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第2章 覚悟と旅立ち
取得と習得と体得 #6
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そう言ってウインクをしたのは整った顔立ちの男性だ。服装が完全に男なので男性。確か身体も男性。話し方は女性の様で仕草も美しく、メイクもしている。ただ、この世界での常識で考えれば男性となる。
『あの人は男性…で良いんだよな?』
『そうだけど?どうしたの?』
『いや、話し方とか所作とかが女性らしいというか、メイクもしてたみたいだしそういう人って女性扱いした方が良い気がして…。』
「性別なんか気にしなくても話せるし気にしなくて良いと思うけど?俺は気にせず話してるが特に困らないよ。どうしても必要なら本人に確認すれば良いんだ。聞く以外には見てしか判断できないんだから。ステータスを勝手に見る方が失礼だし。」
『そうだな。ありがとう。』
『ところで、楽しんでいってねってなんだ?』
「それはあっちにあるやつだ。この川は住んでいる魔獣が穏やかで強い主がいるんだ。だから結構安全でな、だからここに遊び場が作られたんだ。」
リミルの指さした方向を見ると様々な遊具があり、それぞれに数十人ずつ程の人集りが出来ていた。
『ウォータースライダーにジェットコースター、あれは水を使った対戦か?それとあれは…水上バイク?それに潜水艦みたいなやつまで…。』
「そっちの世界にもあるのか。水流遊戯<ウォータースライダー>と高速遊戯<ジェットコースター>、水上魔器<バイク>、潜水魔器<艦>で合ってる。もう1つは模擬戦だ。ここは川だから水が使われてるけど他の所では違ったりもするらしい。レトリーが教えてくれた。さっき会ったやつな。」
自動でされる翻訳はたまに少しズレたりもする。しかし同じ物を指すことに変わりないため、クロトは覚えておかなくてはならないこと以外はあまり気にしないようにしている。
『水流遊戯と高速遊戯と水上魔器と潜水魔器か…。覚えなくても何となく分かるかな。模擬戦かぁ。俺は生産職だし、魔物相手ならともかく対人戦は遠慮したいかな。』
『あたしも。』
クロトとニーナの2人は模擬戦以外の乗り物に興味があるようだ。
ジャックとクライの視線はリミルと同じくアキリムに向いている。
『さっきの人レトリーって言うのか。緊張しちゃったぞ。』
アキリムは人見知りをする。と言っても話せない訳では無い。口調が変わり、緊張がありありと態度に出る程度だ。
『口調はともかく緊張はしなくなると良いんだけどな…戦闘中に急に知らないパーティとやることになった時に緊張で思うように動けなくなると大変だから。』
「そうだな。ここでいろんな人と話して馴れておくか?ここに来てるのは大体がセラリアの街から来た人だ。セラリアの街の情報収集も兼ねて乗るまでの間色々話してみよう。アキリム、1人でじゃなく、パーティ全員居るんだ。普段くらいリラックスして話すようになれれば完璧だ。」
『分かった。頑張るよ。』
全員で遊戯の近くに行きレトリーから一人3つずつ木札を買う。と言っても木札自体はチケットの役割でそれぞれの受付場所で職員に渡してしまう。ここはセラリアのギルドが管理する遊戯場なのでギルド職員の仕事場でもあるのだ。
『クライちゃん入れて6人×3つずつね。3万6千ゼルになるわ。リミルちゃんが全員分払うの?それともそれぞれで?』
「今回は俺が来たくて連れてきたから俺が払うよ。皆はここが気に入ったら今度からは自分の金で来てくれ。」
リミルは3万6千ゼルをレトリーに支払い、木札をそれぞれに3枚ずつ渡していく。クロトが何かを考えていたのかハッと気が付き木札を受け取りながらお礼を言った。どうやら値段について考えていたようだ。
