稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第2章 覚悟と旅立ち

取得と習得と体得 #4

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『…そっか。なら行ってみようかな。』

『よっ。ニーナとリミル、どっか行くの?』

 リビングで話していたのだが、クロトが休憩のためか入って来ていた。庭から聞こえてきていた奇声やら掛け声やらが止まったのでニーナもリミルもそろそろ休憩だろうとは思っていた。

『うん。生き物達と協力して何かを成し遂げるってやつで行き詰まっちゃったから息抜きに渓谷に行ってみるか?ってリミル君が。』

「どうせなら皆もどうだ?根を詰め過ぎるのも良くないだろ?あそこは気分転換にはもってこいだからさ。」

 アキリムとジャックとクライも入って来ていたので声をかけた。リミルが久々に行きたいと思ったのには理由がある。リミルとクライのお気に入りの場所があるのだ。そこに行けばリミル達は気分転換が出来た。だからこそ皆にもどうかと思ったのだ。
 皆はただの渓谷だと思っているみたいなのでどんな場所なのかは行ってからのお楽しみにするとして、必要になる物を買いに出かけることにした。


TRトランスポーション
CRキュアポーション
耐水速乾着
小型ボンベ
風飛膜(耐水仕様)


 ポーションと小型ボンベはリミルがこっそりと買い、耐水速乾着と風飛膜はそれぞれに合った物を買った。
 耐水速乾着に関して、クロトは何か思うところがあったらしく、着替えたニーナを見て鼻の辺りを抑えていた。

『水着姿…やべぇ。可愛い。尊い。』

『クロト、その、あんまジロジロ見られると恥ずかしいっていうか…。えと、似合ってる?』

『うん。最高に似合ってる。』

『ふふふ、この耐水速乾着可愛いよね!ピンと来たから直感で選んだの。可愛いの多くて迷うかなって思ったんだけど。』

 バレるかと心配もしたが皆は何をするのか分からずワクワクしている様子だ。楽しんで貰えると良いなとクライと話しながら買い物を終えた。
 ギルレイの家に戻ると皆が一斉にリミルに掴まった。

「ではいざ。《転移》」





 目の前には先程とそんなに変わらぬ景色が広がっている。家の中にいるのだ。
 ただ、玄関の目の前にはリビングが広がり、ソファや暖炉にカウンターキッチンが広々と配置されている。

『ここは…知ってる家じゃないね。誰の家?』

 困惑気味のアキリムの声にニーナが小さく何度も頷いている。ここはリミルとルシノが共に作った家である。クライには、出来上がってルシノと部屋の相談をした後、迎えに行って見せた。ルシノと行ったサプライズは上手く行き、クライはとても驚いていた。そしてとても喜んでくれた。みんなキョロキョロと落ち着きがない。

「住む気は無いけど俺の家。つい最近ルシノに作って貰った。そっちの部屋はルシノのだから勝手に入らないようにね。鍵かかってると思うけど一応。廊下の奥の部屋を自由に使ってくれ。鍵はそれぞれここにかかってるから。」

 玄関からリビングを見て左手奥に廊下があり、廊下へ入る手前の左壁面にルシノの部屋があり、そこから並ぶように廊下にもいくつもの扉がある。

『リゾートホテルかよ…。いや、むしろ別荘か。』

 リゾートホテルというのはセラリアの街にある宿のことだ。ここは別荘という分類になるとルシノから聞いた。ここ以外に家は持っていないから本邸じゃないの?という疑問は普段住まないからという理由で却下された。

「装備外してさっき買った耐水速乾着に着替えてこのリビング集合な。俺の部屋はそこだから用があったらノックしてくれ。じゃあまたあとで。」

 ルシノの部屋の隣を指差し説明を終えると早速鍵を開けて自室に入った。クライはルシノとは反対側の隣だ。そのまた隣というか廊下を左に曲がった先にも部屋があり、恐らくそこにジャックが入ると思われる。

1の部屋 ルシノ、廊下手前、ぎりぎりリビング
2の部屋 リミル、1の部屋の隣、廊下入ってすぐ
3の部屋 クライ、2の部屋の隣
4の部屋 ジャック、3の部屋の廊下を曲がった隣
5の部屋 4の部屋の隣
6の部屋 5の部屋の真向い
7の部屋 4の部屋の真向い、6の部屋の隣
8の部屋 7の部屋の隣、リビング側の廊下正面
9の部屋 8の部屋の斜め、客室側の廊下正面
10の部屋 3の部屋正面、9の部屋の隣
浴室 2の部屋の正面、10の部屋の隣、廊下入ってすぐ

 ルシノの部屋はリビングに面しており、カウンターキッチンから近い位置にある。個室の扉は等間隔に並んでおり隣との距離は近い。ほとんどドアが並んでいると言ってもいい。しかし、魔石を山ほど使用し、空間魔法を家自体に施しており、ドアを開ければ部屋自体は広い。多量の魔石を投入したことによって家の価値が跳ね上がったため、防犯などをリミルも共同で考え作り上げたため強固な物となっている。それに仕上げにはクライも進んで参加したので並の者なら近づくことも難しい。



 リミルが着替え終えてリビングで待っているとクロトが始めに出てきた。

『ドア同士の間隔見たら狭いなって思ったけど開いた瞬間1回閉じたよ。凄すぎて。実際に体験できるとは思って無かった。見たサイズと実際の広さの違いに頭がついて行かないみたいで違和感が凄かったんだけど、マジで笑うしかないって。1人で笑ってると変な奴みたいでさっさと着替えて戻ってきた。あれどうなってんの?ってかどうやったの?』

 捲し立てるように早口に言われ、サプライズは成功したみたいだなとリミルはほくそ笑んだ。

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