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第1章 出会い
レベル上げ #7
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この忠告はリミルなりの優しさだ。ニーナもそれを分かって力強く頷いた。こんなこと言わずにだまって割り込む方が抵抗される心配なく済ませられる。しかし、リミルはあえて止めに入ることを告げ、ニーナに喝を入れた。ここで冷静に対処出来ればニーナへの信頼度も上がるし、ニーナ自体の能力向上にも繋がる。恐怖や憤怒をコントロール出来れば精神力が鍛えられ、対処出来る事が増える。これはニーナにとってもパーティにとっても良いことだ。
ニーナが短剣でトドメを刺した時にはフラフラしている状態だった。
「良くやった。ゆっくり休め。」
リミルはポーション類を眠ったニーナに掛け回復させると、武器類を回収してからニーナを抱き上げ部屋の外に出た。
『ニーナ!?大丈夫か!?』
「シー!寝てるだけだ。頑張ったからな。ゆっくり寝かせてやってくれ。」
慌てた様子のクロトに苦笑いしながらそう伝えると皆んなホッとした様だった。クライに凭れさせ、頭を一撫でしてアキリムを立たせた。少し怯えているようにも見える。同じくらいのレベルだろうニーナがこの状態なのだから仕方ないかも知れない。クロトも今のレベルじゃ歯鼠とタイマンはキツイ。なので2人で戦ってみるかと提案した。
「アキリム1人だと勝つかどうかギリギリの戦いになる可能性が高い。クロトは今のままだと1人では無理だ。だから2人で戦うのもありだとは思う。ニーナはどうしても1人で戦わせたかった。ニーナのために。でも2人はそうじゃないからな。2人で決めてくれ。」
2人は目を合わせると頷き2人で戦うと言った。アキリムが1人で戦ったとして、勝てばレベルの上がりは良いが負けそうならリミルが倒してしまい僅かしかレベルが上がらないだろう。それならクロトと戦った方がレベルの上がりは良い。クロトにとってもそれは同じでリミルと戦うよりアキリムと戦う方がレベルの上がりが良い。低いレベルの敵と戦い慣れているリミルには経験値は僅かしか入らないためだ。歯鼠とは2人とも初戦闘なのでソロでなくともレベルの上がりが期待できる。ジャックとクライにニーナを任せ、リミルはアキリムとクロトと共にボス部屋に入った。
ローテーションで1度組んでいたがその時戦ったのはレベル18の狐の影獣で苦もなく倒していた。
歯鼠に対しても2人はまずその時と同じようにアキリムが盾で敵の攻撃を受け止め、クロトが投げナイフでダメージを与え、アキリムがトドメを刺すために斧を振り上げた。
しかし歯鼠は2人より素早いし今までの敵より堅い。長い尻尾での攻撃も厄介だ。アキリムが盾で歯鼠の身体を受け止めると尻尾が届く距離にきてしまい、狙われる。2度尻尾による攻撃をまともに受けてしまった。クロトには一通りポーション類は渡してあるが、タイミングが合わないようで、回復した途端にアキリムに尻尾が当たっていた。
クロトが投げナイフで歯鼠を牽制しつつアキリムが後退し、直接渡すことにしたみたいだ。
『尻尾での攻撃が来たらそっちに盾を使って大丈夫だ。アイツ尻尾に気を取られて身体がガラ空きになってるから尻尾を受け止めてくれたら身体にナイフをいくつか突き立てる。まだ命中率が低いから何本も投げないといけない。アイツの動きが鈍くなったら投げるのを辞めるからそのタイミングでトドメを刺してくれ。合図するまでは動くなよ?俺の命中率の悪いナイフが当たったら危ないから。』
『分かった。僕は身体を受け止めたら尻尾に集中するよ。多少動くかもだけどナイフは当てないでね。行くよ!』
作戦を立てたらしく、それからは早かった。ナイフが当たった歯鼠が目標を1度クロトに変えて尻尾を当てようとしたがアキリムがなんとか間に合い、クロトを盾で守った。それを信じていたのか捨て身でなのかクロトはナイフを投げ続けており、動きが鈍くなったところでアキリムがトドメを刺した。
2人は2つの宝箱を前に顔を見合わせ掛け声をかけて開いた。
リミル一行はイレアに戻ってきていた。ニーナを休ませるためにギルレイ宅に転移で戻ったが、ニーナが起きたので昼時ということでお昼を食べに出かけたのだ。
「1度ギルドによるぞ?ギルレイに報告しないと。」
『そう言えば3人ともまだダンジョンの説明受けてなかったんだよな?統括が言っていたけど。』
「そうだ!あとで統括んとこ行かないと。ご飯食べたら行ってくるから3人はギルレイからダンジョンの説明を受けておいてくれ。ギルレイにも言っておくから。」
ジャックのおかげで思い出し、そう伝えるとジャックが3人に付き添うと提案してくれた。
「そうだな…たぶんギルレイがいるから大丈夫だろ?それより…」
<俺とジャックは依頼だな。稼がないとギルレイに頼りっきりってのは俺とリミルからしたら違和感ありまくりだ。>
『そうだな。クライと俺だとどの依頼が妥当か後で選んでくれるか?』
「分かった。選んでからお昼行こうか。」
3人が顔を見合わせているので声をかけると、午後はレベル上げをしないのか聞かれた。