クロトが考えていたのは日本で行ったことのある遊園地の1日パスの値段と一日に乗れるアトラクションの数の比較だった。
『ありがとう。1人6千ゼルで3つかぁ。少し高い?』
「3つ乗り物の札を買えば入場は無料になるし、見世物は入れば見放題だ。買い物や露店は別料金だけど街で買い物する様なもんだしな。妥当じゃないか?」
『あ、ほんとだ。1つの木札は入場料が1200ゼル、2つの木札は入場料が800ゼル必要なんだね。木札自体の値段は一律2千ゼルで×個数かぁ。』
リミルの説明を聞いて入口横に設置された料金表を見ながらアキリムが話に入ってきた。口調を出来るだけ普段通りにして頑張って。
良いぞアキリムその調子だ。
まだ緊張気味だが頑張っているのが伺え、ジャックもクライもうんうんと軽く頷いている。レトリーはそんな様子には気付かぬ振りをして話を続けた。
『そうなの。見世物を出す人達を雇っているからその分は儲けないとお給料が支払えなくなってしまうのよ。あとは維持費ね。お店の出店料も少し貰っているから上手くいっているの。高すぎてもお客さんが来なくなってしまうし、低すぎても雇えなくなってしまうからこの値段なのよ。出店料も決まっているし。』
こう言った裏事情のようなものを聞いても良いのかと疑問に思うこともあるが基本的にギルド管理者達は口が堅い。話しては行けない事を話す者は居ないため、聞いてしまって良かったのかと考える必要は無いのだ。今回レトリーが話した事も、料金について何か言う人がいれば話す事らしい。クロトが高いと言ったから一応言ったに過ぎない。
『見世物って…色々あるのか。なら安いかもな…。』
リミルはクロトの世界にも遊戯場があるのだろうなと考え、高い安いと言っているのを物価と比べてではなく元の世界の遊戯場の値段と比べてだと理解した。
「…言っておくけど、この世界での遊戯場は全てこの価格だぞ。高いとか低いとか気にする必要は…。」
『え、価格競争とかしないのか?』
遊戯場の値段など何処も同じなのだから気にする必要は無いと思って言ったリミルの言葉に驚きを隠せない様子で、ポロっと零したクロトの呟きに今度は全員が首を傾げた。
『あの人は男性…で良いんだよな?』
『そうだけど?どうしたの?』
『いや、話し方とか所作とかが女性らしいというか、メイクもしてたみたいだしそういう人って女性扱いした方が良い気がして…。』
「性別なんか気にしなくても話せるし気にしなくて良いと思うけど?俺は気にせず話してるが特に困らないよ。どうしても必要なら本人に確認すれば良いんだ。聞く以外には見てしか判断できないんだから。ステータスを勝手に見る方が失礼だし。」
『そうだな。ありがとう。』
『ところで、楽しんでいってねってなんだ?』
「それはあっちにあるやつだ。この川は住んでいる魔獣が穏やかで強い主がいるんだ。だから結構安全でな、だからここに遊び場が作られたんだ。」
リミルの指さした方向を見ると様々な遊具があり、それぞれに数十人ずつ程の人集りが出来ていた。
『ウォータースライダーにジェットコースター、あれは水を使った対戦か?それとあれは…水上バイク?それに潜水艦みたいなやつまで…。』
「そっちの世界にもあるのか。水流遊戯<ウォータースライダー>と高速遊戯<ジェットコースター>、水上魔器<バイク>、潜水魔器<艦>で合ってる。もう1つは模擬戦だ。ここは川だから水が使われてるけど他の所では違ったりもするらしい。レトリーが教えてくれた。さっき会ったやつな。」
自動でされる翻訳はたまに少しズレたりもする。しかし同じ物を指すことに変わりないため、クロトは覚えておかなくてはならないこと以外はあまり気にしないようにしている。
『水流遊戯と高速遊戯と水上魔器と潜水魔器か…。覚えなくても何となく分かるかな。模擬戦かぁ。俺は生産職だし、魔物相手ならともかく対人戦は遠慮したいかな。』
『あたしも。』
