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第1章 変化の始まり
オーバーフロー #2
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『俺の為に考えて下さって有難いんですが、危なくはないですか?』
『神格が二人に高位冒険者が一人いるんだ。大丈夫だろ』
「それに道幅の広い大通りで戦うほうが楽かもな」
『確かに…そうですね』
『魔物を逃がさないよう4人で並んで戦うか。両端にピギルーイとリミルで、ピギルーイは俺かクライがフォローに入ることにして』
<ならピギルーイのフォローは俺がするのが良さそうだな。魔獣と一緒に戦ってる姿は汚名返上に効果的だろ>
「だな」
『ありがとうございます』
北門に到着した四人は早速、門を囲む様に左からピギルーイ、クライ、ギルレイ、リミルの順に並ぶ。
門自体は横幅20mほどあり、そこから続く大通りは横幅50mはある。
門の左右に陣取るピギルーイとリミルはそれぞれの可動範囲を踏まえた位置取りだ。
拳闘士のピギルーイは可動範囲が狭い為、比較的門に近い場所に。
長刀を装備したリミルはそこそこ可動範囲が広い為、門から少し離れた位置に。
その二人に合わせてギルレイとクライも位置取りを決める。
大剣を構えたギルレイはリミルからある程度の距離を取りつつクライとの間を開けるように陣取る。
クライはピギルーイをフォロー出来る距離で尚且つギルレイとの間を開けるような位置につく。
ギルレイとクライが中央を開けるような位置にいるのは、知能が低い魔物の、隙を突いて先へ行こうとする習性を生かし、強い二人の方に魔物を集め、建物が近い両サイドを守るピギルーイやリミルの方に行く魔物を少なくするためだ。
位置取りが決まるとギルレイは門に詰めている衛兵の所へ行き、現状の報告を聞いて戻ってきた。
『今回は南経由の大侵攻のようだな』
「南経由?って?」
『外壁にいる魔法隊が範囲攻撃魔法で魔物の数を減らすんだが、それで追いつかない程の数で侵攻してきた場合、1周目と2周目で迎え撃つんだ。その時、外壁の北門から1周目に入って左右に別れて南門まで行ったら今度は中壁の南門を開けて2周目に入りまた左右に別れて北門まで来る。これが南経由だな。普通はここの北門は閉じて1周目と2周目の中だけで応戦するんだが、俺がお前達を連れていくって言ってたからか自由にやらせてくれるらしい。魔物が1周目と2周目で収まる数ではないということもあるが』
<前に二人で殺った時は3万程だったが今回はそれ以上か?>
『3万を二人でやったのか!二人ともありがとうな。今回は7万程かな。魔法でやられたのが2万いるかいないかで、残りは殆ど侵入している。衛兵と応援の冒険者で1周目2周目それぞれ1万ずつは対処出来るだろう。残りがこちらに来る予定だ』
<前と変わらないくらいか。なら余裕だな>
「衛兵ってどれくらい?」
(衛兵ってどれくらい強いのか知らないな…というより基準すら分からないな)
『冒険者の方もどの程度の数が応援に来てくれるものですか?』
リミルの質問はその後のピギルーイの質問によって、強さではなく人数の質問だと解釈されたようだ。
言葉が足りなかった自覚はあった。
ただ、魔物の数に対しての衛兵の人数が分かれば強さも何となく分かるだろうと思いリミルは訂正しなかった。
『そうだな…まず衛兵が約2万人動員されたが、魔法隊が約3千人と支援隊が約5千人、戦闘員が残りの約1万2千人だ。そこに応援で来る冒険者は多ければ2千人程じゃないか』
「え、そんなもんなのか?この街って冒険者率が高いって聞いたけど」
(衛兵の強さは結局分からないな…それより冒険者の数が少ないような)
魔物総数7万に対して衛兵約2万という単純な計算なのか、そもそも魔法隊が魔物を全滅させられるかもしれないとか、数を減らすための要員なのかとか、支援隊の支援はどれほどのものなのかとか、様々なことを考えると一概に衛兵の強さはこの程度、と言うことが出来ない。
オーバーフローの掃討を衛兵のレベル上げの一環にしているという可能性に気がついたからだ。
そんなことより冒険者の数の方が気になった。
『ああ、リンドの森が近いからな。殆どの者がギルドに登録し何らかの戦闘職を得るんだ。身を守る為にな。職人系の奴らも自分で素材を取りに行ったりするから戦えないと困るからな。純粋な"プレイヤー"はこの街だと2万人いるかいないか位だな。その内、腕に自信がある奴らがこの戦闘に参加したんだろうからそんなもんだ』
「まあでも腕に自信がある奴が2千も来たら速攻終わりそうだよな…」
騒がしい音がだんだん近くなって来た。
少し離れた内壁の上からも合図があった。
<そうとは限らないぞ。自信があっても実力がなければ意味無いだろ。それに実力がある奴らは自信があるとは言わないし慎重だ。既に実力があればオーバーフローの掃討ではレベルも上がりにくいだろうしな。初心者が腕試しに来そうだな>