「今日はレベル上げ終わりな。その代わりこれから毎日午前中は今日みたいな感じになるけど。午後は自由にするか。3人は今日は身体を休めた方が良いだろうし。慣れてきたら無理のない範囲で依頼を受けてくれると助かる。」
リミルがそう言うと理解を示してくれた。
ニーナが短剣でトドメを刺した時にはフラフラしている状態だった。
「良くやった。ゆっくり休め。」
リミルはポーション類を眠ったニーナに掛け回復させると、武器類を回収してからニーナを抱き上げ部屋の外に出た。
『ニーナ!?大丈夫か!?』
「シー!寝てるだけだ。頑張ったからな。ゆっくり寝かせてやってくれ。」
慌てた様子のクロトに苦笑いしながらそう伝えると皆んなホッとした様だった。クライに凭れさせ、頭を一撫でしてアキリムを立たせた。少し怯えているようにも見える。同じくらいのレベルだろうニーナがこの状態なのだから仕方ないかも知れない。クロトも今のレベルじゃ歯鼠とタイマンはキツイ。なので2人で戦ってみるかと提案した。
「アキリム1人だと勝つかどうかギリギリの戦いになる可能性が高い。クロトは今のままだと1人では無理だ。だから2人で戦うのもありだとは思う。ニーナはどうしても1人で戦わせたかった。ニーナのために。でも2人はそうじゃないからな。2人で決めてくれ。」
2人は目を合わせると頷き2人で戦うと言った。アキリムが1人で戦ったとして、勝てばレベルの上がりは良いが負けそうならリミルが倒してしまい僅かしかレベルが上がらないだろう。それならクロトと戦った方がレベルの上がりは良い。クロトにとってもそれは同じでリミルと戦うよりアキリムと戦う方がレベルの上がりが良い。低いレベルの敵と戦い慣れているリミルには経験値は僅かしか入らないためだ。歯鼠とは2人とも初戦闘なのでソロでなくともレベルの上がりが期待できる。ジャックとクライにニーナを任せ、リミルはアキリムとクロトと共にボス部屋に入った。
ローテーションで1度組んでいたがその時戦ったのはレベル18の狐の影獣で苦もなく倒していた。
歯鼠に対しても2人はまずその時と同じようにアキリムが盾で敵の攻撃を受け止め、クロトが投げナイフでダメージを与え、アキリムがトドメを刺すために斧を振り上げた。
しかし歯鼠は2人より素早いし今までの敵より堅い。長い尻尾での攻撃も厄介だ。アキリムが盾で歯鼠の身体を受け止めると尻尾が届く距離にきてしまい、狙われる。2度尻尾による攻撃をまともに受けてしまった。クロトには一通りポーション類は渡してあるが、タイミングが合わないようで、回復した途端にアキリムに尻尾が当たっていた。
クロトが投げナイフで歯鼠を牽制しつつアキリムが後退し、直接渡すことにしたみたいだ。
『尻尾での攻撃が来たらそっちに盾を使って大丈夫だ。アイツ尻尾に気を取られて身体がガラ空きになってるから尻尾を受け止めてくれたら身体にナイフをいくつか突き立てる。まだ命中率が低いから何本も投げないといけない。アイツの動きが鈍くなったら投げるのを辞めるからそのタイミングでトドメを刺してくれ。合図するまでは動くなよ?俺の命中率の悪いナイフが当たったら危ないから。』
『分かった。僕は身体を受け止めたら尻尾に集中するよ。多少動くかもだけどナイフは当てないでね。行くよ!』
作戦を立てたらしく、それからは早かった。ナイフが当たった歯鼠が目標を1度クロトに変えて尻尾を当てようとしたがアキリムがなんとか間に合い、クロトを盾で守った。それを信じていたのか捨て身でなのかクロトはナイフを投げ続けており、動きが鈍くなったところでアキリムがトドメを刺した。
2人は2つの宝箱を前に顔を見合わせ掛け声をかけて開いた。
リミル一行はイレアに戻ってきていた。ニーナを休ませるためにギルレイ宅に転移で戻ったが、ニーナが起きたので昼時ということでお昼を食べに出かけたのだ。
「1度ギルドによるぞ?ギルレイに報告しないと。」
『そう言えば3人ともまだダンジョンの説明受けてなかったんだよな?統括が言っていたけど。』
「そうだ!あとで統括んとこ行かないと。ご飯食べたら行ってくるから3人はギルレイからダンジョンの説明を受けておいてくれ。ギルレイにも言っておくから。」
ジャックのおかげで思い出し、そう伝えるとジャックが3人に付き添うと提案してくれた。
「そうだな…たぶんギルレイがいるから大丈夫だろ?それより…」
<俺とジャックは依頼だな。稼がないとギルレイに頼りっきりってのは俺とリミルからしたら違和感ありまくりだ。>
『そうだな。クライと俺だとどの依頼が妥当か後で選んでくれるか?』
「分かった。選んでからお昼行こうか。」
3人が顔を見合わせているので声をかけると、午後はレベル上げをしないのか聞かれた。
「今日はレベル上げ終わりな。その代わりこれから毎日午前中は今日みたいな感じになるけど。午後は自由にするか。3人は今日は身体を休めた方が良いだろうし。慣れてきたら無理のない範囲で依頼を受けてくれると助かる。」
リミルがそう言うと理解を示してくれた。
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