稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第2章 覚悟と旅立ち

更なるレベル上げ #4

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『なら会いたい気持ちが強くなってからにすれば良いのよ。無理することは無いわ。考えてたって暗くなるだけなら、明るく楽しく前向きに今を楽しみなさい。身体を動かしてスッキリして来たら?皆のレベル上げ、始めるんでしょ?』

 リリアンが明るく促してくれる。
 リミルも考えるだけ無駄なのは分かっている。未来を憂いても仕方の無い事だと。それでも考えてしまうのは今1番気にかかる事だから。
 レベル上げは自分のことではないけれど、保護者として、仲間として気になっている。今優先順位が高いのは皆に勧めた職業スキルの取得とレベル上げだ。

「よし。やるか。」



 体操者ジムナストは睡眠の前後にやる軽い柔軟と体幹トレーニングからなので、今日の夜寝る前から始めることになる。
 軽業師トレーサーは、柔軟さと体幹と脚力が必要なので体操者ジムナストが取得出来た辺りから増やす体幹トレーニングと共に跳躍練習を始めるのが良いだろう。ある程度脚力と体幹が出来たら逆立ちやバック転、転回、着地、受け身の練習を開始し、それに慣れた頃、壁蹴りを含め壁を使った跳躍に移る。軽業師トレーサーが取得出来たら全てをひたすら反復練習、《流鏑馬やぶさめ》習得のため、跳躍の最中に投擲する練習を追加という流れだ。
 忍者はそれらが出来てからになる。小刀・苦無・手裏剣の投擲練習と魔法操作の練習をある程度やって、最後に気配操作だな。

 リミルは3人の方の手順を考え紙にまとめた。3枚新たに紙を出して《転写コピー》し、3人に渡す。

「忍者取得まではその都度指示をするから勝手に始めるなよ?」

『駄目なのか?』

 別に駄目ではない。取得が前後してしまう可能性が高くなるだけだ。対処出来る範囲での失敗であれば改修できる。渡した紙の通りにやれば大きな失敗はしないはずだ。
 リミルがそう伝えると失敗とは具体的にどういう状態なのか聞かれた。

「簡単に言うと取得出来ない状態かな。狙っている物とは別の職業クラスの取得にシフトしてしまうとそれを取得するまでは同系統の取得が不可能になる。そうなると忍者までの道のりが遠くなるな。一応引き返せる程度であれば修正出来るから大丈夫だ。」


 取得したいものにシフトしてしまえば大丈夫だがそれまではデリケートだったりする。全部ではないけれど。今回、取得の方に影響するのは最後に取得する忍者だけだ。忍者の取得条件に近いものがある訳では無いが、忍者を取ろうとすると失敗する者は多い。何故かは知らないが。だから細かく指示を出す必要がある訳だが、あとの2つについては紙に書いた指示通りやればその限りでない。それでもその2つについても細かく指示する予定なのは後にやるレベル上げに影響が出るからだ。


『逆に遅くなりそうだから僕は指示を待つよ。』

『俺も。急がば回れって言うし。』

『俺も。あせるとげるって言うし。』

『お!それ絶対生産職の言葉だよな?今度からそっち使お。』

『そうだな。生産職じゃなくても使うけどな。』

「なら今日の夜から始めるな。」


 リミルはレベル上げがスムーズに出来ることが確定し、ホッとして、今度はニーナのメニューを考える。
 生き物使いテイマーの条件はリリアンによると6つ。

1つ、種族に拘わらず平等に接すること。
2つ、対価交換。
3つ、救済や援助。
4つ、好感を持たれる。
5つ、狩りをする。
6つ、複数の種族から協力を得て何かを成し遂げる。

 条件を見て思い出すのは統括達のこと。でも統括達に出会ったのは既に狩人ハンターになった後で、生き物使いテイマーを取得した時の記憶はない。
 リミルは不安に思い、思い出す。クリードがニーナの選択肢に居たことを。ということは取得している。それにギルレイの取得職業クラス狩人ハンターがあることはこの場にいるものは皆知っている。なら話に出しても問題ない。
 クリードにクリードとギルレイが6つ目の条件で何を成したのかを聞いた。

「なあクリード、クリードは条件の6つ目に何をやった?参考に教えて欲しい。」

『俺か?昔、堕ちる寸前の魔獣が居て、俺よりは弱かったんだが凶暴化していてな、厄介だった。そいつに縄張りを荒された奴らと共闘したんだ。』

「そうか…。ギルレイが何やったか知ってるか?」

『確かあいつは怪我や病気をした奴らをその仲間達と協力して助けたんだ。それぞれに必要なポーションの素材を集めてもらってその場で作って提供したんだったと思う。』

 内容を聞いて2人とも条件を知っていて取得したような気がした。でもそれぞれやったことは違っていた。

「2人とも狙ってやったのか?」

『それもあったんだがな、俺らの場合、もともと気にかかってたことをついでに解消した感じだな。』

「なるほど…。ありがとう。参考になった。」

 2人のを参考に考える。気にかかることを森のヤツらと一緒にどうにかするのが良さそうだ。
 ニーナに確認すると、今のところ森で気にかかることはないみたいなので、森を巡回しつつ野伏レンジャーのレベル上げをし、見つけ次第取り組む方向性で良いだろう。
 森で巡回しながらであればレベル上げにもちょうどいいかも知れない。

「──ということでいいか?」

『うーん…焦っても良くないもんね。焦ると焦げる。うん。それでいいよ。』

「じゃあニーナは早速俺と今から森に行くぞ。皆はどうする?」

 リミルは言ってからこれじゃあ一緒に来るかと聞いているようにも捉えられるなと思い、着いてくると言われたらどうしようかと焦った。リミル自身は皆の今後の予定を聞いたつもりだった。言われてから考えることにして言葉を待つとジャックが皆で依頼を受けることを提案してくれた。

『着いていくと邪魔になるし残った全員で依頼を受けるか?』

『そうだね。僕、欲しいものあるし稼がなきゃ。』

 ジャックの言葉に助かったと思いながらも続くアキリムの言葉にリミル自信も旅の資金を稼ぎたいなと少し羨ましく思った。だが直ぐに考え直し、ニーナの狩りのついでに自分も狩って素材を売ればいいかと考えた。

『ついて行きたかったけど邪魔になるのは嫌だな。俺も依頼に行くよ。』

<なら俺は3人の方になるな。リミル、ニーナ、気をつけろよ。>

「ああ。ありがとう、クライ。」

『ありがとう、気をつけるね!』



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