クロトとニーナの2人は模擬戦以外の乗り物に興味があるようだ。
ジャックとクライの視線はリミルと同じくアキリムに向いている。
『さっきの人レトリーって言うのか。緊張しちゃったぞ。』
アキリムは人見知りをする。と言っても話せない訳では無い。口調が変わり、緊張がありありと態度に出る程度だ。
『口調はともかく緊張はしなくなると良いんだけどな…戦闘中に急に知らないパーティとやることになった時に緊張で思うように動けなくなると大変だから。』
「そうだな。ここでいろんな人と話して馴れておくか?ここに来てるのは大体がセラリアの街から来た人だ。セラリアの街の情報収集も兼ねて乗るまでの間色々話してみよう。アキリム、1人でじゃなく、パーティ全員居るんだ。普段くらいリラックスして話すようになれれば完璧だ。」
『分かった。頑張るよ。』
全員で遊戯の近くに行きレトリーから一人3つずつ木札を買う。と言っても木札自体はチケットの役割でそれぞれの受付場所で職員に渡してしまう。ここはセラリアのギルドが管理する遊戯場なのでギルド職員の仕事場でもあるのだ。
『クライちゃん入れて6人×3つずつね。3万6千ゼルになるわ。リミルちゃんが全員分払うの?それともそれぞれで?』
「今回は俺が来たくて連れてきたから俺が払うよ。皆はここが気に入ったら今度からは自分の金で来てくれ。」
リミルは3万6千ゼルをレトリーに支払い、木札をそれぞれに3枚ずつ渡していく。クロトが何かを考えていたのかハッと気が付き木札を受け取りながらお礼を言った。どうやら値段について考えていたようだ。
クロトが考えていたのは日本で行ったことのある遊園地の1日パスの値段と一日に乗れるアトラクションの数の比較だった。
『ありがとう。1人6千ゼルで3つかぁ。少し高い?』
「3つ乗り物の札を買えば入場は無料になるし、見世物は入れば見放題だ。買い物や露店は別料金だけど街で買い物する様なもんだしな。妥当じゃないか?」
『あ、ほんとだ。1つの木札は入場料が1200ゼル、2つの木札は入場料が800ゼル必要なんだね。木札自体の値段は一律2千ゼルで×個数かぁ。』
リミルの説明を聞いて入口横に設置された料金表を見ながらアキリムが話に入ってきた。口調を出来るだけ普段通りにして頑張って。
良いぞアキリムその調子だ。
まだ緊張気味だが頑張っているのが伺え、ジャックもクライもうんうんと軽く頷いている。レトリーはそんな様子には気付かぬ振りをして話を続けた。
『そうなの。見世物を出す人達を雇っているからその分は儲けないとお給料が支払えなくなってしまうのよ。あとは維持費ね。お店の出店料も少し貰っているから上手くいっているの。高すぎてもお客さんが来なくなってしまうし、低すぎても雇えなくなってしまうからこの値段なのよ。出店料も決まっているし。』
こう言った裏事情のようなものを聞いても良いのかと疑問に思うこともあるが基本的にギルド管理者達は口が堅い。話しては行けない事を話す者は居ないため、聞いてしまって良かったのかと考える必要は無いのだ。今回レトリーが話した事も、料金について何か言う人がいれば話す事らしい。クロトが高いと言ったから一応言ったに過ぎない。
『見世物って…色々あるのか。なら安いかもな…。』
リミルはクロトの世界にも遊戯場があるのだろうなと考え、高い安いと言っているのを物価と比べてではなく元の世界の遊戯場の値段と比べてだと理解した。
「…言っておくけど、この世界での遊戯場は全てこの価格だぞ。高いとか低いとか気にする必要は…。」
『え、価格競争とかしないのか?』
遊戯場の値段など何処も同じなのだから気にする必要は無いと思って言ったリミルの言葉に驚きを隠せない様子で、ポロっと零したクロトの呟きに今度は全員が首を傾げた。
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