「そうか…じゃあ出来るだけ貢献しよう」
<それがいい。思う存分暴れよう>
『俺も汚名返上と店のために頑張ります』
『やる気があるのはいい事だな。さあイレアを守るぞ』
『神格が二人に高位冒険者が一人いるんだ。大丈夫だろ』
「それに道幅の広い大通りで戦うほうが楽かもな」
『確かに…そうですね』
『魔物を逃がさないよう4人で並んで戦うか。両端にピギルーイとリミルで、ピギルーイは俺かクライがフォローに入ることにして』
<ならピギルーイのフォローは俺がするのが良さそうだな。魔獣と一緒に戦ってる姿は汚名返上に効果的だろ>
「だな」
『ありがとうございます』
北門に到着した四人は早速、門を囲む様に左からピギルーイ、クライ、ギルレイ、リミルの順に並ぶ。
門自体は横幅20mほどあり、そこから続く大通りは横幅50mはある。
門の左右に陣取るピギルーイとリミルはそれぞれの可動範囲を踏まえた位置取りだ。
拳闘士のピギルーイは可動範囲が狭い為、比較的門に近い場所に。
長刀を装備したリミルはそこそこ可動範囲が広い為、門から少し離れた位置に。
その二人に合わせてギルレイとクライも位置取りを決める。
大剣を構えたギルレイはリミルからある程度の距離を取りつつクライとの間を開けるように陣取る。
クライはピギルーイをフォロー出来る距離で尚且つギルレイとの間を開けるような位置につく。
ギルレイとクライが中央を開けるような位置にいるのは、知能が低い魔物の、隙を突いて先へ行こうとする習性を生かし、強い二人の方に魔物を集め、建物が近い両サイドを守るピギルーイやリミルの方に行く魔物を少なくするためだ。
位置取りが決まるとギルレイは門に詰めている衛兵の所へ行き、現状の報告を聞いて戻ってきた。
『今回は南経由の大侵攻のようだな』
「南経由?って?」
『外壁にいる魔法隊が範囲攻撃魔法で魔物の数を減らすんだが、それで追いつかない程の数で侵攻してきた場合、1周目と2周目で迎え撃つんだ。その時、外壁の北門から1周目に入って左右に別れて南門まで行ったら今度は中壁の南門を開けて2周目に入りまた左右に別れて北門まで来る。これが南経由だな。普通はここの北門は閉じて1周目と2周目の中だけで応戦するんだが、俺がお前達を連れていくって言ってたからか自由にやらせてくれるらしい。魔物が1周目と2周目で収まる数ではないということもあるが』
<前に二人で殺った時は3万程だったが今回はそれ以上か?>
『3万を二人でやったのか!二人ともありがとうな。今回は7万程かな。魔法でやられたのが2万いるかいないかで、残りは殆ど侵入している。衛兵と応援の冒険者で1周目2周目それぞれ1万ずつは対処出来るだろう。残りがこちらに来る予定だ』
<前と変わらないくらいか。なら余裕だな>
「衛兵ってどれくらい?」
(衛兵ってどれくらい強いのか知らないな…というより基準すら分からないな)
『冒険者の方もどの程度の数が応援に来てくれるものですか?』
リミルの質問はその後のピギルーイの質問によって、強さではなく人数の質問だと解釈されたようだ。
言葉が足りなかった自覚はあった。
ただ、魔物の数に対しての衛兵の人数が分かれば強さも何となく分かるだろうと思いリミルは訂正しなかった。
『そうだな…まず衛兵が約2万人動員されたが、魔法隊が約3千人と支援隊が約5千人、戦闘員が残りの約1万2千人だ。そこに応援で来る冒険者は多ければ2千人程じゃないか』
「え、そんなもんなのか?この街って冒険者率が高いって聞いたけど」
(衛兵の強さは結局分からないな…それより冒険者の数が少ないような)
魔物総数7万に対して衛兵約2万という単純な計算なのか、そもそも魔法隊が魔物を全滅させられるかもしれないとか、数を減らすための要員なのかとか、支援隊の支援はどれほどのものなのかとか、様々なことを考えると一概に衛兵の強さはこの程度、と言うことが出来ない。
オーバーフローの掃討を衛兵のレベル上げの一環にしているという可能性に気がついたからだ。
そんなことより冒険者の数の方が気になった。
『ああ、リンドの森が近いからな。殆どの者がギルドに登録し何らかの戦闘職を得るんだ。身を守る為にな。職人系の奴らも自分で素材を取りに行ったりするから戦えないと困るからな。純粋な"プレイヤー"はこの街だと2万人いるかいないか位だな。その内、腕に自信がある奴らがこの戦闘に参加したんだろうからそんなもんだ』
「まあでも腕に自信がある奴が2千も来たら速攻終わりそうだよな…」
騒がしい音がだんだん近くなって来た。
少し離れた内壁の上からも合図があった。
<そうとは限らないぞ。自信があっても実力がなければ意味無いだろ。それに実力がある奴らは自信があるとは言わないし慎重だ。既に実力があればオーバーフローの掃討ではレベルも上がりにくいだろうしな。初心者が腕試しに来そうだな>
「そうか…じゃあ出来るだけ貢献しよう」
<それがいい。思う存分暴れよう>
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