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第1章 変化の始まり
評判と依頼 #3
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通常の調査では各部屋毎にドロップ品の変化や出現する魔物のレベルや種類などを細かく調べるために職業を変えながら何度も潜らなくてはならない。
それを既にリミルがやってくれているので事実確認だけで済むのだ。
リミルの希望通り通常よりは早く済むだろう。
先ほどよりも弱い魔物を倒しドロップを回収しながら階段へ向かう。
『ここはギルドに渡す気はないってことで良いか?』
「そのつもりだ」
ダンジョンを見つけた者が所有者という認識になるが、基本的には皆ギルドに売ってしまう。
大金が貰えるし、管理もしなくて済むし、ギルドが調査した結果にもよるが大抵は一般に解放されるので手放したところで自由に出入り出来るためだ。
占有する意味は無い。
鉱石が取れるダンジョンだとしても管理も大変で魔物を倒しながらの採掘に時間がかかり、魔物からもドロップするので運び屋の職業レベルが高くないと持ち物が多くなり売り捌くのにも規制があるため占有する者はいない。
出来たとしても街が発展し全体的に底上げできるし通常ダンジョンより高く買い取ってもらえるのでしようとも思わないのだ。
だが、リミルはこのダンジョンは売らずに中の1部の魔物達と共に管理している。
理由は幾つかあるが1番大きいのは花畑が綺麗だからだ。
後は、初めて入ったダンジョンであり、住居でもあり、仲良くなった魔物もいて、思い入れが強いためだ。
ギルレイはリミルが売る気はないのにラッセル達のレベル上げのために調査も探索もさせてくれたので一応確認したのだ。
倒した魔物やドロップ品について話しながら階段を降りて2階層のこじんまりとしたエントランスに着くと早速各フロアに1つはある安全地帯を確認する。
その後1層目への帰還場所がある横穴を探索し3層目への階段がある横穴へ。
それを4階層まで続けた。
そこまで種類は増えたが魔物もドロップ品も影獣に実や果物だけだった。
しかし5階層に降りた途端、景色が変わった。
先程まで洞窟感満載だったのが石壁の部屋のようになった。
『ここからは横穴ではなく石の部屋だな』
例によって安全地帯を確認してから探索する。
5階層の安全地帯には簡易キッチンがあった。
帰還場所に繋がる細長い部屋で影獣の他に歯鼠という歯が鋭くウネウネと動くピンク色の尻尾をした1m程ある凶暴な鼠が出てきた。
「こいつは確かレベル30くらいの中ボスだったかな。倒すと武器が貰えるよ」
『お!なら短剣で戦うか』
どうやらギルレイはナイフ類辺りが欲しいようだ。
歯鼠の素早い動きに驚きつつ、サクッと倒す。
今回のドロップ品は摩耗しがちな採取用ナイフだった。
『お!狙い通り』
「消耗激しいもんな」
ギルレイは薬師として短剣で戦っていたので採取用ナイフか短剣のどちらかしかドロップしなかっただろう。
職業若しくは武器が違っていれば違う武器がドロップしていた。
武器や防具がドロップすると分かっていれば、このように欲しい物を狙うことも可能だ。
「たぶんラッセル達が戦えるのはここまでだと思うけど下の階層も確認するか?」
『何故そう思うのか理由を聞いても良いか?』
「ここから下はレベルが急に上がるんだ。仲良くなった魔物達と戦闘訓練してたら底上げしてしまったみたいで。出てくる魔物全部強くなってる」
『そんなことあるのか。凄いな。なら調査はここまでだな。5階層までの他の調査をしに一人でくるかも知れないから仲良くなった魔物達に伝えて置いてくれるか?』
「それなら統括に会っとく?最下層に居るけど呼べば来るよ?」
『良いのか?』
そう言うとリミルは早速簡易キッチンのあった安全地帯に行き黒くて大きなものと戻ってきた。
それは黒くて大きな豹だった。
瞳は緋く鋭い牙や爪がキラリと光り、ほんのりと黒い靄を纏っている。
強い。そうギルレイも思う様な威圧感と風貌と魔力だった。
「統括、この人はギルレイだ。ギルレイ、こいつが統括な」
<よく来たな。歓迎する。リミルとアニキのダチなら立ち入りを許してやる。ただし6階層以降は覚悟して入ることだ>
『感謝する。一人で入るのは5階層までにして置くよ。それより先はそのうち付き合ってくれリミル、クライ』
「ああ、もちろん」
<俺も良いぞ>
それがいいだろうと統括はニヤリと笑う。
これは笑顔だ。
威圧感が減ったので雰囲気で伝わる。
『リミルとは契約を?』
<している。名は統括だ>
『は?』
リミルが経緯を話してくれた。
仲良くなりレベルもそれなりに上がりリミルが{地下迷宮の主}の称号を獲得した頃。
仲良くなった魔物と集まって話をしていて「君が統括だ」って役職を言ったつもりがその呼び方を気に入ってしまったようで契約成立となり"統括"が名前になってしまったらしい。
契約はしたが【始まりのダンジョン】を任せているので一緒に行動したりはしないのと珍しい魔物ということもありギルドに報告せずにいたということらしい。
