりして手足が思いっきり伸びきった。
飛び込んできた相手は動く気配が無い。

”幽霊なのかな、きっと高見沢君だよね……“

しばらく様子を見ていたが動く様子が無い。すると男の人の寝息の様な声が聞こえた。
私はそっと布団から顔だけを出してみると、倒れこんできた先に居たのは、高見沢君だった。

「大丈夫なの!?」

そう声をかけたが、うめき声しか聞こえない。
当たりをきょりょきょりょしたが、あの女の姿はなかった。
安心して、私は被っていた布団から出ると、必死で彼の体を揺さぶった。

「ねえ、生きてるよね。大丈夫なら大丈夫って言ってよ!」
「んぁ、うぇ、ほぇ」

なおも揺さぶり、高見沢君に話しかける。

「本当に大丈夫なの。死んじゃったりしないよね」
「うぁ、えぉ、だい、じょうぶだから、それ以上揺さぶるな」
「じゃあ起きてよ!」
「それは勘弁してくれ、少し休ませてくれ……」

そう言うと、高見沢君は私に抱き着き、膝枕状態で眠りについた。

「ちょ、何してんのよ。疲れたんだよね。きつと」

私は高見沢君の寝ぼけた顔を見ていると、それ以上怒る気にもなれず、気づくと頭をなでていた。

「お疲れさま、高見沢君」
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