稀有ってホメてる?

紙吹雪

文字の大きさ
上 下
63 / 96
第1章 出会い

把握すべきこと #6

しおりを挟む
「魔封じを解除するならクライに任せると上手いし速いんだけどどうする?3人の試験場での試験の間に終わると思うけど…」

リミルがやると早くて半日かかるのがクライがやると1~2時間で済む。
その後訓練所やフィールドに行く時に使えるようにしておいて3人と共に慣れさせてはどうかという考えもあって提案していた。

『なるほどな。それだと直ぐに慣れさせられるな』

『俺としても有難い!』



リミルは早速休憩室の個室を1つ借り、ジャックとクライを入らせて声をかけ、試験場に戻った。
すると既にアキリムが魔力量を量る魔法陣の中にいて淡い光に包まれていた。

一緒に試験を受ける者達やそこに付き添いできた保護者に魔力量は知られてしまうが保護者は守秘義務が生じるし、受ける者達はお互い様なので問題になったことは無い。

アキリムの魔力量を見る限りだいたいニーナと同じくらいではないかと思った。


次はニーナが魔法陣の中に立つ。
呪文を唱えると淡く黄色みを帯びて光り出す。
やはりアキリムと同じくらいの魔力量だった。


次は問題のクロトだ。
彼のステータスは現在、一部に規制がかかっている、というより規制のせいで1部しか使えない状態だ。
レベルの恩恵がない状態でどの程度の魔力があるのかリミルには甚だ疑問だった。
リミルが核に触れてみた限りではほとんど無いと言っていい程僅かだった。
解放されていないと言っていたので仕方なかったとは思うが。
核を意識することで少しは変わっているといいなと思いつつ結果を待つ。

クロトが魔法陣を起動すると、少し、魔力量が上がっているのがわかった。
1部だけでもレベルの恩恵が出たようだった。
ルシノはすかさず鑑定を行う。
すると、種族の箇所が少し変わっていた。

*種族 渡人わたりびと族_ღ50(解放されていません)

↓↓

*種族 渡人わたりびと族_ღ1/50(1部解放されています)

そのことをルシノがクロトに告げると喜んでいた。
アキリムは不思議そうにしていたがあまり突っ込んではこなかった。
気を利かせてくれたようだった。


魔力量がわかったので次は筆記試験だ。
適性試験のようなもので冒険者としてのマナーや言動の適性行動を答えるという物。
実際にそのように行動できるかは別として冒険者として正しい行動を記述する。

それほど難しいものではなく、3人ともクリアした。


次に得意武器の確認が始まった。
これは次に行く訓練所とフィールドで実戦として使う。
もしこの時点で職業クラスを取得していなくても訓練所で得意武器を使用する職業クラスのいずれかの取得を手伝ってくれる。

それぞれ確認用に用意された案山子かかしに向かって様々な武器を振るう。
3人ともオーソドックスに剣から使ってみるが扱い方が雑というかおかしい。
それぞれの剣の扱い方を見てルシノは何となくの方向性を理解するが可能性を潰さないために全ての武器を使うまで見守る。
一通り試したところでそれぞれも自分の得意な武器を理解してきたらしい。


『僕は振り回して殴る系の武器が得意みたいだ。斧とか』

『そうだな。アキリムは盾持ちの戦士が向いてるだろう。あとで取得だな』

戦士ファイター職業クラスは武器の種類が比較的多い。
初心者には扱いやすくそこから派生して違う職業クラスを取る人もいる。
そのため、剣、斧、槍等が得意な者は最初に戦士を薦められる。


『あたしはやっぱり弓が使いやすい』

野伏レンジャーを持ってるようだから取得は無しでニーナはそれのレベル上げだな』

ルシノが手元の紙を見てニーナの職業クラスを確認している。
これはリミルがいない間に行われたことだが、試験の前にステータス情報を提出する事になっている。
初めての試験の登録の時だけだが、自身の得意武器を調べたあと、今回のように新たな職業クラスの取得が必要かどうかを判断するためだ。
2回目以降はステータスの開示はしない。


『俺は投げるのが得意みたい。投擲とうてきに向いた職業クラスって何になるんだ?』

投擲士アンカーだ。まんまだな。クロトには丁度いいかも知れないな』

投擲士アンカーは意外と便利だったりする。
レベルも比較的上げやすく、レベルの上昇とともに投げられる物が増え、命中率も上がる。
レベルが後半に差し掛かれば動いていない物に対しては対象の大きさにかかわらず百発百中になる。

それを聞いてクロトも喜んでいた。
攻撃に使える職業クラスだが、生産職にとっては支援にも使えるからだ。



武器と職業クラスが決まったところで訓練所に移動するのだが、その前にリミルは休憩室に2人を迎えに寄る。

「どう?」

<途中やばかったが何とかなった>

「え。今度こういうことがあった時は一緒にいることにする」

<いや、まあ…そうだな>

どうもクライの歯切れが悪いが気にせずジャックの背中に手を当て核を探る。
魔力の循環が上手くいっているのを確認してから起こすために身体を揺すった。

「ジャック!起きれるか?」

『ん…あぁ。なんか身体が軽い。いつもより調子もいいかも知れない』

「魔力の循環が上手くいってるからな。皆訓練所に向かったから俺らも行こう」


ジャックが立とうとして少しふらついたのでもう暫く休ませることにした。
クライが着いていてくれると言うのでリミルは訓練所に向かった。

『ジャックの様子はどうだ?』

「核の方はもう大丈夫だけどふらついたから少し休んでから来るように言っといた。クライも着いてくれてる」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...