連れ歩かないのならば報告義務は無いのでそれについてギルレイが特に何かを言うことはなかった。
それを既にリミルがやってくれているので事実確認だけで済むのだ。
リミルの希望通り通常よりは早く済むだろう。
先ほどよりも弱い魔物を倒しドロップを回収しながら階段へ向かう。
『ここはギルドに渡す気はないってことで良いか?』
「そのつもりだ」
ダンジョンを見つけた者が所有者という認識になるが、基本的には皆ギルドに売ってしまう。
大金が貰えるし、管理もしなくて済むし、ギルドが調査した結果にもよるが大抵は一般に解放されるので手放したところで自由に出入り出来るためだ。
占有する意味は無い。
鉱石が取れるダンジョンだとしても管理も大変で魔物を倒しながらの採掘に時間がかかり、魔物からもドロップするので運び屋の職業レベルが高くないと持ち物が多くなり売り捌くのにも規制があるため占有する者はいない。
出来たとしても街が発展し全体的に底上げできるし通常ダンジョンより高く買い取ってもらえるのでしようとも思わないのだ。
だが、リミルはこのダンジョンは売らずに中の1部の魔物達と共に管理している。
理由は幾つかあるが1番大きいのは花畑が綺麗だからだ。
後は、初めて入ったダンジョンであり、住居でもあり、仲良くなった魔物もいて、思い入れが強いためだ。
ギルレイはリミルが売る気はないのにラッセル達のレベル上げのために調査も探索もさせてくれたので一応確認したのだ。
倒した魔物やドロップ品について話しながら階段を降りて2階層のこじんまりとしたエントランスに着くと早速各フロアに1つはある安全地帯を確認する。
その後1層目への帰還場所がある横穴を探索し3層目への階段がある横穴へ。
それを4階層まで続けた。
そこまで種類は増えたが魔物もドロップ品も影獣に実や果物だけだった。
しかし5階層に降りた途端、景色が変わった。
先程まで洞窟感満載だったのが石壁の部屋のようになった。
『ここからは横穴ではなく石の部屋だな』
例によって安全地帯を確認してから探索する。
5階層の安全地帯には簡易キッチンがあった。
帰還場所に繋がる細長い部屋で影獣の他に歯鼠という歯が鋭くウネウネと動くピンク色の尻尾をした1m程ある凶暴な鼠が出てきた。
「こいつは確かレベル30くらいの中ボスだったかな。倒すと武器が貰えるよ」
『お!なら短剣で戦うか』
どうやらギルレイはナイフ類辺りが欲しいようだ。
歯鼠の素早い動きに驚きつつ、サクッと倒す。
今回のドロップ品は摩耗しがちな採取用ナイフだった。
『お!狙い通り』
「消耗激しいもんな」
ギルレイは薬師として短剣で戦っていたので採取用ナイフか短剣のどちらかしかドロップしなかっただろう。
職業若しくは武器が違っていれば違う武器がドロップしていた。
武器や防具がドロップすると分かっていれば、このように欲しい物を狙うことも可能だ。
「たぶんラッセル達が戦えるのはここまでだと思うけど下の階層も確認するか?」
『何故そう思うのか理由を聞いても良いか?』
「ここから下はレベルが急に上がるんだ。仲良くなった魔物達と戦闘訓練してたら底上げしてしまったみたいで。出てくる魔物全部強くなってる」
『そんなことあるのか。凄いな。なら調査はここまでだな。5階層までの他の調査をしに一人でくるかも知れないから仲良くなった魔物達に伝えて置いてくれるか?』
「それなら統括に会っとく?最下層に居るけど呼べば来るよ?」
『良いのか?』
そう言うとリミルは早速簡易キッチンのあった安全地帯に行き黒くて大きなものと戻ってきた。
それは黒くて大きな豹だった。
瞳は緋く鋭い牙や爪がキラリと光り、ほんのりと黒い靄を纏っている。
強い。そうギルレイも思う様な威圧感と風貌と魔力だった。
「統括、この人はギルレイだ。ギルレイ、こいつが統括な」
<よく来たな。歓迎する。リミルとアニキのダチなら立ち入りを許してやる。ただし6階層以降は覚悟して入ることだ>
『感謝する。一人で入るのは5階層までにして置くよ。それより先はそのうち付き合ってくれリミル、クライ』
「ああ、もちろん」
<俺も良いぞ>
それがいいだろうと統括はニヤリと笑う。
これは笑顔だ。
威圧感が減ったので雰囲気で伝わる。
『リミルとは契約を?』
<している。名は統括だ>
『は?』
リミルが経緯を話してくれた。
仲良くなりレベルもそれなりに上がりリミルが{地下迷宮の主}の称号を獲得した頃。
仲良くなった魔物と集まって話をしていて「君が統括だ」って役職を言ったつもりがその呼び方を気に入ってしまったようで契約成立となり"統括"が名前になってしまったらしい。
契約はしたが【始まりのダンジョン】を任せているので一緒に行動したりはしないのと珍しい魔物ということもありギルドに報告せずにいたということらしい。
連れ歩かないのならば報告義務は無いのでそれについてギルレイが特に何かを言うことはなかった。
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