稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第2章 覚悟と旅立ち

突然の転機 #4

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「レベルが上がるほどに伸びにくくなるらしいから仕方ないよ。とりあえず、始まりのダンジョン6階層にパーティ全員+ギルレイで行ってみる?」

 4人は行きたそうにしているがギルレイがどう答えるのかを待っている。

『俺も?』

「3人で行くって言ってたの覚えてる?一応パーティでなら6階層がギリギリ行けるかなって思うんだけど心配だし約束もしてたしどうせなら一緒にどうかなって。」

『ああ。そういやそうだな。毎日は流石に無理だが5日に1回午前中だけとかならまあ大丈夫だと思う。会議があると日にちが前後する可能性もあるけどな。』

 それでもいいということで4人にとってはキツめの訓練が追加されることになった。ジャックは恐らくキツいだろうと覚悟している気がする。だが3人は少し強くなるくらいに思っている様子だ。

「一応もう一度言っておくけど、6階層はパーティでギリギリ行けるかなって程度だからな?」

『えと7階層は行けないってこと?』

 アキリムが少し考えて答える。

「そうそう。今までと違ってハードな訓練になると思う。敵のレベルが一気に上がるし、相手もパーティとして戦うし、1つのパーティ相手だとは限らないし。」

『ええ!それってむちゃくちゃハードじゃん!同程度のパーティかもしくは格上のパーティと戦うようなもんじゃない?』

 クロトが驚愕しているがジャックが平然と補足する。

『しかもそれが1つとは限らないからレベル上げには良いけどハード過ぎてしんどいやつな。5日に1回で逆に有難いよなー。』

『しんどくてもレベル上げが出来るのは嬉しいわ。行く日までに職業クラスを何か増やしておこうかな?』

『あ、それいいな!俺も増やそー。』

 ニーナとジャックは激しめの訓練にとても前向きだ。むしろ楽しそうですらある。クロトとアキリムもそれに乗せられてか、驚いていたのが今では寧ろ燃えているように感じる。

『なあギルレイ、リミル。俺が戦闘に幅を持たせるためにはどんな職業クラスを取得すれば良いかな?』

 ジャックは魔法剣士が主力で魔法主体の戦い方をする。剣や自身への強化魔法や補助魔法も得意だ。ならそれを活かしつつ補佐する役割のできそうな職業クラスが良いだろう。

「様々な小道具を使うことが出来てなおかつ身軽さも習得できる忍者とかどうだ?」

『え!忍者いるの!?』

「いるって?忍者は職業クラスの1つだよ。暗部系の職業クラスだけど小刀や苦無くないや手裏剣、バフやデバフ効果を付与できる煙玉が使えて、なおかつ身軽になるんだ。足音も減るし、動きも早くなるしジャンプ力も付くから結構誰にでもオススメじゃない?暗部系の中では比較的忌避されない職業クラスだし。」

 クロトは『苦無や手裏剣に煙玉まで…。あ、そうか俺の知ってる言葉に翻訳されてるだけか。…形まで一緒だったらどうしよう…。それこそ日本で作られたゲームだよな…。でも感覚が生々しいし寝たら戻るとかもなくて普通に夢とか見るし…。いや、形が似てても不思議は無いな。似てるからこそそう翻訳されてるんだし…うん。忍者装束が無ければ大丈夫だ。きっと無い。だってクラスの1つって言ってたし…。』と1人ブツブツと独り言を呟いている。
 クロトは放置してギルレイがリミルの補足をする。

『そうだな。森を移動する時にも役に立つから取っておくと便利だな。魔法剣士で剣への魔法付与が得意なジャックには使い勝手が良いだろうし。小刀には無理だったと思うが、苦無や手裏剣には浮遊効果も付けられるから剣で攻撃しながら飛ばした苦無や手裏剣で追加攻撃なんかも出来るし、ジャックなら魔力も高いからいくつか待機させておいて一斉攻撃させて自分は下がるとか、自由に扱えるんじゃないか?』

『へぇー。良さそうだな!俺は忍者を取得しようかな。それって取得方法公開されてる?』

 職業クラスによって取得方法は異なるが系統によっては似たり寄ったりだったりもする。公開非公開はギルドが管理しており、情報公開が出来ない物は秘匿され、代わりにオススメできる物は詳しい方法が公開されていたりする。方法が似ている系統の物はまとめて公開されている。

『忍者は一般公開ではなくて聞かれれば答える任意公開だ。一応暗部系だからな。聞けば教えてくれる。ただ、窓口でいきなり言っても教えてもらえない。ギルド窓口では職業クラスの取得について相談に来たと言うんだ。個室に移動してから忍者について聞けば取得条件や方法を教えてくれる。何度聞き直しても良いが窓口で具体的な職業クラス名を口に出すなよ?教えてもらえなくなるからな?』

『分かった。』

 ジャック以外の皆も真剣に聞いていた。いつの間にか自分の世界から帰ってきたクロトも。独り言はもう済んだらしい。

「でもアキリムは魔法付与に気を取られるとタンク職を活かせないし、ニーナは野伏レンジャーだから既に身軽だし、クロトは小物を投げるという点では投擲士アンカーの方が精度が高いから3人には別のをオススメするよ。」

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