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第1章 変化の始まり
オーバーフロー #3
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後方にある店の2階辺りから声が聞こえる。
『えーと、確かリミルって呼ばれてたそこの冒険者、一応ポーション用意してるがいるか?』
「俺はMPポーションが欲しいかな…」
リミルは声を掛けてくれたポーション屋の店主の小人族の男性に顔を向けて返事をする。
足元に魔物の残骸が落ちるが直ぐに魔力の粒子となってキラキラと消える。
それは絶え間なく続くが話はやめない。
『喋りながら器用だな。投げるぞ?』
投げられたポーション瓶をキャッチし、器用に蓋を開けて呷る。
今回の戦いではリミルは長刀しか使っていなかったが、ピギルーイの回復や支援の為に魔力を使った従魔に魔力を譲渡していた。
「ありがとう。料金は?」
『要らねーよ。今はオーバーフローだろ?』
「そうなのか?じゃあついでに不足してたポーションも貰えたりとか…へへッ」
『ガハハッ。それは終わってから買いに来な。安くしてやるから』
「お!マジで、サンキュおっちゃん」
『いいさ、守って貰ってんだから。それよりお前もギル坊も白い魔獣も余裕そうだな。反対側にいる竜人族の奴は確かグレモスんとこの…ピギルーイだったか?アイツはヘトヘトみたいだが』
「んー、ピギルーイは汚名返上しなきゃだからな」
『汚名返上って噂のか…まあ周りみんな見てるし直ぐに塗り替えられるんじゃないか?』
「そう?ならもうそろそろ終わらせた方が良いか?じゃあちょっと行ってくるね!」
『あ?ああ。頑張ってな』
リミルは近くの敵を倒しつつ、少しギルレイに近寄り、声を掛ける。
「ギルレイ!もうそろそろ終わらせないか?」
『どうする気だ?』
「三手に別れて掃討する。ここを守るのが一人、1周目に一人、2周目に一人だ」
『そうだな。クライにここを任せて俺が1周目、リミルが2周目でどうだ?』
「それで良いよ」
『クライ!』
<聞こえてた。俺もそれで良い>
「クライ、魔物が建物に近づかないように魔法で囲ってくれ。俺やギルレイが戻るまでそれを維持してくれたらそれで良い」
<ああ。街を綺麗なままにするならその方が良いだろうな>
魔物とリミル、ギルレイがクライの魔法で囲まれる。
街側にはみ出た魔物はクライがササッと爪で殺した。
その間にリミルとギルレイは内壁の北門を出た。
『じゃあ行くか』
「うん」
リミルは頷くとギルレイと別れて近くの魔物を粒子に変えながら2周目の中を走る。
ギルレイは大剣を軽々と振り回しながら1周目に行くために中壁の北門に近づく。
『1周目に行きたい。一人用の通路を開けてくれ』
『ギルドマスター、了解しました』
門の横、中壁に人一人が通れる程度のトンネルが現れた。
外壁、中壁、内壁はそれぞれ分厚く、内部には衛兵の個室や浴場、食堂などの生活エリアや会議室や簡易訓練所、馬房などの衛兵エリアがある。
中壁の1階は1周目と2周目で戦っている者達の避難場所になったり、奇襲を仕掛ける隠れ蓑になったり、場合によっては1周目と2周目を一時的に繋ぐトンネルになったりする。
15m程あるトンネルを潜って1周目に出るとトンネルは消えた。
ギルレイはまず外壁の北門に行き、門番の衛兵に魔物が全て入り切った瞬間に門を閉めるように指示を出した。
それと中壁の南門にも門を閉めるように連絡をさせた。
そうすれば後は掃討しながら1周目を見回るだけだ。
リミルもギルレイも器用に魔物のみを捌いていく。
ちらほら負傷している者も見かけたが大した傷ではなかった。
そして、応援に来ていた冒険者はクライの予想通りと言っていいのか、高位の者はいなかった。
ギルレイより少し早くに掃討を始めたのと1周目より距離も少し短かったことでリミルが先に戻ってきた。
クライが包囲している魔物も一気に倒し、討ち洩らしが無いか確認した後、魔法を解除させた。
「俺の方はクリアだ」
<そうか、なら解除するぞ>
「ああ。それより人が増えてないか?」
<少し増えた。殆どは戦ってる時からいた観客だな。高位冒険者がオーバーフローの掃討に参加することは殆ど無いらしいぞ。リミルはやはり稀有だな。それとピギルーイのことも良い噂が流れそうだ>
「誰かが教えてくれたのか?」
<聞こえてきたんだ>
「そうか…」
よくあるやり取りをしているとギルレイが戻ってきた。
よくやると言っても専ら"聞こえてきた"と言うのはリミルだが。
『終わったぞー』
「おー、今回のは通常のオーバーフローだったな」
<そうだな。強い奴も居なかったし、森で発生したタイプだな>
『まさか前のはダンジョンで発生したやつだったのか?』
「リンドの森の奥にある岩山のダンジョンだったな」
『それはご苦労さん。二人で解決してくれたんだから報奨金出さなきゃな』
<そういうのがあるのか。もっと早く報告すればよかった>
「いや、俺が言っても信じて貰えないだろ。あの頃はまだ高位になってなかったし、クライも進化してなかったし、他の冒険者からはまだ子ども扱いされてたし。実際子どもの年齢だったんだろうけど」
