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第1章 変化の始まり
評判と依頼 #5
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簡単に連絡が取れれば良いのにと思ったが今はそんなことを考えている場合ではなかった。
「期限付きならその依頼を受けられるのか?」
『はい。大丈夫ですよ。今日2時の打ち合わせも同じ方面なので纏めて受けられるかもしれませんね』
『ほっほっ。受けてくれるかの?』
「受けるよ。野菜自体と種若しくは苗を買ってくる。量はそれぞれどの程度欲しいんだ?」
詳しい内容を詰めていき最後に今回の依頼に見合った報酬金額をリリアンが提示した。
『今払えば良いのかの?』
『払えるならば今払って頂けると依頼が確定になります』
ハレイはコインが入った袋を取り出し数を数えながら机に置いていき提示された金額が揃うとリミルの方へ押しやった。
リミルは困った様に笑いながら
「依頼料は1度ギルドに払ってもらう決まりなんだ」
とギルドの仕組みをハレイに説明した。
昔何度もトラブルがあったそうだ。
前払いだと払ったはいいが仕事が雑だったとか、払った払ってないの押し問答。
後払いだとケチをつけて払わない依頼主がいたり、思ったより大変だったから依頼料を上乗せしろと言い出したり。
そこで指名依頼もギルドが管理するようになった。
依頼料の相場をある程度決め、難易度によって上乗せする金額もギルドが決める。
前払いや後払いが問題にならないよう、打ち合わせで決まった金額をギルドが預かり依頼達成時に報酬として渡す。
今回の場合、野菜や種や苗をギルドに持ち込むと報酬と交換して貰える。
届けた野菜等はギルドから依頼主に渡される。
この辺りは通常依頼とあまり変わらない。
指名依頼のメリットは詳しく注文が付けられる事や少し無茶な依頼も出来たりする事、人を選べる事などがある。デメリットは少し値が張る事と受けるかは冒険者次第という事か。
通常依頼も冒険者次第ということに変わりはないが依頼対象が沢山いるので誰も受けないということはありえない。
誰が受けるかは運次第だ。
『そうなのか。教えてくれてありがとうな。じゃあお前さんに預けるぞ』
『はい。確かに』
そうしてハレイとの打ち合わせは終わった。
ハレイは『よろしく頼む』と言って帰って行った。
『リミルちゃん、2時から3組連続で打ち合わせが入ってますよ』
リリアンは見た目も中身も若いがギルレイやアンリと古くからの友達だそうで歳はそれなりにいっている。
そのためか紹介された頃から子ども扱いというかちゃん付けされている。
「え、三人も?珍しいね」
<一人かと思ってたぞ>
床に伏せていたクライも思わずといった感じでムクっと起き上がった。
リリアンはそれを見て『そうだろうと思ってました』と笑っていた。
『2組はハレイさんと同じ方面に言ってもらう依頼ですが、もう1組は変わった依頼です』
「変わった依頼?」
『まあ話だけでも聞いてあげてください』
「あ、うん」
『それにしてもオーバーフローから噂が絶えません。大半が良い噂で評判は上がってます』
リリアンは自分の事のように嬉しそうに話す。
評判が上がる事自体は良いことだが喜んでばかりも居られないとリミルは微笑んだ後、複雑そうな表情をした。
クライは大半という言葉に反応した。
<悪い噂もあるのか?>
リリアンは眉尻を下げて困ったような表情になった。
名が上がると必ず出てくる問題だ。
『恐らく妬みや嫉みから来るもので、大して広まってはいませんけど』
これまではあまり目立った行動を取ってこなかったため大した名声もなく、かと言ってやっかみもそれほど無かった。
銀狼を連れても驚かれたがそれだけだったし、クライがフェンリルになっても驚かれたり怖がられたり狙われたりはしたが嫌がらせはされなかった。
高位になったのを知ったベテラン連中に色々と言われたが何も無かった。
それを見ていた数名に睨まれはしたが。
リミルに向けられる視線には害意敵意悪意の他にも好意的なものもある。
それは判別できる程度の数でその他大勢は無関心だった。
だからこそ避けてこられたがそうもいかなくなりそうだ。
「たぶんいつも睨んで来るやつ等じゃないかな。いつもそういうのは避けてるけどそのうち仕掛けてきそうだな」
『気をつけてね。アンリもいつも心配してたけど私も心配だわ』
仕事中は敬語を外さないリリアンが珍しく普段の話し方になっていた。
それだけ気にかけてくれているということだろう。
リミルは申し訳なく思いつつ、感謝を口にした。
「心配してくれてありがとう。気をつけるよ」
『そうだ、リミルちゃん。2時までの予定はもう決まってますか?』
「いやまだだけど」
決めようとしていた所にハレイが声をかけてきたので決まっていなかった。
『なら月下草の採取依頼を受けてくれませんか?』
**
リミルとクライはリンドの森北方にある岩山の山頂付近に来ていた。
月下草は別の場所にも生えているのだがここは群生地で数が多い。
それに人が立ち入らない場所なので荒らされておらず綺麗な場所だ。
リミルのお気に入りスポットの1つでもある。
念の為ここも妖術と精霊術で護っている。
月下草の他にも様々な草花が生息している。