後方にある店の2階辺りから声が聞こえる。
『えーと、確かリミルって呼ばれてたそこの冒険者、一応ポーション用意してるがいるか?』
「俺はMPポーションが欲しいかな…」
リミルは声を掛けてくれたポーション屋の店主の小人族の男性に顔を向けて返事をする。
足元に魔物の残骸が落ちるが直ぐに魔力の粒子となってキラキラと消える。
それは絶え間なく続くが話はやめない。
『喋りながら器用だな。投げるぞ?』
投げられたポーション瓶をキャッチし、器用に蓋を開けて呷る。
今回の戦いではリミルは長刀しか使っていなかったが、ピギルーイの回復や支援の為に魔力を使った従魔に魔力を譲渡していた。
「ありがとう。料金は?」
『要らねーよ。今はオーバーフローだろ?』
「そうなのか?じゃあついでに不足してたポーションも貰えたりとか…へへッ」
『ガハハッ。それは終わってから買いに来な。安くしてやるから』
「お!マジで、サンキュおっちゃん」
『いいさ、守って貰ってんだから。それよりお前もギル坊も白い魔獣も余裕そうだな。反対側にいる竜人族の奴は確かグレモスんとこの…ピギルーイだったか?アイツはヘトヘトみたいだが』
「んー、ピギルーイは汚名返上しなきゃだからな」
『汚名返上って噂のか…まあ周りみんな見てるし直ぐに塗り替えられるんじゃないか?』
「そう?ならもうそろそろ終わらせた方が良いか?じゃあちょっと行ってくるね!」
『あ?ああ。頑張ってな』
リミルは近くの敵を倒しつつ、少しギルレイに近寄り、声を掛ける。
「ギルレイ!もうそろそろ終わらせないか?」
『どうする気だ?』
「三手に別れて掃討する。ここを守るのが一人、1周目に一人、2周目に一人だ」
『そうだな。クライにここを任せて俺が1周目、リミルが2周目でどうだ?』
「それで良いよ」
『クライ!』
<聞こえてた。俺もそれで良い>
「クライ、魔物が建物に近づかないように魔法で囲ってくれ。俺やギルレイが戻るまでそれを維持してくれたらそれで良い」
<ああ。街を綺麗なままにするならその方が良いだろうな>
魔物とリミル、ギルレイがクライの魔法で囲まれる。
街側にはみ出た魔物はクライがササッと爪で殺した。
その間にリミルとギルレイは内壁の北門を出た。
『じゃあ行くか』
「うん」
リミルは頷くとギルレイと別れて近くの魔物を粒子に変えながら2周目の中を走る。
ギルレイは大剣を軽々と振り回しながら1周目に行くために中壁の北門に近づく。
『1周目に行きたい。一人用の通路を開けてくれ』
『ギルドマスター、了解しました』
門の横、中壁に人一人が通れる程度のトンネルが現れた。
外壁、中壁、内壁はそれぞれ分厚く、内部には衛兵の個室や浴場、食堂などの生活エリアや会議室や簡易訓練所、馬房などの衛兵エリアがある。
中壁の1階は1周目と2周目で戦っている者達の避難場所になったり、奇襲を仕掛ける隠れ蓑になったり、場合によっては1周目と2周目を一時的に繋ぐトンネルになったりする。
15m程あるトンネルを潜って1周目に出るとトンネルは消えた。
ギルレイはまず外壁の北門に行き、門番の衛兵に魔物が全て入り切った瞬間に門を閉めるように指示を出した。
それと中壁の南門にも門を閉めるように連絡をさせた。
そうすれば後は掃討しながら1周目を見回るだけだ。
リミルもギルレイも器用に魔物のみを捌いていく。
ちらほら負傷している者も見かけたが大した傷ではなかった。
そして、応援に来ていた冒険者はクライの予想通りと言っていいのか、高位の者はいなかった。
ギルレイより少し早くに掃討を始めたのと1周目より距離も少し短かったことでリミルが先に戻ってきた。
クライが包囲している魔物も一気に倒し、討ち洩らしが無いか確認した後、魔法を解除させた。
「俺の方はクリアだ」
<そうか、なら解除するぞ>
「ああ。それより人が増えてないか?」
<少し増えた。殆どは戦ってる時からいた観客だな。高位冒険者がオーバーフローの掃討に参加することは殆ど無いらしいぞ。リミルはやはり稀有だな。それとピギルーイのことも良い噂が流れそうだ>
「誰かが教えてくれたのか?」
<聞こえてきたんだ>
「そうか…」
よくあるやり取りをしているとギルレイが戻ってきた。
よくやると言っても専ら"聞こえてきた"と言うのはリミルだが。
『終わったぞー』
「おー、今回のは通常のオーバーフローだったな」
<そうだな。強い奴も居なかったし、森で発生したタイプだな>
『まさか前のはダンジョンで発生したやつだったのか?』
「リンドの森の奥にある岩山のダンジョンだったな」
『それはご苦労さん。二人で解決してくれたんだから報奨金出さなきゃな』
<そういうのがあるのか。もっと早く報告すればよかった>
「いや、俺が言っても信じて貰えないだろ。あの頃はまだ高位になってなかったし、クライも進化してなかったし、他の冒険者からはまだ子ども扱いされてたし。実際子どもの年齢だったんだろうけど」
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