ポーションの材料になる薬草も多く、月下草はMPポーションの材料になる。
先程リリアンに頼まれた依頼のために岩山の山頂を訪れていた。
「期限付きならその依頼を受けられるのか?」
『はい。大丈夫ですよ。今日2時の打ち合わせも同じ方面なので纏めて受けられるかもしれませんね』
『ほっほっ。受けてくれるかの?』
「受けるよ。野菜自体と種若しくは苗を買ってくる。量はそれぞれどの程度欲しいんだ?」
詳しい内容を詰めていき最後に今回の依頼に見合った報酬金額をリリアンが提示した。
『今払えば良いのかの?』
『払えるならば今払って頂けると依頼が確定になります』
ハレイはコインが入った袋を取り出し数を数えながら机に置いていき提示された金額が揃うとリミルの方へ押しやった。
リミルは困った様に笑いながら
「依頼料は1度ギルドに払ってもらう決まりなんだ」
とギルドの仕組みをハレイに説明した。
昔何度もトラブルがあったそうだ。
前払いだと払ったはいいが仕事が雑だったとか、払った払ってないの押し問答。
後払いだとケチをつけて払わない依頼主がいたり、思ったより大変だったから依頼料を上乗せしろと言い出したり。
そこで指名依頼もギルドが管理するようになった。
依頼料の相場をある程度決め、難易度によって上乗せする金額もギルドが決める。
前払いや後払いが問題にならないよう、打ち合わせで決まった金額をギルドが預かり依頼達成時に報酬として渡す。
今回の場合、野菜や種や苗をギルドに持ち込むと報酬と交換して貰える。
届けた野菜等はギルドから依頼主に渡される。
この辺りは通常依頼とあまり変わらない。
指名依頼のメリットは詳しく注文が付けられる事や少し無茶な依頼も出来たりする事、人を選べる事などがある。デメリットは少し値が張る事と受けるかは冒険者次第という事か。
通常依頼も冒険者次第ということに変わりはないが依頼対象が沢山いるので誰も受けないということはありえない。
誰が受けるかは運次第だ。
『そうなのか。教えてくれてありがとうな。じゃあお前さんに預けるぞ』
『はい。確かに』
そうしてハレイとの打ち合わせは終わった。
ハレイは『よろしく頼む』と言って帰って行った。
『リミルちゃん、2時から3組連続で打ち合わせが入ってますよ』
リリアンは見た目も中身も若いがギルレイやアンリと古くからの友達だそうで歳はそれなりにいっている。
そのためか紹介された頃から子ども扱いというかちゃん付けされている。
「え、三人も?珍しいね」
<一人かと思ってたぞ>
床に伏せていたクライも思わずといった感じでムクっと起き上がった。
リリアンはそれを見て『そうだろうと思ってました』と笑っていた。
『2組はハレイさんと同じ方面に言ってもらう依頼ですが、もう1組は変わった依頼です』
「変わった依頼?」
『まあ話だけでも聞いてあげてください』
「あ、うん」
『それにしてもオーバーフローから噂が絶えません。大半が良い噂で評判は上がってます』
リリアンは自分の事のように嬉しそうに話す。
評判が上がる事自体は良いことだが喜んでばかりも居られないとリミルは微笑んだ後、複雑そうな表情をした。
クライは大半という言葉に反応した。
<悪い噂もあるのか?>
リリアンは眉尻を下げて困ったような表情になった。
名が上がると必ず出てくる問題だ。
『恐らく妬みや嫉みから来るもので、大して広まってはいませんけど』
これまではあまり目立った行動を取ってこなかったため大した名声もなく、かと言ってやっかみもそれほど無かった。
銀狼を連れても驚かれたがそれだけだったし、クライがフェンリルになっても驚かれたり怖がられたり狙われたりはしたが嫌がらせはされなかった。
高位になったのを知ったベテラン連中に色々と言われたが何も無かった。
それを見ていた数名に睨まれはしたが。
リミルに向けられる視線には害意敵意悪意の他にも好意的なものもある。
それは判別できる程度の数でその他大勢は無関心だった。
だからこそ避けてこられたがそうもいかなくなりそうだ。
「たぶんいつも睨んで来るやつ等じゃないかな。いつもそういうのは避けてるけどそのうち仕掛けてきそうだな」
『気をつけてね。アンリもいつも心配してたけど私も心配だわ』
仕事中は敬語を外さないリリアンが珍しく普段の話し方になっていた。
それだけ気にかけてくれているということだろう。
リミルは申し訳なく思いつつ、感謝を口にした。
「心配してくれてありがとう。気をつけるよ」
『そうだ、リミルちゃん。2時までの予定はもう決まってますか?』
「いやまだだけど」
決めようとしていた所にハレイが声をかけてきたので決まっていなかった。
『なら月下草の採取依頼を受けてくれませんか?』
**
リミルとクライはリンドの森北方にある岩山の山頂付近に来ていた。
月下草は別の場所にも生えているのだがここは群生地で数が多い。
それに人が立ち入らない場所なので荒らされておらず綺麗な場所だ。
リミルのお気に入りスポットの1つでもある。
念の為ここも妖術と精霊術で護っている。
月下草の他にも様々な草花が生息している。
ポーションの材料になる薬草も多く、月下草はMPポーションの材料になる。
先程リリアンに頼まれた依頼のために岩山の山頂を訪れていた。
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